ベネデク・フリーガウフ『愛を複製する女』について

2010年、ハンガリー製作、出演エヴァ・グリーン、マット・スミス他
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ロラン @malgre_nuit

ベネデク・フリーガウフ『愛を複製する女』大傑作。恋人を不慮の事故で失ったエヴァ・グリーンがクローンを妊娠して息子として育てる。成長した子供が序盤の子役と青年期のマット・スミスとして再登場し、彼女と再会する。『アップストリーム・カラー』に匹敵する奇跡の巡り逢い。テン年代ベスト入り。

2015-07-04 20:22:56
ロラン @malgre_nuit

『愛を複製する女』海や自転車、そして母子だけの生活によって本作は、エヴァ・グリーンと恋人/息子が二人きりでいるショットを幾度も成立させる。彼女は、かつて恋人と行った場所を息子と訪れることで失われた過去を再現しようとする。 pic.twitter.com/cIOqF7LRCF

2015-07-04 20:24:50
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『愛を複製する女』しかし、成長した息子に恋人が出来ると一転して、エヴァ・グリーンは息子から隔てられる(マット・スミスが恋人と再登場するシークエンスでエヴァ・グリーンの髪型が変わる)。独り佇んで恋人と過ごす息子を見つめる彼女が哀しい。 pic.twitter.com/b0Ap5L5OzN

2015-07-04 20:28:21
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『愛を複製する女』数多くの動物が登場する映画でもあるが、とりわけエヴァ・グリーンが息子にプレゼントする動く恐竜のオモチャが、息子によって土に埋められる時、もがくような動作に「生命が宿ったクローン」という本作の主題が重なって見える。 pic.twitter.com/LnOpaaLtrQ

2015-07-04 21:29:08
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ロラン @malgre_nuit

『愛を複製する女』エヴァ・グリーン演じるレベッカの子供時代から、彼女の恋人への眼差しが特権化されるが、それがマット・スミスが車に轢かれる音を聞いて振り返る視線として反復される。また、彼女と子役が湯船に浸かるショットも終盤、明かされない自身の出生に苛立つスミスによって反復される。

2015-07-04 20:29:43
ロラン @malgre_nuit

『愛を複製する女』大部分が固定で撮られた本作の抑制性は、エヴァ・グリーンの「泣かない」演技にも波及する。彼女は2回だけ涙を流すのだが、それは恋人を事故で亡くした時でも息子が去る時でもなく、息子がクローンだと判明する瞬間。エヴァ・グリーンは、自分のためではなく息子のために涙を流す。

2015-07-04 20:31:09
ロラン @malgre_nuit

『愛を複製する女』母に覆い被さる息子のショットが、彼がクローンだと判明した後に反復されることで、母子の戯れが男女の愛に変遷する。 pic.twitter.com/yDXubERqJg

2015-07-04 21:33:24
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ロラン @malgre_nuit

『愛を複製する女』終盤、エヴァ・グリーン演じるレベッカが遂に真実を明かす場面。彼女の元を後にする息子は、それまで母親であった彼女に「ありがとう、レベッカ」と言って去っていく。息子が去る家を捉えたラストショット。窓に灯された明かりがエヴァ・グリーンが彼を待ち続けることを示している。

2015-07-04 20:34:58
ロラン @malgre_nuit

『愛を複製する女』は、去って行った最愛の人をエヴァ・グリーンが待ち続けることを暗示するラストショットの窓の灯りに心打たれた。私にとってこの映画は、悲劇ではなく終わらない物語。二人はきっとまた再会する。 pic.twitter.com/qDqXSo50Py

2015-08-17 04:50:39
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ロラン @malgre_nuit

エヴァ・グリーン主演の傑作『愛を複製する女』の監督ベネデク・フリーガウフの最新作は、母の死後、疎遠となった父を息子と共に探す女性を描く『Liliom ösvény(Lily Lane)』 pic.twitter.com/M4gjpRxjPH

2015-08-17 04:28:28
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