《魔饗クランフォール》1日目|昼の饗宴

『母』がおっしゃる。 さぁ、宴を始めよう。賑やかに、厳かに。
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―20150831

魔饗クランフォール @ClownFallFesta

揺らいだ『意識(ひかり)』。 東の渓谷に輝く鉱石のように。 『母』の慈愛は、彼らを照らす。 ──さぁ、お祝いを始めましょう。

2015-08-31 22:01:49

――召喚の儀

【西の魔王】リッカ @Licca_Queen

――祝いを。 そう微笑む『母』の姿がリッカの脳裏を過ぎる。その影へ返すように小さく頷いて。 「我らが『母』もお待ちかねだ。始めるとしようか、降冠祭(クランフォール)を!」 声を上げると同時、円卓の上に現れるのは葡萄、琥珀、白濁、様々な液体の入れられた玻璃の瓶と八つのグラス。

2015-08-31 22:41:07
【西の魔王】リッカ @Licca_Queen

そのままグラスを一個持ち上げると、絨毯の上で一つ、音のないままに踵を鳴らす。 その着地点、足元からするりと蔦が伸び、葉を広げ、あっと言う間にその先端に人ほどもある膨らみを成していく。 大きさを度外視すれば百合にも似た、真白い蕾が彼女の隣に。

2015-08-31 22:41:22
【西の魔王】リッカ @Licca_Queen

「紹介しよう。『万色の光』が持ち主、オストベルデのジュリアだ」 その声とともに音もなく蕾が花開き――その花弁の内側には、この場に相応しく清楚に着飾られた少女が立っているだろう。 両手を身体の横にぴたりと着けた棒立ちの姿勢を崩すことも赦されぬまま。

2015-08-31 22:41:35
【西の供物】ジュリア @Julia_mua_CFF

真白な花弁の内から現れたのは、酷く憮然とした表情の少女が一人。 その瞼は固く閉じられ、皆が期待を寄せていた『万色の光』を窺う事は出来ない。

2015-08-31 23:47:20

 

【北の魔王】フォルカ @folca_CFF

「では僕も供物を持ってくるとしようか」 そう言ってフォルカは天井を見上げる。 白亜の天井は瞬く間に透明となり、頭上ーーーと言ってもこの空間に正確な座標軸などないのだがーーーの空に亀裂が走り、黒い泥水のようなものが溢れ出てくる。

2015-08-31 22:43:33
【北の魔王】フォルカ @folca_CFF

そして、その流れに従うようにして煙を上げる一隻の鉄船が部屋の窓のそばにまで下り降りてくる。 黒き泥水は瀝青であり、鉄船は先程話に出た蒸気船とやらであろう。 フォルカは何処からともなく取り出した帽子をかぶり、タイを結び、小さな杖を右手に持つ。

2015-08-31 22:47:34
【北の魔王】フォルカ @folca_CFF

「実はすぐ近くで待っていてもらったんだ。さ、おいで」 フォルカが杖で地面を叩くと船からタラップが生じ、この部屋までの道を作る。 「彼女が今回の供物、グリース・レーヴェだよ」 そう言って、灰色の髪をした少女を魔王たちに指し示す。

2015-08-31 22:52:04
【北の供物】グリース @gris_clownF

北の魔王の杖の音を合図に、少女は歩を進める。 四人の魔王と三人の供物を見渡せる位置に着くと、絹のスカートの裾を摘んでお辞儀をひとつ。 「北のライリクの地より、供物となるべく参りました」 そして、顔を上げた後、僅か首を動かし周囲を窺う。 魔王と異国の娘。どちらも、初めて見る。

2015-09-01 12:41:12

 

【東の魔王】ラヴィ @Lugh_CFF

瞠目して、祈るようなしぐさひとつ。 囁くように『母』への賛辞と感謝を述べて、青年は席を立つ。 微笑んで。 「では、ご紹介しよう」 歌うような声で以て告げて、虚空に手を述べる。

2015-08-31 23:33:32
【東の魔王】ラヴィ @Lugh_CFF

「さあ、お手を。"ぼくの可愛い娘(マイ・リトル・レディ)"」 告げた言葉は。 遠く東の国で、空を仰ぎ佇む少女の耳にも、届くことだろう。 そうして少女が、声に応ずるよう、手を虚空へと伸べたなら。 ──少女の姿は瞬く間に、始まりの地へと導かれる。

2015-08-31 23:39:49
【東の供物】ニエ @nie_CFF

--あの方が呼んでいる。 --この瞬間を、生まれてこの方待っていた。

2015-08-31 23:49:45
【東の供物】ニエ @nie_CFF

仄かな光を纏い、ふわり、空虚から浮かび上がる娘の姿。 ラヴィの手を取るように、つま先から床へと降りれば光は消え、長い睫毛をゆっくりと持ち上げて、尖晶石をあたりへと向けた。 長いドレスの裾を取り、ゆるりと頭を下げる。

2015-08-31 23:50:49
【東の供物】ニエ @nie_CFF

「お招きいただき、有難うございます。 お初お目にかかります、魔王様方。私が東に在る、渓谷の国リグミニエーラの"贄(ニエ)"となります。不束ではございますが、どうぞ、宜しくお願い致します。」

2015-08-31 23:52:27

 

【南の魔王】ギルガ @guilgoer

『かあさま』の囁く、宴の始まり。 テーブルに現れた美しい玻璃のグラスに、朝の光が反射して宝石のように輝いた。 そして、輝くグラスのように金の瞳を輝かせたギルガは、跳ねるように椅子を蹴って立ち上がり、一飛びで、自らの背負ってきた『鉄箱』の元へ。

2015-08-31 22:57:02
【南の魔王】ギルガ @guilgoer

「さあ、宴の始まりだ!出ておいで、我が親愛なる魚人族の歌姫、──ラズイオリの、『スシラ』!」 興奮の抑えきれない声と仕草で、堅牢なる鉄箱の蓋を封じる留め具を、蹴り上げる。 ──ガギィン!! 重く鋭い破壊音を伴って、鋼鉄の蓋が、宙を舞い……。

2015-08-31 22:57:05

―20150901

【南の供物】スシラ @Susila_CFF

鉄の蓋が、鈍い音を立ててふかふかの絨毯に落ちる。 魔王の爪先だけの蹴り。だがその勢いで箱はぐらりと揺れ、集う皆に中身が見えるような形で横倒しになった。 「…………」 中にはクッションのようなものに囲まれた魚人の女が一人。

2015-09-01 00:24:56
【南の供物】スシラ @Susila_CFF

浅黒い肌に鮮やかな色の伝統衣装を纏い、艶々とした黒髪にはプルメリアの花。 しかし、よほど箱の中でゆさぶられたのだろう、その伝統衣装も、髪の花もひどく乱れている。 そして何より。 「…………」 女はクッションに埋もれうつ伏せに倒れたまま、一言も発さず、ぴくりとも動かなかった。

2015-09-01 00:26:31
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