茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1596回「オリジナリティの衝撃」
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スイッチ・パブリッシングから送っていただいた村上春樹さんの『職業としての小説家』を読んでいる。とても深く、面白い。このような本が、100万部くらい売れるようだと、日本の将来は明るいと思う。amazon.co.jp/%E8%81%B7%E6%A…
2015-09-04 06:07:38『職業としての小説家』の中で、村上春樹さんは、オリジナリティについて書いていて、それがとても清冽な印象で、本質をついている。ビートルズの『プリーズ・プリーズ・ミー』を聴いた時の、「こんなものは今まで聴いたことがない!」という感覚に、オリジナリティの判断があったというのだ。
2015-09-04 06:08:54なぜ、ビートルズの楽曲が、斬新に聞こえたのか。楽理的に、あるいは歌詞、リズム、さまざまな側面から「解析」することはできるだろうが、私たち人間の直観は、それを一瞬に判断する。逆に言えば、すべての創作者は、その境地を目指すべきなのだろうと思う。
2015-09-04 06:09:59美しいとか、意義深いとか、技術的によく描けている、できているとか、そういうことよりも、「こんなものは見たことがない!」という鮮烈なる驚きをもたらすような作品が、結局、もっとも「オリジナル」な作品ということになるのだろう。その一瞬は、一つの奇跡として現れる。
2015-09-04 06:11:11ぼくはビートルズの楽曲はリアルタイムではなく、中学の時のリバイバル・ブームで知ったのだが、彼らがデビューして出てきた時に、初めて曲を耳にした驚きは、多くの方から聞いている。浅井慎平さんも、街角で偶然曲に出会った時の衝撃を、語って下さったことがある。
2015-09-04 06:12:20村上春樹さんは、『職業としての小説家』の中で、ストラヴィンスキーの『春の祭典』も例に上げて、オリジナリティの高い作品の衝撃のデビューの時に立ち上がる現象学を語っている。結局、そこにしか信じられるものはないと思う。逆に、それだけを基準にしていれば、案外、間違えないのではないか。
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