#オーク転生

勇者と魔王の最終決戦のとばっちりを受けた青年。その後の生活。 切腹の人さん(@HarakirimanEX)による小話
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切腹の人. @HarakirimanEX

えーと。 異世界召喚モノなんだけど、召喚されたタイミングが「勇者が魔王を倒した直後」で、呼ばれた理由が「絶命した魔王が最期に勇者に放った呪いを代わりに受けるため」で、それによってオークの姿になってしまった主人公の話とか需要あるかとか特に気にしないので書きたいなあリスト追加。

2015-09-26 21:49:10
切腹の人. @HarakirimanEX

オークに変化させられた主人公だけど「素っ裸でも風邪ひかねえ、すげえ」「腐ったモノ食っても腹を壊さねえ、すげえ」「素手で樹を切り倒せるし重機要らずじゃん、すげえ」「靴を履かなくても足が痛くねえ、すげえ」とオークの健康すぎる肉体に感動してアウトドアライフを満喫しそうでね。

2015-09-26 21:52:44
切腹の人. @HarakirimanEX

人間だった頃も非モテのブサメンを自覚してコミュ障気味だったので、オークに変化した外見にも「あんま大差ねえな」と割り切り。頑丈な身体を良い事に野生動物相手に知識だけはあった格闘技や武術の技術を少しずつ実践で学び直したり、野宿しながら丸太小屋を作ったりレンガを焼く話。

2015-09-26 21:56:01
切腹の人. @HarakirimanEX

下手に道具使わなくても枝と木の皮で簡単に火を起こせるオークの筋力に「すげえ便利」と本気で感動したり、居住空間にこだわりがないのでいつの間にか狼とかの小動物を飼いならして野ブタを狩ったり用水路を掘ったりする合間に本を読んで地面に字を書いて勉強したりするオーク。

2015-09-26 22:03:21
切腹の人. @HarakirimanEX

勇者とか賢者とか王族は、それこそ魔王討伐時の最大の醜聞なので身代わりにしたオークを抹殺したいんだけど、魔王の呪いで「永遠に醜いオークとして生き続ける=不老不死」という状況に気付いてしまい、王族が直轄する森の一つをオークの住居として提供することで監視下に置こうとする。

2015-09-26 22:07:14

切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 魔王「あのな、あれやん。自分、さっきまで勇者と戦っててな。ほら一応ラスボスやし、倒されるところまでがブックだったんやけど最期に勇者に呪い仕掛けてくたばる手筈だったんや」 オーク「はあ」 魔王「それが、あのクソ女神がな。勇者に横恋慕しおって、呪いを邪魔した訳や」

2015-09-27 17:07:36
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「ほほう」 魔王「呪いそのものは『永遠に魔物の姿で生き続ける』っちゅー王道モンでな、いわゆる次回作につなげるための仕組みやってん」 オーク「ははあ、つまり次回作のラスボスに勇者を据えて、なおかつ主人公に勇者の呪いを解かせる筋書だと」 魔王「せやせや王道やろ」

2015-09-27 17:09:47
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「でも現実には失敗したと」 魔王「うん。クソ女神のランダム召喚で、異世界から君が呼ばれた。ネズミーマウスとかカエルでもええやろに、よりによって異世界の人間や。咄嗟に呪いのアレンジ変えて理性と知性を残して比較的無害なポジションに落とし込むことはできたんやが」

2015-09-27 17:11:54
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「でもオークですよね」 魔王「せやね」 オーク「そして勇者はなんかすげえ剣で魔王をぶったぎって、お姫様と結ばれてハッピーエンドっすか」 魔王「お姫様いうても中身クソ女神やねん」 オーク「でも魔王さん生きてますよね」 魔王「うん。死んでないね。弱体化したけど」

2015-09-27 17:14:25
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「あれですか。呪いを半端な状態にした分、最期の力が余った?」 魔王「おう。正直邪神級のモンスターにする予定が、頑張れば市民権も獲得できるデミヒューマン系やからな。三回くらい人生楽しめるくらいには余力あるで」 オーク「でも社会的には死亡していると」

2015-09-27 17:16:25
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「私を元の姿に戻すのは、無理っぽいですよね」 魔王「クソ女神がワイの生存に気付いてトドメに刺しに来るやろな」 オーク「ちなみに元の世界に戻る方法とか」 魔王「あのクソ女神ランダム召喚しおったでな、まっとうに異世界に行く方法も限られてんのに場所さえ不明や」

2015-09-27 17:18:20
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「まあ、オークになる前から不細工でしたし」 魔王「コメントは差し控えておく」 オーク「友人もなく、親族の結婚式にも呼ばれない程度には身内で孤立していましたし」 魔王「お、おおう」 オーク「仕事については同僚と部下が優秀なので、私が失踪しても問題ないかと」

2015-09-27 17:21:37
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「そういえば魔王さんはこれからどうされるので?」 魔王「ワイか。ワイは……うーん。原因の半分はワイにあるし、あのクソ女神も君を始末しないと色々暴露されたら拙いと思うかもしれへん」 オーク「まあ、正義っぽくないやり口でしょうからね」 魔王「信者激減するやろな」

2015-09-27 17:25:43
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「神様も世知辛いんですねえ」 魔王「……よっしゃ決めた。どうせ部下もいなくなって帝国も崩壊したんや、君がこの世界で暮らしていく手伝いくらいできるやろ」 オーク「え」 魔王「そうと決まれば、無駄に攻撃力の高いボディとか邪魔やな。生活支援タイプというとや……」

2015-09-27 17:28:50
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「わ」 カエル執事「……こんな形で如何ですかな、旦那様」 オーク「ま、魔王さん?」 カエル執事「ノンノン、国が滅びたので吾輩もはや王様ではありませんぞ」 オーク「……ははは、魔法って凄いんですね」 カエル執事「その凄さが幾つもの国を滅ぼしたのですぞ旦那様」

2015-09-27 17:31:23
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「まずは何とかして生きて、自分に出来る事を知るところから始めようと思う」 カエル執事「早いうちに生活基盤を整えないと、女騎士や女エルフが見合い写真片手に突撃かけてきますからな」 オーク「え、何それ怖い」 カエル執事「ははは、執事ジョークでございますよ」

2015-09-27 17:34:11
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生  その執事ジョークがジョークでも何でもなかったと思い知るのは、少し先の話である。(おしまい)

2015-09-27 17:35:08

切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「そんな訳で魔王の城を離れた訳だけど」 カエル執事「如何なさいましたかな」 オーク「舗装されてない石だらけの道を素足で歩いてるのに、ちっとも痛くない」 カエル執事「オークですからな。ガラスの破片を踏んでも大して傷つきませんぞ」 オーク「オークってすげえ」

2015-09-27 21:03:16
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 カエル執事「まあ人間よりは頑丈ですからな」 オーク「フンドシひとつで歩いてるのに寒くないし。道の両脇には雪が積もってるのになあ」 カエル執事「下手な人間の革鎧よりも分厚い体表ですので」 オーク「RPGだとオークってのは雑魚なんだけどなあ」 カエル執事(RPG?)

2015-09-27 21:07:49
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「道から離れた森が見えるけど、危険そうな生き物は」 カエル執事「そりゃまあ、それなりに」 オーク「そうか。では森の入り口でキャンプをしよう」 カエル執事「旦那様?」 オーク「雪を踏み固めても冷たくないのは便利だねえ」 カエル執事「……雪を固めて、小さな洞を」

2015-09-27 21:12:02
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「故郷の世界で、こうやって雪を踏み固めて簡易の家を作る地域がある」 カエル執事「ほう」 オーク「無駄とは思いつつ松脂の多い枝を集めて、棒をこすって原始人のように火を……すげえ、あっという間に着火した」 カエル執事「オークの筋力ならば簡単ですな」

2015-09-27 21:19:47
切腹の人. @HarakirimanEX

#オーク転生 オーク「すげえなあオーク」 カエル執事「魔法を使えば一発で着火しますし、周辺の気温コントロールも余裕ですぞ」 オーク「すげえな魔法」 カエル執事「使いましょうか、魔法」 オーク「危険になったら頼むわ」 カエル執事「……欲がございませんな」 オーク「そうかな」

2015-09-27 21:22:55