茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1626回【納涼図屏風に見るラグジュアリー】連続ツイート

2015.10/10 茂木健一郎氏【納涼図屏風に見るラグジュアリー】連続ツイート …本日から、六本木のサントリー美術館で、久隅守景展が始まる。国宝の『納涼図屏風』が出品される。何度か実物を見たことがあるが、実に味わい深い名品だ…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1626回をお届けします。文章はその場で、即興で書いています。今日は、ふと思ったこと。

2015-10-10 07:28:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

本日から、六本木のサントリー美術館で、久隅守景展が始まる。suntory.co.jp/news/2015/sma0… 国宝の『納涼図屏風』が出品される。何度か実物を見たことがあるが、実に味わい深い名品だ。 pic.twitter.com/EaFemityU2

2015-10-10 07:30:29
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「納涼図屏風」でだんらんする親子の姿もいいが、ひょうたんのつるがくるくるしているところとか、月がぼんやりと見えているのもいい。余白が大胆に構図されているのもいい。ぜひ会期中に実物を見たい。

2015-10-10 07:32:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

ところで、「納涼図屏風」を見ると、「ラグジュアリー」だなあと思う。風通しのいい、広々とした庭で、ゆっくりと寝転がる。そんな時間を持つことができたら、本当に贅沢で、素敵で、心の奥底からこみ上げてくるような歓びを感じることができるだろう。

2015-10-10 07:34:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

きらびやかなモノや、贅沢な設いがラグジュアリーなのではない。少なくとも、現代においては違うのではないか。ラグジュアリーは、もっと素朴で、シンプルな時間の中にある。「納涼図屏風」を、ラグジュアリーの一つの原風景として見ると、味わい深い。

2015-10-10 07:35:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

そもそも、月見をするために適した設いは簡単なようでいて、現代では得難い。見通しのよい空間で、風が通り過ぎ、虫の音が聞こえてくる。そんな、かつては当たり前にあった情景が、大都会では不可能に近い。月見が廃れるのも、時代の流れだ。

2015-10-10 07:36:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

マシュマロが一袋あれば、焚き火をして、マシュマロを小枝にさして、火であぶってやわらかく溶けたところをふうふうしながら食べれば、もう十分にラグジュアリーだ。しかし、現代では、焚き火をすること自体が難しい。思う存分焚き火ができる場所など、どこにあるというのか。

2015-10-10 07:37:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

緑豊かなすてきな光景があれば、それこそ、安いウィスキーの小瓶を一つもって、ふらふら歩いていけば、十分にラグジュアリーである。そこに何本かビーフジャーキーがあったりしたらもう最高である。喉がかわいたら、せせらぎの水を飲める、みたいなことがあったら何も言うことはない。

2015-10-10 07:39:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

「納涼図屏風」のような絵が描かれ、それが国宝に指定されるということは、日本人は何が生きる時間を豊かにするかということを本来は知っているということだと思う。ブランド品の「ラグジュアリー」とは違う、生きるという時間に寄り添った持続可能なスタイルがそこにある。

2015-10-10 07:41:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1626回「納涼図屏風に見るラグジュアリー」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2015-10-10 07:42:23