トニー物語

AK @akMCtweet

誤字はない。イイネ？

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トニーは興奮していた。今日は彼にとって特別な日になる。彼は偉大な一歩を踏み出そうとしていた。（今日から俺もモッダーだ！！）何度も心に言い聞かせながら、震える指で、ヒコシキフォーラムへのURLを叩く。１

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ヒコシキフォーラムとは、彼がハマっている仮想賽の河原ゲーム、「掘って作る」のネオジャポンにおけるユーザたちの集まりである。 「ヒコシキ」となっているが、ネオジャポンでは最大級の「掘って作る」コミュニティであり、多くの「創作者」たちの情報交換の場となっている。２

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「創作者」の中には「掘って作る」を独自に改造する者たち「モッダー」がおり、「もっど」と呼ばれるその改造パーツを公開する場所もヒコシキフォーラムには用意されている。 「モッダー」は「創作者」たちの間では「神。ジッサイ強い」と慕われており「モッダー」を目指している「創作者」もいる。３

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一見、トテモ安心に思えるヒコシキフォーラムだが、「ヒコシキフォーラムには、エビルワールドが存在する。」という噂あり、ヒコシキフォーラムから逃げ出すモッダーもいる。 （エビルワールドなんて、幻想だ。モッダーになりきれなかった者達の流言だ）とトニーは思っていた。４

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トニーには自信があった。彼はスゴイ級モッダーたちと交流があり、彼らからインストラクションを受けていたのだ。 特に「蒼きハラスの貴公子」とは親しく交流しており、彼がモッダーを目指して苦心していた時に、何度もエアリプで励ましてもらっていた。 さらにトニーには切り札があった。５

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（俺のもっどがただのもっどだと思うなよ。）トニーはフォーラムのトピックを作りながら、ニヤけていた。（このもっどにはヤバイ級モッダーの力＜ソースコード＞が宿っているんだ。） ノッチファック！！トニーの切り札とは自分のもっどにスゴイ級モッダーの力であった！！６

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「もっどを作成したので、公開します。」実に奥ゆかしい文章だと思いながらトニーはトピックを作成していた。 「このもっどは、土からダイヤモンドを作るシピを追加するもっどです。ダイヤモンドを採掘するのは大変。溶岩も近くにあるしジッサイ危険。このもっどを入れればジッサイ安心」７

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トニーは、自分のもっどを使っている「創作者」たちの喜ぶ姿を創造して、マイティフィールを覚えていた。 「このもっどは、最新のForgeで動作します。」前提もっどの記述も忘れずに書く。トニーがフォーラムで覚えたことの一つだ。８

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「おっと、これも入れないとな」そう言って、トニーは用意していたメモ帳からテキストをコピーした。 「このもっどの再配布・改造は許可しません。動画での使用は許可制にしています。」 彼がフォーラムで覚えた、モッダーとして身を守るためのジツだ。９

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「これでカンペキだ。俺のスゴイ級モッダー人生はここからはじまる！！」 トニーはそう叫んでEnterキーをタッーンと叩いた。 「あとは、創作者たちの素晴らしい感想を待つばかりだな。」 トニーはもっどが有名になるに時間がかかることを知っている。なので１週間後にまた見ることにした。１０

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１週間。なんと長い時間だろう。一般のシャチクなら、意識が飛んでる間に過ぎ去るものだが、今のトニーには無限にも等しい時間に思えた。 （今頃１０００DL行ってるだろうか。もしかしたら動画での使用許可申請が来てるかもしれない。）彼は自転車で電柱にぶつかった。１１

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数々の試練（電柱衝突、電車乗り過ごし、財布紛失etc）を乗り越えて、１週間が経った。 トピックの返信で深夜になることを考え、トニーは栄養ドリンクを箱で用意していた。 （そうだ先に風呂に入っておこう。）彼はそう思い、フォーラムを開いたまま、席を外した。（何たる焦らし！！）１２

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風呂あがりに一本栄養ドリンクを飲んで、トニーは上機嫌で席に戻ってきた。 「さて、トピックは。」 「「「ドーモ、トニーさん。」」」 「バグ報告です。」 「情報不足指摘です。」 「バージョン対応要求です。」 「アイエエエ！？」１３

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「土からダイヤモンドができるということですが、クラフトマトリックスの真ん中に置かないとダイヤモンドになりません。」 「最新のForgeで動くということですが、今現在の最新版Forge build xxxでは、起動でエラーとなっています。動作するForgeを書いてください。」１４

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「おそらく1.8？に対応しているのだと思いますが、面白そうなので、1.2.5に移植してください。移植していただければ動画で使用します。」 急激なMRS（モッダーリアリティショック）が起こったトニーは手に持っていた栄養ドリンクを落とした。黄色い液体が椅子から床に滴り落ちた。１５

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トニーはMRSの中で、彼の尊敬するスゴイ級モッダーの言葉を思い出した。 （どんな糞コメでも丁寧な対応を心がけるのじゃ。さもないと、「有識者」が現れるぞい。） 「そうだ。ここで負けてはいけない。かの蒼きハラスの貴公子も既読スルーは甘えって言ってた。」 トニーは気を取り戻した。１６

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「スゴイ級モッダーとしての対応をみせてやる。」 そう言って、彼がコメントしようとした時、トピックに新着コメントが来ていた。 「貴殿のもっどですが、もっどチュートリアルに公開されているレシピもっどとバイトコードレベルで同じなのですが、本当にオリジナルなのでしょうか？」１７

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「グワー」 トニーは泡を吹き始めた。 彼はまだ、一度もビルドに成功してはいなかった。それどころか、エクリプスすら使いこなせはしなかった。 なんということだろう。彼はハラスに耐えかねて、チュートリアルのサンプルもっどのファイル名を変えただけで自分のもっどにしたのだ。１８

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「ドーモ、トニーサン。ヒコシキフォーラムのモデレータです。このトピックで公開されているもっどについて他人の創作物を無断で自分のもっどとして公開していると通報を受けました。事実かどうか確認をしてから、トピックの凍結・削除等の処置を取りたいと思います。」 ティアーフェイスにビー！１９

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トニーは虚ろな目で、キーボードを叩いた。 「申し訳ありません。私の弟が勝手に投稿してしまった見たいです。キツく叱っておきましたので、もう二度と同じことはしないと思います。このトピックは削除してください。ご迷惑をお掛けしました。」 彼はそう書き込んで、フートンの中に入った。。。完