「ストラトス・フォー TV Series」一挙放送、杉山プロデューサーによるツイート解説まとめ

杉山潔 @yomisorastratos

このアカウントでは久しぶりのつぶやきです。既報の通り、以前プロデュースした「ストラトス・フォー」のBD-BOXの発売が決定しました。最新技術でアップコンしたHD画質でお届けします。以降、この話題を中心にエントリーしていこうと思います。よろしくお願いします。

杉山潔 @yomisorastratos

「ストラトス・フォー」の主人公メカはイギリスのBAC TSR-2をベースにしたTSR.2MS。ベース機の選定競争は、私が推すTSR-2と山内さんの推すアブロカナダのアローとの一騎打ちとなりました。…どちらもドマイナーですが、美しい機体です。

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TSR.2MSは垂直尾翼基部にロケットモーターを直付けし、主翼下面パイロンに投棄可能なRATOポッドを搭載、機首や主翼端にRCSのノズルが追加装備されています。

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そして、MAZ-537トレーラーに牽引されたランチパッドから、ZELL（ゼロ距離発進）で離陸します。航空機のZELL発進、一度描いてみたかったんです。

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いきなりヒコーキの話ばかり書いてしまいましたが、世界観の話を。太陽系が大彗星群の中に突入してしまった未来。地球に彗星が衝突するのを防ぐために、人類は天体危機管理機構を設立し、軌道上の地上の2階層で迎撃部隊を配置しているという設定です。

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軌道上のオービタルステーションには「アイドル」のようにもてはやされているエリート部隊「コメットブラスター」が、地上の迎撃基地にはコメットブラスターを目指す補欠的な位置づけの「メテオスイーパー」が配置されています。

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コメットブラスターは最新の迎撃用リフティングボディ宇宙機SAC-1Bが、地上迎撃基地にはTSR.2MSが配置され、SAC-1Bは彗星を、TSR.２MSは破壊された彗星の破片（隕石）や撃ち漏らした彗星を、それぞれ大型のミサイルで迎撃します。

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主人公・本庄美風はメテオスイーパーのTSR.2MSパイロットとして下地島迎撃基地に配置され、仲間と共に訓練と待機の日々を送っている、というのが物語のスタート時点です。

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こうしてみると、「ストラトス・フォー」と同じくBD-BOXが発売となる「タクティカルロア」に「ガールズ＆パンツァー」を加えると、バンダイビジュアルで既に「美少女×メカ」のジャンルで陸海空を制覇していたんですよね。

杉山潔 @yomisorastratos

「ストラトス・フォー」で思い入れが強い話数の一つがTVの第3話（CODE:103）。美風の乗ったTRS.2MSが高高度に上昇しすぎて発進基地に戻れなくなり、グアムのアンダーセン空軍基地にダイバート（目的地変更）する、という内容に1話まるまる使いました。頭オカシイ(笑)。

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OVAのCODE:205も好きです。TYPE-559という、岡部いさくさん推薦のイギリスの計画機をベースにしたTYPE-559MSがYB-60（これまた！）の主翼に抱かれて空中発進するという…。ベアメタルのYB-60の機体に青空が映り込むCG表現は必見です。

杉山潔 @yomisorastratos

ちなみにCODE:103のサブタイトルは「DECISION HEIGHT」、CODE:205は「DASH ONE」。いずれもエピソード内容にちなんだ航空用語。「ストラトス・フォー」のサブタイトルは全て航空用語から採ってます。

杉山潔 @yomisorastratos

「ストラトス・フォー」のサブタイトルは「杉山さん、考えといて」ともり監督から丸投げ(笑)されて、私がエピソード毎に候補を複数考えて監督に選んで頂きました。

杉山潔 @yomisorastratos

サブタイの「DECISION HEIGHT」は良く知られた航空用語ですね。ちなみに「DASH ONE」とは機種ごとに存在する技術指令書（T/O）の第1章（DASH ONE）のことで、緊急操作の手順が書かれています。

杉山潔 @yomisorastratos

「ストラトス・フォー」製作のキッカケは、私がOVA「AIKa」のDVD化を手がけたことでした。本編の見直して、登場する魔改造MiG-21の描写にやられてしまったのです。

杉山潔 @yomisorastratos

3DCGIが一般的でなかった当時、戦闘機を動かすにはひたすら手で作画するか、ハーモニーという処理でセルの上から特効でタッチを付けたものを、背景とセルの引きやカメラワークで見せるしかありませんでした。

杉山潔 @yomisorastratos

作画に拠る航空機の機動も良かったのですが、何よりハーモニーのカットが素晴らしかった。レイアウトやセル・背景の引きのタイミングや方向が見事で、その時は山内則康さんと面識がありませんでしたので、不遜にも「ああ、この人分かってるなあ～」と思っていました。

杉山潔 @yomisorastratos

その後仕事を一緒にする中で、山内さんが「王立宇宙軍」で、プッシャー式コントラペラの王国軍練習機で主人公シロツグが飛ぶシーン、タキシングして滑走路にラインナップし、フライトコントロールチェックをするカットの作画を担当されたと知り、この人とヒコーキアニメを作りたい！と思ったのです。

杉山潔 @yomisorastratos

「山内さん、ヒコーキアニメ作りましょう！」と持ちかけ「ストラトス・フォー」の企画がスタートしたのですが、企画の方向性は一枚のラフ画で決まりました。機首のアップ、コクピットの中でミニスカの女の子がパンツを見せながらバイク式のシートに跨っている画でした（笑）。

杉山潔 @yomisorastratos

「ストラトス・フォー」キャラクター＆メカニックデザインの山内則康さんは、尻メーター（失礼）としても知られています。その山内さんのパンチラ描写については、もり監督は全面禁止するのではなく、「1話につき1カットだけ」という条件付きでOKされました。

杉山潔 @yomisorastratos

「ストラトス・フォー」では、軍事評論家の岡部いさくさんにも大変お世話になりました。2003年1月の放送直前、2002年年末のヒコーキ仲間との忘年会で、会うなり「杉山さん、あのTSR-2が飛んでいるアニメのポスターって！」と質問されました。「やった、食いついた」とほくそ笑みました。

杉山潔 @yomisorastratos

TVシリーズではプロモーションや映像特典を中心にご協力いただいたのですが、OVAでは登場機種の機種選定（笑）にもご参画頂き、そこで決まったのがTYPE-559をベースにする事でした。

杉山潔 @yomisorastratos

映像特典への出演依頼がエスカレートし、ファンディスクでは声優さん達による航空自衛隊浜松基地に隣接するエアパーク浜松でのロケにもご同道頂き、なんと往路ではマイクロバスに乗るなりCAの真似でバスガイドをしていただき、大笑いするも大変恐縮しました。

杉山潔 @yomisorastratos

ご本人は今では「ストラトス」関係では、「ファンディスク芸人です」と自己紹介されるのですが、嬉しかったり背中を冷や汗が流れたり…。一緒になって楽しんでいただき、本当に有難いことだと思います。

杉山潔 @yomisorastratos

「ストラトス・フォー」といえば、思い出されるのがエアフィックス製のプラモデル、TSR.2MSですね。日本の代理店の「ストラトス」ファンの方の熱い想いが老舗の海外プラモメーカーを動かしたのです。エアフィックスから日本のアニメのプラモがリリースされたことに驚いた人も多かったのでは？