「当事者意識」はどう生まれるのか?

部下が当事者意識をもって仕事をしてくれない、という嘆きの声が聴かれた。しかし当事者意識を持つには、楽しく、そして自分が役に立っているという感覚が必要。
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shinshinohara @ShinShinohara

「指示待ち人間」はなぜ生まれるのか? togetter.com/li/895830 をまとめたところ、思いの外反響が大きかった。その中で、部下に当事者意識がなく、指示をしても指示以下のことしかしないから指示を出しまくるしかない、というご意見が複数あった。

2015-11-13 18:04:51
shinshinohara @ShinShinohara

当事者意識を「失う時」とはどういうときだろう。「何を言っても何も変わらない」という無力感を感じた時かもしれない。上司に何を言っても判断を変えてもらえず、判断はすべて自分で下すという上司の場合、部下は独自の意見を持つことをやめ、指示以外のことはしなくなってしまう。

2015-11-13 18:08:19
shinshinohara @ShinShinohara

さらに感情のこじれがある場合、指示以下のことしかしなくなる。首になるほど心配がないなら、指示があってもできるだけしないで済ませようとする。上司を困らせてやろうくらいの気持ちになってしまうと、首になりかねない指示以外は無視する「指示以下人間」になってしまう。

2015-11-13 18:10:55
shinshinohara @ShinShinohara

部下に当事者意識を持ってもらおうとするなら、 ①仕事が楽しい。 ②自分の考えが何らかの形で尊重される。 ことが必要。仕事が楽しくなかったり、自分の考えが無視される環境だと、「お金のため」に首にならない程度の最低限の仕事量で済ませようとする。これは仕方のないことかもしれない。

2015-11-13 18:13:40
shinshinohara @ShinShinohara

①仕事が楽しい。 は必ずしも部下全員でうまくいくとは限らない。上司と部下との人間的な相性、めぐりあわせの悪さなど、運悪く人間関係が悪化してしまうことがある。そういう場合はお互いに縁がなかったということで、別の道を探した方がよいかもしれない。

2015-11-13 18:15:47
shinshinohara @ShinShinohara

「①仕事が楽しい」が確保できるなら、次の「②自分の考えが何らかの形で尊重される」をうまく実現できるかどうかがカギ。私には3歳の子どもがいるが、自分に対して周囲がどう思っているか、すぐに感じ取る。部下を一段低く見ると、部下はそれを敏感に感じ取ってしまう。

2015-11-13 18:18:56
shinshinohara @ShinShinohara

軽く見られる、馬鹿にされる、そうした感触を部下に与えてしまったら、自分の意見を述べようとは思わなくなってしまう。また、自分を軽く見ている人のために動こうとはしない。この状態を上司から見ると「当事者意識のない人間」に見えてしまう。

2015-11-13 18:20:12
shinshinohara @ShinShinohara

「②自分の考えが何らかの形で尊重される」ことを部下が感じ取れると、承認欲求が満たされてもっと認められたい、と思って行動するようになる。楽しい、うれしいから頑張るようになる。当事者意識はそうして育まれるものではないか、と思う。

2015-11-13 18:22:06
shinshinohara @ShinShinohara

一度こじれた人間関係は修復するのが難しい。だからせめて新しい人間関係では、相手の意見を尊重するような姿勢を持つようにしてみてはどうだろう。部下が何か言うたび「君、面白いこと言うねえ」だけでも結構違う。考えが採用されなくても、意見を聞こうという姿勢があるだけで全然違う。

2015-11-13 18:25:26
shinshinohara @ShinShinohara

意見を聞く姿勢を上司が示すということは、「あなたの意見は耳を傾けるのに値する」という言外のメッセージを伝えるということ。「部下の意見を聞くことになっているから仕方なく聞く」という心理が見え隠れすると、部下は無駄だと思って口をつぐむ。あるいはどうでもよいことしか言わない。

2015-11-13 18:27:31
shinshinohara @ShinShinohara

意見を聞くときは、「あなたの意見をきちんと受け止める」という心構えが上司に必要。その心構えが感じられれば、部下はたとえ自分の意見が通らなくても「少なくとも僕のことを意見を聞く価値のあるやつ、とみてくれているんだ、と感じて、承認欲求がかなり満たされる。

2015-11-13 18:29:15
shinshinohara @ShinShinohara

しかし部下の意見を聞かない、意見を聞いても攻撃のネタを集めるためだということがミエミエな聞き方を上司がしてしまうと、部下は「何を言っても無駄」と思うので、どうでもよい表面的なことしか言わなくなる。こうした態度を上司から眺めると、「何も考えていない、当事者意識がない」と見える。

2015-11-13 18:30:40
shinshinohara @ShinShinohara

自分は何かしら結果に関与することができている、役に立っている、と思えることを自己効用感というらしいけれど、それはとても大切なことだと思う。「君がいてくれて本当によかったよ」と言ってくれる人が一人いるだけで、どれだけ心が救われることだろう。それが上司ならなおさら。

2015-11-13 18:32:04
shinshinohara @ShinShinohara

逆に「お前なんかいてもいなくてもいいよ」という上司だと部下はつらい。そういう上司の態度を見ると、同僚だって表立って助け舟を出しにくくなる。自分が次の標的になるのが嫌だから。そうなると職場で孤立感を深め、「当事者」どころか「よそもの」感覚。意欲なんて湧くはずがない。

2015-11-13 18:34:19
shinshinohara @ShinShinohara

部下が当事者意識を持ち、自分から仕事を進めていくようになるには、 ①仕事が楽しい。 ②自分の考えが何らかの形で尊重される。 ことが必要。部下が楽しめているか、部下がチームに貢献できていると自覚できるような進め方ができているか、チェックする必要がある。

2015-11-13 18:38:23
shinshinohara @ShinShinohara

上司は部下に「ありがとう」を伝えることが大切。「ありがとう」を自然に言えるようになるには、減点方式ではなく加点方式の考え方に切り替えた方がよい。減点方式とは「理想と働き方を100点として現実が何点低いか」。100点以外は欠陥が目につき、ケチを付けたくなる。ありがとうが言えない。

2015-11-13 18:43:55
shinshinohara @ShinShinohara

加点方式は「この人がいなかったら、あるいは仕事を一切しなかったとした場合を0点としたら」と考えること。茶を汲んでくれた、次の段取りを聞きに来た、荷物を運んでくれた、これらすべては0点から比べればプラスアルファ。自然、「ありがとう」が言いやすくなる。

2015-11-13 18:46:11
shinshinohara @ShinShinohara

むろん、仕事と言うのは最低限達成すべきノルマと言うのがあるもの。給料もらうんだから、それなりに仕事をしてもらわなければ、と考えるのは当然のこと。だから「ゼロから比べればマシ」なんて考えを、部下の立場から主張するのはいかがかと思う。

2015-11-13 18:48:06
shinshinohara @ShinShinohara

しかし実際、設定されるノルマが非現実的なほど高い場合もある。そこから減点方式で評価されると、部下はたまったものではない。ダメ出しされるのが目に見えるから、意欲がわかなくなってしまう。

2015-11-13 18:49:16
shinshinohara @ShinShinohara

ノルマを義務と考えるか、目標と考えるかで違ってくる。義務と考えてしまうと、達成できない場合に何の評価も得られないことになるから、部下は疲労感ばかりが募る。目標だと「達成できたらすごいことだね!」となるので、目標に近づけば近づくほど楽しくなってくる。

2015-11-13 18:51:02
shinshinohara @ShinShinohara

楽しいと効率が上がる。楽しくないと効率が下がる。責任を持つ上司としては、ノルマを達成できなくなることは恐怖だろうが、その恐怖を部下に共有させようとすると、部下は「達成されない場合は評価してくれないんだ」と逃げ腰になる。すると能率がとても悪くなる。

2015-11-13 18:52:41
shinshinohara @ShinShinohara

野球監督が優勝を逃した時「選手たちは本当によくやってくれた。優勝を逃したのは私の責任」という発言がある。これはリーダーにとても大切な姿勢。こういう言葉を吐ければ優勝という「ノルマ」を達成できなかったとしても監督はきちんと俺たちの努力を見てくれている、と嬉しくなる。頑張りたくなる。

2015-11-13 18:55:20
shinshinohara @ShinShinohara

プロ野球の監督でも分かるように、ノルマの達成の責任はリーダーにある。孤独だが、リーダーが一人で引き受ける必要がある。リーダーは部下たちのパフォーマンスを上げるにはどうしたらよいか、楽しい雰囲気、努力することが嬉しくなる雰囲気、それをどうしたら作れるかを考える必要がある。

2015-11-13 18:58:21
shinshinohara @ShinShinohara

もしプロ野球の監督が「全員打率3割がノルマ」と選手に課したとしたら、「お前の打率が2割にとどまったから優勝できなかった」と選手に責任転嫁したとしたら、その球団は急速にダメになっていくだろう。選手を楽しく、努力する気にさせることができないと、監督としては存在意義がない。

2015-11-13 19:01:54
shinshinohara @ShinShinohara

「ノルマが達成できなかったら私の責任だから、それは気にしないで。ただどこまでそれに肉薄できるか、みなさん、知恵を出してもらえませんか」と意見を聞ければ、部下は自己効用感も持つことができ、楽しくなってきて、やる気が出てくるように思う。

2015-11-13 19:04:17