巨匠高畑勲が「プリキュア」の監督を引き受けるには？

おはぎ @ohagi2334

私の中の高畑勲監督に新しいプリキュアの監督になってほしいと頼むと「ではプリキュアとは何なのですか。なぜ女の子はプリキュアになるのですか。」という事を全ての学問や事実から照らし合わせつつ、最終的に「髪の色は変わりません」「女の子はプリキュアになれません」と段を下す想像しかできない。

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その話を横で聞いた宮崎さんは「パクさん。女の子はプリキュアになれるんですよ。なるしかない。なることを証明しなくちゃいけないんですよ。」と強い口調で訴えるが、高畑さんは「やはり女の子はプリキュアにはなれません。だからプリキュアの監督はできません」と言い周囲に沈黙が走る光景が浮かぶ。

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さらにその話を聞いていた私の中の鈴木敏夫さんは「では。変えちゃいましょう。女の子がなれるプリキュアに。」と提案するも、高畑さんは「そんなプリキュアに意味はないでしょう。そもそもプリキュアというのは・・・」という熱いプリキュア論が以下3時間続く光景が目に浮かんでしまう。

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3時間後、私の中の高畑さんが喋り終えたあと私の中の宮崎さんが「パクさん。私が描きますよ。プリキュア。まずプリキュアを描いてパクさんに見てもらいたい。プリキュアがアニメーションとして成立するか検証していきたい。」と言って、一心不乱にイメージボードを描き始める。

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私の中の鈴木敏夫さんは諦めずに「パクさん。かぐや姫までやったのだから、次はプリキュアですよ。プリキュア。こういう企画をやるのも大事だと思うんですよ。宮さんもプリキュアに本腰入れ始めて、機運が高まってますよ」というと私の中の高畑さんは「機運で映画は作れませんよ。」と言う。また沈黙。

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私の中の鈴木敏夫さんは、私の中の高畑さんの話を聞いて退席。「でもプリキュアの企画を押井守さんに渡したりすると『プリキュアなんか元々いなかった』『みんな東堂いづみの中の幻想』『戦車がメイン』みたいな話になってしまうし、プリキュアは高畑さんにやってほしい」と心の中で呟く。

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私の中の高畑さんは「今更ファンタジーか…」と苦悶し、私の中の宮崎さんは一心不乱にプリキュアの絵を描き続け、私の中の鈴木さんは高畑さんを説得しようと色んな人に出会う。ジブリでプリキュアが形になるのはまだまだ先のようだ。

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私の中の鈴木敏夫さんは「そうだ。たぬきが変身してプリキュアになればいいんだ。これなら納得は行く。あー、でもそれはぽんぽこの二番煎じだなと高畑さんに言われるなぁ。」とため息をつく。一方で高畑さんは「なぜ女の子はプリキュアになるのか。それは女の子に原罪があるからではないか」と考える。

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私の中の高畑監督は「なぜ女の子はプリキュアになるのか。そうだプリキュアは悪魔と契約を交したからだ。」これでいこうと思ったが、一瞬ある作品がよぎったのはいうまでもない。

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私の中の高畑さん「プリキュアは悪魔の妹なんです。つまりプリキュアは悪魔なのです。プリキュアとしての葛藤と人間としての葛藤をそれぞれ描くことができれば、プリキュアはプリキュアとして描くことができます。」 私の中の鈴木さん「でもそれ高畑さん…ホルスなのでは…」沈黙。

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プリキュアに悪戦苦闘する私の中の高畑さん・宮崎さん・鈴木さん。3人がプリキュアをやっている事は徐々に広まり、私の中の庵野監督は頼んでいないのにプリキュアの必殺技のバンクを描いてきて「宮さんがプリキュアやるなら手伝いたい」とやってくるなど、ジブリに新風が起こりつつあった。

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私の中の高畑監督は「変身する時に髪の色が変わるプリキュアについて、色素が変わらない限り髪の色が変わらないのではないか」と悩んでいた。私の中の鈴木さんは「高畑さん。変身する時に大量の光というかエネルギーが女の子の髪に放射されて色素が劇的に変化するというのはどうでしょう。」と提案。

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私の中の高畑さん「変身した場合のみを考えるなら、髪の色はそれでもいいのかもしれません。しかし変身を解いた時、光を浴びた以上、髪の色が元の色に戻るのは変ではないでしょうか。」 私の中の鈴木さん「光は浴びるというより変身中は体に宿す。変身を解いたら外に出す。これでいかがですか。」

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私の中の高畑さん「考えさせてください」沈黙。 一方で高畑さんは「この件も重要だが、なぜプリキュアなのか。なぜ女の子だけがプリキュアになれるのか。なぜ男の子はプリキュアになれないのか。その理由はなんなのか。これを突き止めない限りプリキュアの監督は引き受けられない」と考えていた。

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私の中の鈴木敏夫さんは押井守さんに高畑プリキュアについて相談。押井さんは「聖書になぞらえた物語」「プリキュアの髪型は全員おかっぱ」「実はプリキュアはいなかった」「物語は東堂いづみの夢の世界」と提案。鈴木さんは「それは押井さんの世界観でしょ」と応酬。その後二人は6時間やりあった。

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私の中の宮崎さんは「プリキュアで世界を変えなくっちゃいけないんですよ。実際は何も変わらないですよ。変わるわけがない。でもプリキュアで変えていくという意気込みがなければ作っちゃいけないですよ。」と言いながら、黙々とイメージボードとキャラを描いていく。

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私の中の宮崎さんはプリキュアの絵を何百・何千と描いて私の中の高畑さんに見せるが、高畑さんはピンと来ないようだ。「プリキュアとは何なのか。」「女の子はなぜプリキュアにならなければならないのか」高畑さんは何ヶ月もこの問題に苦闘しつつ、宮崎さんはプリキュアを描き続けた。

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私の中の高畑勲プリキュアはタイトル名でも難航していた。「じゃりン子！プリキュア」「ホーホケキョとなりのプリキュア」「プリキュアの墓」「平成プリキュア合戦」etc。これといったタイトルが決まらず、私の中の鈴木敏夫さんも苦慮していた。

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私の中の高畑勲さんがプリキュアをやろうとしている話は、東映アニメーションにも伝わっていた。あのジブリのかつて東映に在籍していた高畑さんがプリキュアをやるのは話題性にも繋がるので、東映側も高畑サイドに打診を試みていた。高畑さんが退社して40年。社内の高畑アレルギーも無くなっていた。

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私の中の高畑勲さんは、紆余曲折ありつつもプリキュアをやると決断。「やりますよプリキュア。プリキュア。」「人間であることとプリキュアであることのゆらぎを描き、その中のプリキュアにある罪と罰を描ければ、素晴らしいアニメーションになる。なるんですよ。」と主張。