金木犀さんの「宇宙」という言葉の起源についての考察

「宇宙」という言葉がいつ頃どこで使われ始めたか…「宇宙」という言葉の成り立ちについて、金木犀さんの講義です。 以下に続きます! ◆「宇宙」という言葉の起源についての考察(近現代編) http://togetter.com/li/160411
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金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

さてさて、とんでもない時刻だけれど、「宇宙」という言葉の起源について、これから考察を書いていくよ~

2011-01-18 00:41:09
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

まず、「宇宙」という言葉の辞書的な定義について。

2011-01-18 00:42:06
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

「宇」の意味:ウかんむりは家に関する言葉に付く。大屋根という意味。転じて、世界を覆う大屋根、つまり天という意味になり、更にこの世界全て、現代風に言うなら「三次元の全ての世界」という意味に拡張された。

2011-01-18 00:42:33
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

「宙」の意味:「過去・現在・未来」全てを含む時間を表す。時間軸の概念である。以上を併せると、「宇宙」という言葉は、その単語をもって「過去・現在・未来と続くこの世界」、つまり、三次元+時間軸の四次元世界を表すのである。

2011-01-18 00:43:39
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

では、「宇宙」という言葉は、いつ頃から使われ始めたのだろうか? 答えは紀元前の中国からである。

2011-01-18 00:44:38
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

私が見た限り、「宇宙」という熟語が文献に現れるのは中国の春秋戦国時代のことである。分かりやすく言うと、秦の始皇帝が中国統一を成し遂げる以前のことである。

2011-01-18 00:50:17
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

これらの書物の中に、「宇宙という言葉が現れる。『荘子(ソウジ)』内篇の逍遙遊篇(ショウヨウユウ)、外篇の斉物論(セイブツロン)篇、雑篇の讓王(ジョウオウ)篇および列禦寇(レツギョコウ)篇(B.C.4~3世紀頃成立)・『荀子(ジュンシ)』解蔽篇(B.C.3世紀ごろ成立)(続く)

2011-01-18 00:52:35
ウィロウ @willow1102

久々に金木犀さんの談義が始まって宇宙クラスタの中でも少数派のこっち側の人間としては嬉しい限り。

2011-01-18 00:53:57
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

時代は下るが、司馬遷の『史記』にも「宇宙」の用例はある。

2011-01-18 01:02:11
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

ここで、『荘子』の知北遊を例にとって、この時代の「宇宙」の意味を探ってみたい。

2011-01-18 01:03:19
廣瀬 匠(Sho Hirose) @kippis_sg

「宇宙」という言葉の成り立ちについて by @kin_mokusei 拝聴なう

2011-01-18 01:04:53
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

道無問、問無應。無問問之、是問空也。無應應之是、無内也。以無内待問空、若是者、外不觀乎宇宙、内不知乎大初。(書き下しは次ツイート)

2011-01-18 01:05:19
ウィロウ @willow1102

なにかデジャブを感じると思ったら、私もこの前諸子百家を参照にして中国における「国家」を探ろうとしたんだった(失敗したが)RT @kin_mokusei: ここで、『荘子』の知北遊を例にとって、この時代の「宇宙」の意味を探ってみたい。

2011-01-18 01:05:21
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

道は問うこと無く、問うも応うること無し。問うこと無きに之を問えば、是れ空を問うなり。応うること無きに之に応うれば、是れ内無きなり。内無きを以て空を問うを待つ、是くの若き者は、外は宇宙を観ず、内は大初を知らず。

2011-01-18 01:05:38
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

道は問えるようなものではなく、問うてもまた答えられるようなものではない。問うことなしにこれを問うならば、これは空を問うということである。答えることなしにこれに答えるなら、これは中身がないことである。中身がないのに空を問うのを待つ人物、これは、外は宇宙、内は大初を知らないのである。

2011-01-18 01:09:23
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

さて、『荘子』は道教の根本経典の一つなので非常に哲学的で難しいが、ここでの「宇宙」は「大初」の反対概念として現れる。大初とはこの世の初め。これを内側とするのだから、宇宙は出来上がったこの世、これが外側である。

2011-01-18 01:13:46
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

@hiroki71 『千字文』に関しては以前(まとめ:http://bit.ly/dsbYSJ)で触れたことがあります

2011-01-18 01:16:33
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

次に斉物論篇。「旁日月、挾宇宙…」 書き下し:日月を旁らに、宇宙を挟み… 現代語訳:(聖人は)日月と並び、宇宙を小脇に挟んで… ここにおいても「宇宙」はこの世のことである。

2011-01-18 01:21:48
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

次に『荀子』を見てみたい。經緯天地、而材官萬物、制割大理、而宇宙裏矣 。書き下し:經緯天地、而して材官萬物、制は大理を割き、而して宇宙の裏。 官吏が法律によって分に従って天下を治める助けとなる話で、これも「この世」あるいは「天下国家」という意味。

2011-01-18 01:32:59
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

やや時代を先に進め、秦代の『呂氏春秋』を例に取ってみたいと思う。ここには「精通乎、天地神覆乎宇宙(割注:宇宙、區宇之内。言其德大皆覆被也)」というフレーズが出る。(書き下しは次)

2011-01-18 01:37:20
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

精通せるか、天地の神、宇宙を覆うか(宇宙は區宇之内なり。言ふこころは其の德大いにして皆覆被せるなり):精通するか。天地の神は宇宙を覆うか(宇宙は区切られた屋根、この世界のこと。この箇所の意味は、宇宙の神の徳が大きくこの世をみな覆ってしまえることをいう)ここも「この世界」である。

2011-01-18 01:41:25
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

つまり、「宇宙」という言葉は、少なくとも中国の戦国時代には文献に書かれるほど一般的な言葉であり、かつ、その意味は「この世界(空間だけでなく、時間の概念も含む)」であったといえるだろう。

2011-01-18 01:43:01
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

ちなみに現代日本語で「宇宙」は宇宙空間、Spaceのことを指すが、中国だとこの意味では「太空」や「外層空間」(「宇宙」でも通じるそうですが、これは日本語に引っ張られて転訛してますね…)と言うそうです。

2011-01-18 01:46:50
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

以上、つたないものですが、「宇宙」という言葉の起源、および当初の意味についての考察、おわり。私はつぶやきっぱなしにするので、まとめて読みたい方はtogetterあたりでまとめてみて下さい。

2011-01-18 01:48:11
金木犀@火箭迷 @kin_mokusei

さて、お風呂が沸いたようです…離脱!

2011-01-18 01:48:38
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