「NHKスペシャル 新・映像の世紀 百年の悲劇はここから始まった」の雑感。

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イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

「新・映像の世紀」は見てなかったし、再放送もいつか分からない。そもそも今は病気で、休み休み動いているんだ。1時間以上もある番組を見続けられない(映画も何年も見てない)。というわけで、歴史の豆知識だけ。

2015-10-28 22:20:25
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

今ではレーニンと共産党の独裁ぶり、無慈悲な粛清が有名なので、ソ連崩壊とあいまって、ロシア革命の全てが否定されていそう。巻き返しを図った右翼軍人、帝政派将校たち白軍はいわば軍事のプロで、単純な戦争能力だったらボリシェビキより上だった。

2015-10-28 22:21:03
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

しかし彼ら帝政派が敗れたのは、そっちのほうがひどかったから。

2015-10-28 22:21:43
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

農民の間で皇帝(ツァーリ)を「父なる神」と同一視するロシア正教の伝統はあるものの、「皇帝、貴族サイコー」な連中はほとんど農民の生活に配慮しないので、ボリシェビキよりも略奪が激しくなった。

2015-10-28 22:22:18
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

それに対してボリシェビキは、農民に土地の再分配を約束し、民族の平等を旗印に少数民族の権利尊重を唱えた。地方の農村や辺境の少数民族を巻き込んだロシア内戦で、これらはボリシェビキを優位にしたイデオロギー的魅力だった(もちろんその後の現実は理想どおりに行かない)。

2015-10-28 22:22:41
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

早くから少子化、人口減少に直面した当時のフランスでは、不足する兵員を補うため、フランス領アフリカ植民地の黒人を徴兵することにした。「黒人は部隊の前列に配置され、砲弾の盾にされた」という説が根強くある。

2015-10-28 22:23:53
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

しかしそれは伝説に過ぎず、むしろヨーロッパ人は、植民地出身者に手本を示すため、前衛にいることもあったという。実際には黒人の犠牲が、白人より多いと言えないというのが近年の研究。

2015-10-28 22:24:04
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

1990年代末に不法滞在扱いされたアフリカ系が、教会を占拠して抗議を表明した。二度の世界大戦で、フランス兵は後衛にいたが、アフリカ兵は前衛にいて、自分たちは植民地主義の産物なのに、フランスを追放されようとしていると風刺した(平野千果子「アフリカを活用する」)。

2015-10-28 22:24:51
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

なにやら日本で「在日コリアンは強制連行された子孫」という話と、「それは在日の捏造」というネット右翼の主張を思わせる・・・。どこにでもある話なのかもしれない。

2015-10-28 22:25:06

ジョン・フラーは、「小銃の誕生が歩兵を生み、歩兵が民主主義を作り出した」「一丁の銃が一票の価値を持つ」とフランス革命の時代背景を表現した。18世紀後半、小銃が発達し、兵士一人ひとりの力が大きくなると、貴族の騎士道的勇敢さは時代遅れの産物になり、市民の発言力も増したのである。
 第一次世界大戦も、植民地からアジア人・アフリカ人が大量に徴兵された結果、「我々も白人と対等に戦える」という自信を植え付けた面もあった(秋田茂「イギリス帝国の歴史」)。

イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

マルクスは「平和的方法じゃ革命はできねー」といったが、19世紀後半から労働組合の合法化、選挙権などで、労働者の政治参加が進んだ。そうすると、「合法的に議会の多数派を占めれば、労働者の権利を実現できるじゃん」ということで、イギリスの労働党など、先進国では平和路線が定着する。

2015-10-28 22:52:39
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

しかしロシアでは、レーニンたち「暴力革命」を唱える過激派が結局主流になる。なぜなら政治的に遅れた国で、弾圧も激しいから「平和的にやりましょう」というきれいごとが通用しない。結局弾圧に負けない組織作りが支持される。

2015-10-28 22:53:19
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

ロシアでは議会を作る穏健的試みが挫折し、結局「皇帝と配下の大臣が偉い」というまんまだった。そこまでじゃないけど、ドイツでも議会が余り成熟していなかった。そうなるとドイツやロシアのように、戦争指導の失敗で皇帝の権威が失墜すると、権力の空白ができて無秩序になるのだ。

2015-10-28 22:54:04

ちなみにレーニンは、ロベスピエールおよびジャコバン主義にすっごい影響受けてました。共産主義者の間でも「ジャコバン主義はもう古い」っていう人もいたんだけど、レーニンが現に革命を成就させたことで、結構長いあいだレーニンが絶対的に偉くなってしまった。

イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

家族が「NHKスペシャル 新・映像の世紀 百年の悲劇はここから始まった」の再放送を録画していたので、私も後で見た。塹壕戦、毒ガス、レーニン、アラビアのロレンス、様々な話題を詰め込んでおり、「第一次世界大戦で色々あった」という群像劇としては印象的で面白いが、

2015-11-23 14:00:21
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

個々の掘り下げは甘い。私のよく知らない「アラビアのロレンス」とかは気にならなかったけど、ロシア革命はちょっと不満。

2015-11-23 14:00:35
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

ドイツの用意した列車で、ロシアに帰国したレーニン。「うまくいった」というドイツ人外交官の語りと、レーニンがドイツと講和したブレスト=リトフスク条約をつづるだけでは、まるでレーニンがドイツに踊らされていたようだ。

2015-11-23 14:01:16
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

結果的にはそうなったわけだが、レーニンやトロツキーたちは、ロシアで革命を起こしたことがきっかけで、ドイツにも革命が起こると思っていた。「無併合・無賠償・民族の独立」を原則に、世界中の国に大戦終結を呼びかける「平和への布告」を発表し、

2015-11-23 14:01:46
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

さらに番組中でもふれられていた、英・仏・ロシアによる中東分割の秘密協定などを暴露。これで戦争にウンザリしていた、世界中の労働者が蜂起するはずだった。ブレスト=リトフスク条約もあくまでそれまでの「時間稼ぎ」で、交渉を意図的に引き延ばしていた。

2015-11-23 14:02:24
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

今から見ればレーニンとトロツキーの甘い情勢判断は、十分批判に値する。そして「世界革命達成までの非常措置」として、赤色テロルを発動させたことは、大きな過ちである。

2015-11-23 14:03:08
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

ただし共産主義イデオロギーが力を失った今でも、「これは非常事態の一時的な措置なんだ」ということでなんでも通る問題は、今でもあまり変わらない。

2015-11-23 14:03:34
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

参考文献、J・M・ロバーツ「図説世界の歴史 8」。

2015-11-23 14:04:24

参考文献、田中陽児,倉持俊一,和田春樹「ロシア史〈3〉20世紀 (世界歴史大系)」。

イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

NHKスペシャル「新・映像の世紀」映像は、人間の罪と勇気を照らしだす。 #新・映像の世紀 nhk.or.jp/special/eizo/

2015-11-23 14:04:41

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