GB鎮守府の航海日誌 2015年07月から09月

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kai jester @kai_jest

ワシントンDC、アメリカの首都にして如何なる州にも属さない特別区であるここは、世界中の犯罪者にとって文字通り特別な場所となっている。 #GB鎮守府

2015-07-19 15:51:01
kai jester @kai_jest

超大国アメリカの政治的中心地、金融的にも大きな意味を持つこの土地にはその役割に応じるよう、人や物が集まっていた。そして付随する犯罪もまた集まっている。 2011年ごろから急激に増加した強盗・密輸・麻薬や武器の密売など凶悪犯罪は、この街の治安を著しく悪化させていた。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:04:39
kai jester @kai_jest

今やDCは表の顔と裏の顔、その両面が深く入り混じる混沌都市として世界中から認識されている。 治安当局は現状に対し強力な武力をもって対応に当たり、犯罪者もそれに従って凶悪な武装を持ち出すいたちごっこは、この街を更なる混沌に誘うであろう。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:11:18
kai jester @kai_jest

そして、闇の帳が降りた深夜のDCに繰り出す四人がいた。 「だっからよー言ってんだろ!運ぶ時間考えたら金塊より紙幣の方が絶対儲かるって!マジだっての!」 俺は後ろを歩く電ちゃんに話しかける。ギャグボールマスクで声が籠るため、大声になるのは仕方がない。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:20:55
kai jester @kai_jest

「そんなことないのです。貸金庫開けの時間に金塊を運べば、単価が大きい金塊の方が身の入りはいいのです」 いつもの制服姿でトコトコと後ろをついてくる電ちゃんが、冷静に反論をしてくる。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:24:14
kai jester @kai_jest

「ちょっとーお二人さん、物騒な会話しないでよー。街中なんですけど」 文句を言うのはその隣にいる北上だ。両手を頭の後ろに回してぶらぶらと周りを見ている。なんで銃殺されるポーズしてるんだ? 「いーんだよこの辺は。周り見ればわかるだろ?」 #GB鎮守府

2015-07-19 16:26:26
kai jester @kai_jest

見れば、周囲には誘蛾灯の如き怪しげなネオンが咲き乱れ、街頭に立つのは妙に露出のある服を来た女性とスーツ姿の屈強な黒人、それに同じくスーツを着て仮装大会の様なマスクを付けた人々だった。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:30:49
kai jester @kai_jest

俺の様なチビもいれば、身長が2mはありそうなデカブツや見るからにマッチョな女、腰が折れ曲がっている老人もいる。その全員が思い思いのマスクを付けて街中にいるのだ。 「ちょっと異様な光景だね。話には聞いてたけど」 一番後ろを歩くアカシがおっかなびっくり辺りを伺う。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:35:37
kai jester @kai_jest

「何言ってんだ馬鹿、ここじゃお前らの方が異様だ。マスクもつけずにハイスクールガール姿じゃ、娼婦と間違われても仕方ないぞ」 「ちょっと提督!それもっと早く行ってよ!」 大井が恥ずかしそうに自分の体を両腕で抱く。今更何やってんだか。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:40:19
kai jester @kai_jest

「だからマスクは渡しただろ。被ればいいじゃねーか」 「だってこのマスクじゃ……」 そう言って俺の渡したマスクを取り出すが、なかなかつけようとはしない。 パープルの鮮やかなツインテールに大きな両目、ピンクの頬にキュートな唇。kawaiiマスクの何が不満だってんだ。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:43:38
kai jester @kai_jest

「いや、これは無いでしょ。ないない」 マスクをうちわの様に振ってその存在を全否定する北上。 「ふっざけんなお前それオシャレでナウいだろうが!」 「ボクもどうかと思うけどね、カートゥーンじゃないんだから」 同じくkawaiiマスクを眺めながらアカシがぼそりとつぶやく。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:48:24
kai jester @kai_jest

「ふん、まあいい。そろそろマジで被ってくれ。ドレスコードにうるさい店だからな」 先ほど回収した荷物をセーフハウスに保管し、深夜のネオン街を闊歩していたのには理由がある。この店に来るためだ。 「ノックオフ」。ここらにいるときには良く飲みに行っていた酒場だ。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:53:26
kai jester @kai_jest

「やっと着いたのです」 自分は関係ないとばかりに素顔で歩いていた電ちゃんが指し示す方を見ると、屈強な黒人が入り口をふさいでいた。馴染みの店員だ。 「おい北上、一つ賭けをしようぜ」 人差し指を立てながら北上に向き直る。 #GB鎮守府

2015-07-19 16:59:12
kai jester @kai_jest

「お前がすんなり通れたら、気に入ったマスクを何でも一個買ってやるよ」 「えー、嬉しくないんだけどそれ」 「ちなみに、そのマスクは安い方だが一個七十万円ほどするぞ」 「やる!なんでも買ってよね!」 コイツ転売する気じゃねーだろうな……。 #GB鎮守府

2015-07-19 17:02:25
kai jester @kai_jest

「折角だからお手本を見せてもらおう。電ちゃん、先入ってくれ」 頷くと黒人の前まで歩いていく電ちゃん。実は彼女は依然俺とここに来たことがある。そのため勝手を知っているのだ。 「イナヅマの姉御じゃないっすか、いつこっちに?」 「ついさっきなのです。中に入れてくれます?」 #GB鎮守府

2015-07-19 17:06:31
kai jester @kai_jest

「あ、あぁもちろん!一応規則なんで……」 そう言って黒人は金属探知機で体の輪郭をなぞる。 「失礼しました、どうぞ入ってください。GBも?」 「そこにいるのです。ありがとう、なのです」 そうして電ちゃんは奥に消えていった。 「北上、次お前な。楽しみにしてるぜ」 #GB鎮守府

2015-07-19 17:13:40
kai jester @kai_jest

「なーんだあれだけ?簡単っしょ」 そう意気込んで入り口に向かうと、堂々と黒人の前に立った。 ……が、何も起こらない。 スタッフの黒人は正面の虚空を見つめるのみで、まるで北上なんか存在しないかの如く振る舞っている。 「えーっと、おじさん?hi?」 #GB鎮守府

2015-07-19 17:16:33
kai jester @kai_jest

「ねぇ、ねぇってば」 北上が手を顔の前で振っても、彼は何も起きなかったと周囲を見渡している。 「おじさんってば!」 業を煮やした北上が肩に手をかけると、スタッフがいきなり懐の銃を抜き、北上に向かって発砲し始めた。 #GB鎮守府

2015-07-19 17:22:02
kai jester @kai_jest

「ちょ、ちょっとおじさんなにやってんの!?」 訳もわからずガンガンと銃を撃ち込まれている北上だが、艦娘の装甲は9mmじゃ傷一つ付かない。 多少眉をしかめる黒人は、次に懐から手榴弾を取り出し―― 「well well well welll……」 #GB鎮守府

2015-07-19 17:26:03
kai jester @kai_jest

これ以上は遊びの範囲を超えるので、仕方なく姿を現す。 「なんだGB、つーことはこの娘はあんたんところの」 「そうだぜ、俺の部下で北上って言うんだ。からかって悪かったな」 「まったく、ジョークにしてはきついぜ」 「ちょ、もしかして今のわざと!?」 北上が喚き散らす。 #GB鎮守府

2015-07-19 17:30:45
kai jester @kai_jest

「わざとっつーか、ここは会員証がなきゃボディーチェックもしてくれねーんだ」 「電はさっき何も見せてなかったじゃん」 「見せる必要はねーんだよ。持ってここに立つと、このおじさんの持ってるセンサーが震えて知らせてくれるんだ。音は出ないけどな」 #GB鎮守府

2015-07-19 17:33:27
kai jester @kai_jest

俺が入り口に立っておどけると、黒人が震えるセンサーを取り出して見せる。 「俺たちはこれで客を見分けてるんだ。あんたは持ってなかっただろ?」 「提督ずるじゃん。ずーるーいー!」 地団駄を踏みそうな北上を放置して、黒人に話しかける。 #GB鎮守府

2015-07-19 17:59:24
kai jester @kai_jest

「というわけで、ゲストパスを2枚貰おうか」 「あいよ、そっちのピンク髪の娘さんとキタカミのだろ?」 「あぁ、こっちは電ちゃんも入れて4人だ、頼むぜ」 そう伝えると、懐から2枚のカードを取り出し俺に渡してくる。 「これだ、持っていきな」 #GB鎮守府

2015-07-19 18:02:22
kai jester @kai_jest

これがたけーんだ。一枚で十万ドル。しかも使い捨てのカードだ。 しかし全員いないと話になんねぇからな、北上には撃破ボーナスの件もある。 「北上、アカシ、行くぞ!」 おれは二人を呼びつけると店の中に進んで行った。ここからが大事なところだ。 #GB鎮守府

2015-07-19 18:04:26
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