「ニンジャズ・デン」#2・再放送Ver(実況なし)
ドーモ。コンピレイシヨン「殺」をすでに聴けていますか?スゴイ良い!明日の同時再生にも備えよう!そしてこれから、昨日に引き続き、短編エピソード「ニンジャズ・デン」の更新が行われるという寸法です。
2015-11-28 21:41:25←この男ニンジャスレイヤー。彼はネオサイタマ郊外にたたずむ「ブラッドバス・シアター」という謎の城に乗り込みました。盗まれたオイランドロイド(オイラン型のセクサロイド)を取り返せという依頼を受けたからです。ブラッドバス・シアターは欲望と暴力が支配する危険な城です。
2015-11-28 21:46:13←この男ニンジャスレイヤーはニンジャを殺す者なので、このまま事態が終わるわけがない。異常な世界に単身彼が入り込む過程が描かれた#1 から一転、今日の #2 では、いよいよ敵ニンジャが登場し、激しいカラテの嵐があなた方に突風めいて襲い掛かることでしょう。さあ、始まりますよ!
2015-11-28 21:48:36「これが?」ストライプのスーツを着たアルビノの男は、クリスタル・チャブを挟んで向かい合うブロンズ装束のニンジャを見た。そして、もういちど、床に転がされた女を二度見した。「……これが?」「そうだ。この……このカスだ」メンポ(面頬)越しにも、このニンジャの苦々しい表情はうかがえる。1
2015-11-28 21:54:23「激しく前後するドスエ?」女は呟き、床から見上げた。その声はやや震えていた。「人間です」アルビノの男は冷静に言った。「見りゃわかる」とニンジャが言った。「だが、俺が判断するわけにもな。破壊検査というわけにもいかん」「成程」アルビノの男は頷き、「人間です」あらためて断定した。 2
2015-11-28 21:56:21「……フー……」ブロンズのニンジャはため息をついた。この部屋からは人払いをさせてある。床にはバイオホワイトタイガーの毛皮。壁には「太宰府」と書かれたショドーが飾られている。「お前さんがそう言うなら、そうなんだろうぜ」「満足です」アルビノの男は立ち上がった。 3
2015-11-28 21:59:15アルビノの男は携帯端末を取り出した。端末背面には四枚の翼を生やすオイランの意匠が彫り込まれている。ピグマリオン・コシモト兄弟カンパニーの社章だ。アルビノの男が携帯端末を操作すると、部屋の隅のUNIXから入金音が鳴り響いた。キャバァーン!「約束報酬の50パーセントを振り込みます」4
2015-11-28 22:02:05「50?こいつが生身か機械かなんて話は俺には関係ねえ。とにかく、ソゴの嘘八百は明らかになった。誰の働きでだ?」「貴方です」エージェントは無感情に答えた。「ゆえに50パーセントはお支払いします」「……」ブロンズのニンジャは舌打ちした。「まァいい。要らねえんだな?そこのゴミカスは」5
2015-11-28 22:04:26「……」アルビノのエージェントは女を見た。女は恐怖にカチカチと歯を鳴らしながらエージェントを見た。エージェントは頷いた。「当然です。無意味ですね。お好きになさってください」「アイエエエエエ!」女が泣き叫んだ。エージェントはニンジャにオジギし、退出した。6
2015-11-28 22:07:08エージェントはVIPルームを出、ところどころ繕い切れないヒビ割れが目立つ廊下を進んだ。壁には「アソビ」「何か面白い事ない?」「ケンカ」「バカ」等の恐るべき文言が鮮血めいた赤スプレーで書かれている。彼はそれらに対し何の感慨も抱いていない様子だ。そのまま廊下の曲がり角に差し掛かる。7
2015-11-28 22:09:55「……」彼は異様な何かを前方から感じ取り、足を止める。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」……カラテ・シャウト、そして悲鳴。やがてひとつの足音が近づいてきた。角を曲がって現れたのは、赤黒装束を身にまとうニンジャであった。8
2015-11-28 22:13:01アルビノの男は一歩後ずさった。赤黒のニンジャが放つアトモスフィアは恐るべきものだ。だが、男は失禁や恐慌には至らない。彼がつい今しがた、VIPルームでこのブラッドバス・シアターのあるじとおぼしきニンジャと、平然とやり取りしていた事を思い出していただきたい。9
2015-11-28 22:15:39「ドーモ。始めまして」アルビノの男はなんと、先手を打ってオジギを繰り出したのである。さらに、頭を上げながら自らの懐に手をいれ、滑らかな動作で名刺を差し出した。「私の名前はエシオです。ピグマリオン・コシモト兄弟カンパニーのエージェントをしております」 10
2015-11-28 22:17:30「ドーモ。エシオ=サン」ニンジャスレイヤーは反射的にオジギを返し、名刺を受け取った。アイサツ行為は神聖不可侵だ。「ニンジャスレイヤーです」「お噂は存じております。お会いできて光栄です」エシオは滑らかに言った。「ニンジャを殺しておられると」「その通りだ」とニンジャスレイヤー。11
2015-11-28 22:20:13ニンジャスレイヤーはエシオに右手を差し出した。スリケン投擲めいた仕草であったが、その手には黒いカードが……彼自身の名刺があった。「ニンジャスレイヤー」とだけ書かれている。他には何の情報も無い。エシオはこれを受け取り、名刺ケースにしまう。「見ての通り私はニンジャではありません」12
2015-11-28 22:22:57「この城の関係者か」「いえ」エシオは首を振った。「我が社として、確認すべき事がありました。その為に訪れたのです」「……」ニンジャスレイヤーはピグマリオン・コシモト兄弟カンパニーの社名と、今回のオイランドロイドの件を容易に関連づける。「成る程。確認か」「……確認です」13
2015-11-28 22:25:50エシオは脇にのいた。そして己が歩いてきた廊下を見やった。「オーナーのニンジャに御用があるのでしょう。あるいは……そのニンジャの強奪品に?」「そのどちらもだ」ニンジャスレイヤーは無感情に言った。「彼女は無事でした」エシオは冷たく言った。「少なくとも、私が見た数分前にはね」14
2015-11-28 22:28:39ニンジャスレイヤーは一歩踏み出す。さらに一歩。エシオは目を閉じ、会釈をした。「……」「……」二者が交錯する。廊下の空気が重苦しく渦巻く音が聞こえてくるようだ。ニンジャスレイヤーは……走り出した。その背中を、エシオは一秒間、見送った。15
2015-11-28 22:31:37ターン!隣室と繋がるフスマが勢いよく開かれ、待機していた手下ギャングがぞろぞろと現れた。「いけすかねえサラリマン野郎だったですよね、ボス!」「女どうします」「……」ブロンズ装束のニンジャ……その名をヒートシーカー……は、バッファロー革のソファーに踏ん反り返り、彼らを睨んだ。17
2015-11-28 22:36:10