自作『星が眠るとするならば』『回帰線すら口ずさみ』『明るさに足あとをこぼして』の解説

自作について解説をいたしました。楽しんでいただければ幸いです。
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@kawagopo

『星が眠るとするならば』解説 最初は幻想郷から単独で宇宙へ飛び出す魔理沙のイメージがあった。機密服を着た魔女が箒一本で空へ飛び立ち、高度を増すごとに見送りとして並行する面々が減っていくという場面。それとは別に、秘封倶楽部を空の果て・地の底へ行かせたので次の話は海底にしようと決まり

2015-11-29 20:35:06
@kawagopo

続)混ぜあわせたのが一番最初の発想だったと思う。科学世紀における海底庭園を想像していくうちに舞台が固まっていき、逆算していく形で京都や秘封倶楽部とつなぎ合わされていった。魔理沙と勇儀を合わせたのは名前やキーアイテムに星を含めているという自然な発想で、

2015-11-29 20:35:15
@kawagopo

続)別の短編でも同じことをやったように名前や言葉の属性を合わせるのが自分はどうも好きらしい。同じように好みなのが勇儀の不思議な力という側面を前に出しているところで、二次創作としては多分にアマノジャクなのだがずいぶん楽しんで書けた。

2015-11-29 20:35:21
@kawagopo

続)霊夢の所在を宇宙の最期にした以上は魔理沙を人間外にしなければならなかったが、不老不死では脆すぎるように思えたし何よりまるで幸せではないため星になった。神話や伝承で人はすぐ星になれるし、呪いや天罰でさまよい続けることになる。

2015-11-29 20:35:26
@kawagopo

続)そこはおそらく光年や天文単位といった言葉とは無縁の宇宙であり、そういう宇宙は地球の外ではなく空の向こうへまだ残っているように思う。 この辺りの作品から文体に山尾悠子の影響が出始めており、他にも田村隆一から語彙を拝借している部分が見受けられる。(終)

2015-11-29 20:35:35
@kawagopo

『回帰線すら口ずさみ』解説 貴族の娘を娶った一寸法師の子孫たちが隔離された環境で永らえてきたのであれば、針妙丸の素養として和歌があるのではないかという着想から始まり、その相方として芳香を据えてみるとあとは磁石へ吸われるに物語が集まってくれた。

2015-12-04 20:28:47
@kawagopo

続)プレビュー版を発表したイベントで深秘録が配布されたためにいま見直すと針妙丸の動機へ齟齬が生まれており、その意味ではもうこの世界を書くことはできないだろう。地の文へ漢詩風の単語が出てくる部分の大体は『和漢朗詠集』に入集している都良香の歌から表現を抜粋して混ぜ込んだもので、

2015-12-04 20:28:54
@kawagopo

続)彼女たちが何を歌って聞いたのか雰囲気を匂わせることができていれば嬉しい。 都良香の思想そのものは成仙を目指すものではなかったという観点から彼に妹がいた事にして、それと対応するよう青娥も『聊斎志異』に登場する二人のミックスとしたが後者は少しやりすぎた気がしてならない。

2015-12-04 20:29:00
@kawagopo

続)表紙をnopさんへ依頼したとき芳香の関節が硬直していることを告げ忘れていたため、完成した物を見た時は嬉しくなってしまった。本人へ確認は取っていないのでもしかしたら狙って描かれたのかもしれない。 pic.twitter.com/cfjzt3igkI

2015-12-04 20:29:12
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@kawagopo

続)そういえば仮題は『meet again』と『海を探す』だったのだが、珍しく本文を書き終えてからもタイトルが浮かんでこずしばらく悩んだ。

2015-12-04 20:29:39
@kawagopo

『明るさに足あとをこぼして』解説 80年代における科学の最先端が描いていた未来の一つにコンピュータープログラムの進化があり、そこを調べているときに出てきた中間言語という言葉からスタートして『光について』は作られた。

2015-12-13 23:41:21
@kawagopo

続)同時期のオカルトブームを体現しているような菫子だがメジャーな能力である予知夢には目覚めていなかったため、「彼女が心奪われるような予知夢があるとすればなんだろう」と考えていくうちに作中の仕掛けへ繋がっていったこともまた、この時代を調べているうちに思考が引っ張られていたのだろう。

2015-12-13 23:41:28
@kawagopo

続)他には菫子が身にまとうルーン文字を生かせないかと考え、言語となる直接のきっかけとなった場面をオーディンになぞらえるなどしている。【片目を失う】【グングニル(この場合は霊夢と陰陽玉)で世界樹へ縫い付けられて真理を得る】の二点。

2015-12-13 23:41:35
@kawagopo

続)解説のために過去作を読み返して気づいたのだが、世界樹とバベルの塔を重ねあわせるモチーフが自分は好きなようだ。 『沙草』は『光について』ありきで作られた。80年代製の未来テクノロジーであるホログラフィが使用されているのはその流れから(現代だと仮想現実がその位置へ収まりつつある)

2015-12-13 23:41:52
@kawagopo

続)女のようなもの は幾億のスキマが重なってできた人物を思いつき、それが動いたときの音はいかほどのものになるのかという疑問が星を砕くという答えになった。最後に闖入してきた少女が時間を停止しているのは、これもオカルトの代名詞のひとつであるから。盛りすぎである。(終)

2015-12-13 23:42:01