水木しげるをどう評価するか

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酔鏡仙@ @suikyosen

絵画史的には、鳥山石燕や竹原春泉斎を再評価させたのも水木しげるの功績だと思う。江戸時代に隆盛を極めたが明治以降は柳田國男の民俗学によって追いやられつつあった江戸の妖怪文化を、戦後サブカルチャーという形で復活させたのは間違いなく水木しげるあっての事だろうと

2015-12-01 00:27:04
酔鏡仙@ @suikyosen

柳田國男は民俗学によって地方の怪異を「妖怪」の名を冠して"発掘"したけれども、同時に本来江戸や上方などの都市文化の一つだった「妖怪」を駆逐しかける事になった。それを石燕や春泉の絵を通して蘇らせ、同時に柳田が"発掘"した「妖怪」と融合させて現代の妖怪文化を形成した張本人が水木しげる

2015-12-01 00:31:25
酔鏡仙@ @suikyosen

だから第二次世界大戦以降、昭和30年代から現代に至るまでの妖怪文化というのは殆ど水木しげる唯一人の手で基礎的な形成が行われたと言っても過言ではないと思うのね。水木がいなければ江戸時代の妖怪は滅んでいたし、柳田民俗学の妖怪も博物館に展示された単なるコレクションでしかなかっただろう

2015-12-01 00:35:54
酔鏡仙@ @suikyosen

そもそも水木が漫画に描かなければ、一反木綿や油すましや砂かけ婆のような民俗学系妖怪、ぬらりひょんや蛇骨婆や五徳猫のような江戸文芸系妖怪が同じ絵の中で宴会したりバトルしたりするような現代文化はおそらく誕生しなかった可能性が高い。そういう意味で、あれは水木が作った文化なのだと云々

2015-12-01 00:40:46
酔鏡仙@ @suikyosen

エルフや妖精が活躍するファンタジージャンルの祖がJ.R.R.トールキンであるなら、妖怪やそれに類する存在が活躍する和風ファンタジージャンルの祖は水木しげるに他ならない、と私は考えている

2015-12-01 00:45:35
酔鏡仙@ @suikyosen

私がここまで水木を高く評価するのは、まあ私が水木信者だからなのも実際あるけど、何より「妖怪」というものを詳しく調べていくと何処からどう入っても確実に水木しげるへ突き当たってしまうからだったりする。だから妖怪研究をやろうとするといつのまにか水木しげる研究になってしまうジレンマがある

2015-12-01 00:54:50