Yの人によるY字についての解説 ~抗体の仕組みと働き~

Y字の意味、前にもやったような気がしますが、もう一度。
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昨日の夜、児島さん@cozythereminの質問から、「B型肝炎の抗体」の話になったんですよ。
だから、

Y Tambe @y_tambe

抗体の話はまだあんまりやってなかったっけ?

2015-12-08 11:28:19
Y Tambe @y_tambe

「中和・凝集・補体活性化・オプソニン化」ってあたり。

2015-12-08 11:29:09

ふむ。
(1)中和
(2)凝集
(3)オプソニン化
(4)補体活性化

Y Tambe @y_tambe

あの「Y字形」には、ちゃんと意味がある、とか。

2015-12-08 11:30:10

そして「Y字の意味」。

ぶたやま@「ぶたやまかあさんのやり過ごしごはん」発売中 @Butayama3

というか、抗体は何をするのか。 抗体はガン細胞や抗原やウイルスに感染した細胞に何かする。 ということはなんとなくわかってる。

2015-12-08 12:13:35

そして夜。
講義、始まってる。

Y Tambe @y_tambe

抗体の「基本ユニット」の模式図。(1) Fab領域 (2)Fc領域 (3) H鎖(Heavy chain) (4)L鎖(Light chain) (5)抗原結合部位 (6)ヒンジ部 pic.twitter.com/EveVlIatYb

2015-12-08 21:47:13
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Y Tambe @y_tambe

2組のH鎖とL鎖、合計4本のタンパク質がくっ付いて出来ている分子、抗体。その最大の特徴は「くっつく機能」にある。アルファベットの「Y字」をした、上の部分、Fab領域の先端にある「抗原結合領域」が、その機能を担っている。

2015-12-08 21:49:50
Y Tambe @y_tambe

この抗原結合領域は、非常に多様性に富んだ形になっていて、そこにぴったり「鍵と鍵穴」の関係でくっつく相手(抗原)とだけ、抗体は結合する。この「選択性の高さ」「多様性の豊富さ」が抗原−抗体反応の特徴。

2015-12-08 21:52:19
Y Tambe @y_tambe

抗体の最大の特徴は「くっつくこと」なのだが、ではなぜ「くっつく」ことで、僕らの体内に侵入してきた病原体やら毒素なんかを排除できるのか。それには免疫反応における、抗体の4つの働きが関係している。それが「中和反応」「凝集反応」「オプソニン化」「補体活性化」

2015-12-08 21:56:08

(1)中和作用

Y Tambe @y_tambe

このうち、もっとも単純とも言えるのが、(1)中和作用。 これは「抗体がくっつくことで、ヘビ毒なんかの作用や、ウイルスの宿主細胞への侵入が邪魔される」という働き。ヘビ毒の毒素活性に必要な場所に、抗体がぴったりくっついてブロックしたり、インフルエンザウイルスの表面のHAタンパクを(続

2015-12-08 21:59:48
Y Tambe @y_tambe

承前)抗HA抗体が全部くっついて細胞への侵入をブロックしたりすることで、毒やウイルス感染から守られる。このとき、毒素やウイルスタンパク質などと抗体を混ぜると、混ぜた抗体の量が少ないときには毒素とかが残るが、ある程度以上混ぜると無毒化される。これが「中和」と言われるゆえん(続

2015-12-08 22:02:50
Y Tambe @y_tambe

承前)ただし、この「中和作用」を発揮するのは抗体が、毒素の活性中心とか、ウイルス表面タンパク質の中でも感染に重要なものを認識して結合する場合に限られる。そういう抗体を「中和抗体」と呼ぶ。純粋に「くっつくだけ」で無毒化するのだけど、このタイプのは限定的で、割と少ない。

2015-12-08 22:06:22
児嶋 住職 @cozytheremin

まったくわからないけど…免疫と抗体って同じじゃないの twitter.com/y_tambe/status…

2015-12-08 22:07:08
Y Tambe @y_tambe

@cozytheremin 免疫は「システム全体」。抗体は、そのために働く「道具」の一つ。しかも、飛び道具っぽいというかなんというか。

2015-12-08 22:07:57
児嶋 住職 @cozytheremin

@y_tambe ありがとうございます。「免疫」って誤解してたようで、ご解説難しいですがたのしく読んでおります…

2015-12-08 22:10:14

(2)凝集作用

Y Tambe @y_tambe

では、それ以外の抗体は、どうやって毒や病原体を無力化するのか。そこで関わってくるのが(2)凝集作用。これには、抗体が「Y字」になっていることがカギを握ってる。抗体一分子には、2つの抗原結合部位が存在しているが、この2つはどちらも全く同じかたち。つまり同じ抗原を認識し、結合する。

2015-12-08 22:14:22
Y Tambe @y_tambe

これは「1分子の抗体で、2分子の抗原と結合できる=抗原同士を架橋(橋渡し)して連結できる」ことと同じ。ここでもし、別の抗体がその架橋された抗原にくっ付いたら…? 例えばインフルエンザウイルス表面のHAタンパク質に抗体がくっついて、ウイルス粒子同士を架橋していったらどうなるか(続

2015-12-08 22:19:17