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「フロイトは心理学者だと思いますか?」という質問から心理学を考える

投票ツイートから始まった議論をまとめました。
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きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

【投票機能】フロイトは心理学者だと思いますか? ※この設問を読んで考え方が変わった人も,設問を読む前の意見をご回答ください。このアンケートはテストではないので率直に答えて頂いてかまいません。

2015-12-02 23:12:49
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

投票結果。「フロイトは心理学者だと思いますか?」という質問に対し,273票の投票があり,59%の人が「そう思う」,41%の人が「違うと思う」と回答。twitter.com/kisopsy_kun/st… pic.twitter.com/RyxfVpDGiY

2015-12-09 01:21:36
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きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

もうちょっと「そう思う」と答える人が多くなるかなと思っていたけど,思ったよりも割れました。もっとも,僕のフォロワーさんには現代の心理学を理解している人が比較的多いでしょうから,無作為にサンプリングするよりは「違うと思う」の率が高くなったと考えれます。

2015-12-09 01:24:02
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

なお,実際にフロイトが心理学者か否かというのは定義次第なので正解はありません。が,僕の個人的な認識からいえば,現代支配的な科学的心理学とフロイトの精神分析では目的意識も歴史的経緯も背後にある哲学も方法論も全く違うので,誤解を防ぐためにもフロイトを心理学者と呼ぶのは避けています。

2015-12-09 01:27:13
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

フロイトの理論は現代の典型的な心理学のメインストリームからはかなり外れたところにあります。けれど,今でもフロイトが典型的な心理学者だと思われがちですね。

2015-12-09 01:30:40
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

僕はフロイトの著書にあんまり詳しくないですが,フロイト自身は自分のことを心理学者と自称してましたっけ?

2015-12-09 01:32:44
いっち @ITI_3

フロイトは自身の書で心理学者と述べていたかと・・・。

2015-12-09 01:40:30
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

ユングやアドラーは心理学という言葉を使っていますが,これらも現代の典型的な心理学とはかけ離れているので個人的には心理学と呼ぶのに消極的です。ユングは趣味でちょっとだけかじりましたけど,アドラーのことはちんぷんかんぷんです。

2015-12-09 01:33:37
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

高校生向けのアンケートで「フロイトが心理学の創始者である」みたいな質問をしたら大半の人がYesと答えた,みたいな研究がどこかにあったと思いますが,これは完全に誤りですね。また出典を探していつか取り上げるかもしれません。

2015-12-09 01:34:55
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

もっとも,「科学的な」ものだけが心理学であると考えてしまうのもやや極端な見方と言えるかもしれません。そもそも心理学という言葉そのものが広範すぎるので,いずれ解体されて,学問名としての「心理学」は無くなるかもしれないですね。そうなったら僕も改名しなくては。

2015-12-09 01:37:49
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

フロイトの理論そのものを非科学だと批判してもあんまり意味がないし,あれはあれで学術的に意義のある内容なんですが,「心理学は科学である」からの「フロイトはかくかく言っている,ゆえにしかじかである」みたいなトンデモがすごく多いはちょっと問題かなあと思います。

2015-12-09 01:40:23
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

科学的心理学もフロイトもどっちも心理学,で良いっちゃ良いんですが,「心についての学問」ということ以外まったく違う両者が同一視されてしまうのは実際かなりミスリーディングだと思うんですよね。分かっていて同じ名前で呼ぶならともかく,一般の人に対してはかなり不親切だなあと。

2015-12-09 01:43:51
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

一方で,科学的心理学こそ心理学だと考える立場の人の中には徹底的に「フロイト=心理学」を否定する人もいる訳ですが,結局は名称の紛らわしさと,そこから派生した実際上の問題(例えばトンデモの流行や心理学への誤解など)なのかなあと思います。

2015-12-09 01:46:29
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

まとめると,「フロイトは心理学者である」という説明は必ずしも間違いではないけれども,ちょっとミスリテーディングかなあ,と言ったところです。事実関係の問題というよりも,社会的・政治的な問題かもしれません。

2015-12-09 01:54:52
大國[おおくに]“せんせい”(日常) @Yosh0092

@kisopsy_kun ううむ、それはフロイト批判者についてうがった見方じゃないでしょうか? フロイト自身は神経学者であり、本人なりに科学的アプローチのつもりで研究に臨んでいたはずです。また、自信の理論を「治療理論が中心であり、人格理論はおまけ」とも言っている訳で……(続く)

2015-12-09 01:53:27
大國[おおくに]“せんせい”(日常) @Yosh0092

@kisopsy_kun つまりは「本人自身が科学(と呼ぶのが語弊があるなら、少なくとも治療という実学)を標榜しているのに、科学的に間違っている」から批判されていると見るのが妥当だと思います。

2015-12-09 01:56:06
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

もちろん,ポパーらによる科学の定義の試みはフロイトが主張する科学性への批判だった訳ですが,現代の科学的心理学者によるフロイト批判は少し性質が違うと思います。実際,現在フロイト理論を援用している人たちも,フロイト理論を科学的だとは考えていないかと。@Yosh0092

2015-12-09 02:03:31
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

「科学ではない」と「心理学ではない」が一致するのは「科学的なものだけが心理学である」ことを前提とする場合ですね。ちなみに僕は,「フロイト理論は科学ではないけど決して無用の長物ではない」ぐらいの立場です。@Yosh0092

2015-12-09 02:05:37
大國[おおくに]“せんせい”(日常) @Yosh0092

@kisopsy_kun 私はフロイト理論に批判的な立場(の一般人)ですが、その批判の視点はポパー的ではなく、アイゼンク的です。多くの科学的心理学者が近い立場かは確信ありませんが、そういう人もいそうかなと。かなりざっくり言うと、「効かない治療を効くと主張する」のが問題と考えます。

2015-12-09 02:22:22
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

@Yosh0092 根拠があやふやでも治ればOK,という考え方は医学にもありますし,科学性と実際の効用はかならずしも結びつく必要はないかなと思います。アイゼンクは確か効果量の比較をしていましたっけ。そのレベルであれば,理論そのものの是非というより実践家の裁量の問題だと思います。

2015-12-09 02:26:19
大國[おおくに]“せんせい”(日常) @Yosh0092

@kisopsy_kun ただ、アイゼンクはフロイト理論の科学的破綻だけでなく、実効性のなさも主張しています。1965年のジャーナルは忘れましたが、神経症は放置した方がましという結果の論文です。『「効かない治療を効くと主張する」のが問題』というのはそういう意味もあります。

2015-12-09 02:37:30
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

@Yosh0092 そういえばそういった主張を読んだことがあります。確かに精神分析の実効性が普遍的だとは主張しづらいでしょうし,平均値を見れば効果ナシと判断されても仕方ない気はしますが,精神分析が有効なクライエントには精神分析を,という選択がセラピスト側にできれば良いと思います。

2015-12-09 02:44:48
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

「フロイトの理論は心理学である」「フロイトの理論は科学的である」「フロイトは典型的な心理学者である」「心理学は科学的である(or 科学的でない心理学もある)」…これらの命題は混同せずに区別して扱う必要があると思います。

2015-12-09 02:08:24
きそしんくん@おかげさまで9年目 @kisopsy_kun

「基礎心理学くん」のアカウントの目的からすれば,少なくとも「フロイトは典型的な心理学者である」「フロイトの理論は科学的である」という2つの命題(あるいは「仮説」)は否定しておきたいところです。

2015-12-09 02:12:43