特別展「始皇帝と大兵馬俑」シンポジウム 「秦王朝と兵馬俑―発掘された歴史の実像」聴講の備忘ツイート
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#兵馬俑シンポジウム 兵馬俑坑が発見されて40年余り、いまも発掘が続く1号兵馬俑坑と始皇帝陵周辺の最新の調査結果の数々をいち早く聴講。文字資料ではなく出土文物から考察する考古学側からの報告を、ざっくりとまとめます。 pic.twitter.com/goYg84ghSR
2015-12-22 19:27:11基調講演「秦王朝と兵馬俑の考古学」
川村佳男(東京国立博物館学芸研究部主任研究員)
基調講演「秦王朝と兵馬俑の考古学」 10分ほど遅刻。1940年代からの秦墓の発掘によってわかった秦独特の埋葬文化。「屈肢葬(手足を曲げた状態で埋葬)」「加彩陶(青銅器を模して彩色した副葬品)」など。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:31:00死後の冥界での生活のため供されたミニチュアの穀倉や人馬の俑などの「明器(副葬品)」の風習はその後の歴代王朝にも受け継がれる。 重要な軍事力であった馬の飼育は、遊牧民族である西戎文化との交流によって秦にもたらされたと考えられる。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:32:42近年の発掘では、兵馬俑坑以外の場所から文官俑や雑技俑などさまざまな俑が発見されている。また、これまで難しかった彩色を保護する技術が開発され、古代の顔料や技法の研究が進むことが期待される。始皇帝陵は遺跡博物館として整備され、発掘・保存・修理・公開を行っている #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:33:52報告1 「秦鏡と秦人の“破鏡”習俗について」
宋遠茹(陜西省考古研究院副研究員)
秦鏡と秦人の“破鏡”習俗について 川崎市市民ミュージアムで古鏡の展示を観たこともあり、興味深いテーマ。 秦墓から出土した銅鏡は他地域の出土品に比べて破損している比率が非常に高く、全体平均で80%以上、墓地によっては100%破損している場合もある。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:35:26これは秦鏡の作りがもろい(薄い、成分比率が不安定など)ためとも考えられるが、人為的な破壊があったのではないか。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:36:59同時期の楚鏡や秦代の鼎や武器などの青銅器の鋳造技術は高く、製作技術が未熟であったとは考えにくいこと、同じ墓地から出土した副葬品のうち銅鏡だけが破損していることなどから、破壊することを前提に作られていたのではないかと考える。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:37:30屈肢葬と同じように「破鏡」という秦特有の習俗があったことが推定される。(報告者の出身地陝西省では葬儀の際に皿を割る(災いを避けるまじない?)風習があるとのこと。) #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:39:32報告2 「秦王朝を駆けた馬」
菊地大樹(京都大学人文科学研究所特別研究員)
秦王朝を駆けた馬 動物考古学というユニークなジャンルからの報告。古代中国で祭祀や軍事に利用されていた馬。戦国時代の秦の躍進の理由は馬産地であったことが大きい。『周礼』に馬の管理について細かく記載されており、重要な国家事業であったことが分かる。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:40:37始皇帝陵の馬厩坑で出土した馬の骨から、当時の馬の体高・年齢・雌雄などのほか、歯の組成から自然界の植物のみを食べていたか(野生)、雑穀類を食べていたか(飼育)がわかるとのこと。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:41:41今回展示されている銅車馬の馬と馬俑(軍馬)の比較。去勢されているか否か、尻尾の結い上げ方が役割によって違うなど、展示を見る際にチェックすると面白そう。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:42:20報告3 「秦始皇帝陵および陪葬坑の考古学的新発見」
陳洪(秦始皇帝陵博物院副研究館員)
秦始皇帝陵および陪葬坑の考古学的新発見 始皇帝博物館で発掘に携わる研究員による最新成果の報告。まだ文献発表されていない貴重な写真なども披露。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:43:19特に現在は彩色俑の色の保護を最優先に発掘を行っている。「中国紫」といわれる人工的に作られた色が秦代に既に用いられていたこと、漆塗りの武具や太鼓などの出土品は、表面保護の技術開発の賜物。 #兵馬俑シンポジウム pic.twitter.com/yCuoALF8wi
2015-12-22 19:46:03興味深かったのは、雑技俑(力比べの力士)と銅鼎が近くで出土したことの考察。重さ200kgもある鼎は祭祀器であると同時に力比べの道具としても使われた。雑技俑が鼎を持ち上げる(俑の上の天井に鼎を乗せる)形で置かれたのではないかと報告者は考察している。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:46:56総合討論
広大な始皇帝陵のうち発掘されているのはまだ一部、始皇帝が眠っているであろう墳丘の内部は謎。現時点では墳丘の発掘計画もないし、もし計画したとしても国家が許可しないであろうとのこと。将来、陵墓内部や出土品の保護技術が十分に発達したときに明らかになることを期待。 #兵馬俑シンポジウム
2015-12-22 19:48:30