植民地の経済的意味と政治的意味

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イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

パトリック・オブライエン「帝国主義と工業化」を読み始めたのだが、思ったよりも読みづらい。難解ではないんだけど、専門的な内容が「。」をつけずに続けていくため、情報処理能力が試される文章になっている。

2016-01-18 21:41:15
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

私も最近新書でよくある「~た。~た」と細かく途切れる文章が好きじゃないので、節を長く取ったりしているが、あれは読みづらいかもしれない。

2016-01-18 21:41:27
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

パトリック・オブライエン「帝国主義と工業化」第2章「海外帝国がヨーロッパ人にもたらした利益とコスト」を読む。

2016-01-19 11:38:13
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

ヨーロッパ人が植民地でどの程度もうけたか、という問題は、一見わかりきったことのように見える。しかしこれが意外と難しい。まず政府予算について残された資料が、本国と植民地で完全に切り離されていることは少ない。

2016-01-19 10:47:59
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

さらに民間投資とその回収率、タイム・ラグを伴ってリターンする利潤の割合、ヨーロッパ人の移住、貿易額、それらを総合的に考えなければならないが、十分なデータと研究がまだそろってないらしい。

2016-01-19 10:48:15
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

一部の人間は、もちろん儲かると思っていた。しかしイギリスでは、植民地獲得戦争のために発行した国債が、あとあと重い借金となってのしかかった。植民地の利益は、国債を償還できるという当てすら外れたわけだ。

2016-01-19 10:48:33
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

そして第二次大戦以前から、植民地を維持するための支出を見れば、植民地との貿易額や税収に及ばない、という批判が、データ上の根拠を持って論じられていた。

2016-01-19 10:48:50
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

オブライエンも、仮説的な結論として、主に19世紀以降ヨーロッパ諸国にとって植民地の経済的利益は、コストのほうが大きく、ヨーロッパ経済にとっての重要性は思ったより低く、総じて植民地経営に血道を上げることが時代遅れの産物になっていた、と見る。

2016-01-19 10:49:22
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

浅い知識とイメージだと、日本だけが植民地の経済的利益を度外視して、政治的に重要だったように見える。満州事変の首謀者・石原莞爾は、朝鮮の統治は満蒙を勢力下においてはじめて安定する、と力説している(山室信一「キメラ 満洲国の肖像」)。

2016-01-19 11:35:21
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

20世紀にスペインは、アフリカにわずかな植民地を保有するだけになっていたが、右翼の軍部・軍人が反乱を起こしてスペイン内戦(スペイン市民戦争)に突入したとき、アフリカに駐留していた植民地軍が主力になった。

2016-01-19 11:37:07
イヌノオー@ウマシカliberalism @inunohibi

後に内戦に勝利してスペインの独裁者となるフランコは、アフリカの原住民鎮圧で勇気と実力を認められていて、アフリカ駐留軍のリーダー的存在だった。植民地戦争で鍛えられた軍隊が、スペインの歴史を大きく変えた。植民地の政治的影響は重い。

2016-01-19 11:37:44

植民地の規模にかかわらず、政治的影響は重い、という事。