女騎士ハラミを焼く#4 肉が食える◆2(終)
_偽の交易のために用意した家畜は売っても良かったが、肉鎧の報酬が意外と多かったため、捌いて焼き肉にすることになった。 肉鎧は5つの村にわたって大きな被害を出しており、それらの村が積み立てた賞金はかなりのものであった。 101
2016-01-23 19:34:11_前回の焼き肉宴では酷い目にあったので、騎士団は仕切り直しということで再び盛大な肉の宴を催した。荒野に火が焚きあげられ、夜空を照らす。肉の焼ける、香ばしい匂い。セリマもまた、そこにいた。 相変わらず、肉を捌いたり生肉を供したりしている。 102
2016-01-23 19:38:42「おーい、セリマ」 呼ぶ声に気付いて行ってみると、3人の騎士が焼けた肉を大量に皿に盛っている。全部ハラミだ。 「お前、治癒のために養分が必要なんだろう、肉食え、肉。ハラミだ」 「いいよ、雑用で。それが私の戦場だ」 103
2016-01-23 19:43:51「俺からもハラミだ」 「ハラミは全部お前にやるって決めたんだ」 次々と騎士が集まってきて、セリマのさらに焼けたハラミを盛っていく。肉の匂いを嗅ぐと、セリマは腹が鳴るのを抑えきれなかった。顔を赤くする。 104
2016-01-23 19:47:48_誰かの姿がさっきから見えないと思い、人の輪から抜け出して肉をもって近くを歩く。すると、そこに探していた人が二人もいた。 げっそりとした顔の金髭と、彼を看病する不健康そうな若い技師。セリマに気付き、金髭は恥ずかしそうにする。 105
2016-01-23 19:53:16「何してんの」 「食あたりが悪化しただけだ。気にするな……」 それを聞いたセリマは、にんまりと笑って彼の隣に腰を下ろした。そして猛然とハラミを食い始める。 「いやぁ、うまいなぁ! ハラミ! うまい!」 106
2016-01-23 19:58:54_金髭のエリートはやれやれといった表情で自分のクロスボウの整備をする。そのボルトには、矢羽に青いストライプの模様。 それを見たセリマは、食べるのをやめてふっと笑う。 「ありがと」 107
2016-01-23 20:04:12_それを聞いた金髭は、これ以上ないドヤ顔でセリマを見る。セリマはムカついて金髭を小突く。金髭は病んでいる癖に、偉そうなことを言う。 「いいか、人間の価値は焼き肉をどれだけ食ったかでは決まらないのだ」 108
2016-01-23 20:11:33「私もそう思うよ」 セリマは自分の持っている焼き肉の皿を、不健康そうな技師に押し付ける。戸惑う技師。 「食いなさいよ、あんたも戦ったんでしょ」 「えっ、いいのかい」 109
2016-01-23 20:16:54