「日本出身力士」表現に欧州サッカーファンが「自国出身選手」制度を思う

儀狄@パブリックエネミー @giteki

何かここ数日「日本出身力士」の話題で盛り上がっているが、欧州サッカーには「自国で育成した選手」枠というのがリアルに存在するんだよねという話。基本的には某所に書いたことの再掲 #ホームグロウン

シバの殿下 @Mahal

@giteki 「ホームグロウン力士10年ぶりに優勝」みたいな文字列は、確かに受信したはした件ｗ

儀狄@パブリックエネミー @giteki

@Mahal やっぱり少しは考えますよねそれ

儀狄@パブリックエネミー @giteki

長友が所属するインテルというクラブには現在イタリア人が4人しかいない。ちなみにブラジル人5人 イタリア人4人 アルゼンチン人3人 コロンビア人2人 フランス人2人 日本、コートジボワール、チリ、スロベニア、セルビア、モンテネグロ、アルバニア、スペイン人が1人ずつ #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

余談であるが、ラノッキアが放出されたことでとうとう長友がチーム最古参になった。流石に入れ替わりが早くないか…… #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

と聞いて「セリエAって外国人選手枠無いの？」と思うかもしれないが、半分は正しい。現在、セリエAに限らず欧州サッカーに”外国人選手枠”は存在しない、というかルール上作れないのだ #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

ボスマンという選手が移籍を巡ってEU裁判所に提訴した裁判の判決が1995年に出て、「EUの市民はEU加盟国において差別されない」という原則がサッカー選手にも大真面目に適用されることになった #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

だからこれ以降、セリエAやリーガエスパニョーラに存在するのは「外国人選手枠」ではなく「EU外選手枠」になった。先ほど書いたインテルの選手は明らかにEU外出身が多いだろという話はまた後でやる。 #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

逆にEU加盟国の選手はいくら取っても良いので、2010年には「イングランド・プレミアリーグで、イングランド人が1人もいない」という試合も実現した。news.livedoor.com/article/detail… #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

とはここまで来ると、「ではそのクラブのファンにとって、他のクラブではなくこのクラブを応援している理由は何か」という話にも関わってくる。2000年代初めには既に、ファンハールが監督をしていた時代のバルセロナでスタメンがオランダ人だらけになったこともあった #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

www2.deloitte.com/uk/en/pages/sp… 「TVマネーが席巻する欧州サッカー」なんて話題がよく上るが、コンサルティング会社のデロイトが発表している上位サッカークラブの収入ランキングによると、ほとんどのクラブで収入の2割程度は入場料だ #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

例外的に入場料収入の比率が高いアーセナルですら3割。逆に比率が低いのはマンCとミラン……ってやかましいわ！(書いてる人はACミランのファンです) #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

そしてシーズンチケットを買ったり、国内の有料放送を視聴したりしてくれているのは結局のところ、そのクラブを「おらが街のクラブ」として長年支えてきたファンたちなのだ #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

ちなみに日本における「おらが街のスポーツチーム」として熱心な固定ファンがいる究極の形が、プロ野球の阪神タイガースである。断言 #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

そういう人たちが『外国人ばかりのチームでは自分たちのチームと思えない』と思うのは地域密着（Jリーグも掲げてるね）の理念から当然のことであるのか、それとも緩やかな排外主義であるのかというのは簡単に言える問題ではない #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

だが少なくとも「外国人ばかりのクラブを応援する気にならなくなったからスタジアムにも行かない」という人に「以前と変わらずスタジアムに行け」と命令する権利は誰にも無い #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

だが、サンチャゴ・ベルナベウ氏が言ったように「皆がTVで見ている中、誰も観客のいないスタジアムで」プレーされるフットボールはやはり盛り上がりに欠ける。だからこそ（収入という理由もあるがそれ以外にも）『無観客試合』が罰として成立する #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

先ほど話題に出したアーセナルも、スタジアムの客席を抑えて（と言っても6万人ほど）客単価を上げた結果、観客がおとなしくて盛り上がりに欠けるなんてことも言われていたりする #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

ここまで述べてきた経緯もあって、欧州サッカーには数シーズン前から『ホームグロウン』という制度ができた。この制度では、登録メンバーに占めるシニア（22歳以上）選手の数は最大で25名までとして、そのうち8名は少なくとも3年間を自国内で過ごしていないといけない。 #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

このルールは欧州のカップ戦（チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグ）、およびプレミアリーグ（左に準じた制度を制定した）で適用される。国籍で除外すると最初に述べたボスマン判決に抵触するので育った場所で決めることにした。 #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

プレミアリーグ以外で、欧州カップ戦にも出ていないクラブは相変わらずEU出身者取り放題だが、だいたい外国にスカウト網を張り巡らせるだけでもそれなりに金がかかるので、セリエAでもリーガエスパニョーラでもブンデスリーガでも下位クラブほど自国出身選手が元々多い #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

とはいえ、選手側から見たら『EU外選手枠』の中で争うよりは『EU内のどこかの国の市民権持ち』扱いになった方が色々と有利なのも確かなので、南米やアフリカ選手の場合は先祖の血統が活用（？）される #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

南米やアフリカ出身者ならばたいてい、少し家系図を調べれば誰かしら西欧出身者がいるので、血統を理由にEUのどこかの市民権を取得してしまえば、あとはEUのどの国に行っても『EU外選手枠』からは外れることができる。インテルの南米・アフリカ出身者もそういう選手が大半だ #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

逆に、移民の子どもや孫で、生まれも育ちも欧州だけど、考えた結果アフリカや南米の代表を選ぶというケースも多い。そういう選手の多さに耐えかね、フランスサッカー協会の技術委員会で「黒人やアラブ人を年代別代表に選ぶのは制限するべき」という発言が出て問題になったこともある #ホームグロウン

儀狄@パブリックエネミー @giteki

jpmoins.com/column/no1247.… まあそんな事例も出る程度には、やっぱり「どこの出身者も平等に受け入れる」は言うのは簡単だけど実行は簡単じゃないよねと欧州サッカー見てる人は思うのだった #ホームグロウン