ジョセフ・ヒースのナオミ・クライン批判(セルフまとめ)

『啓蒙思想2.0』『反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか』などの著者、ジョセフ・ヒースがブログ記事で『ショック・ドクトリン』などの著者ナオミ・クラインの新著『This Changes Everything』を批判している文章を書いていたので、だらだらと訳した。 http://induecourse.ca/final-thoughts-on-naomi-klein/ 本の内容についての批判よりも、ナオミ・クラインの主張や議論の仕方全般を批判している箇所を主に訳した。省略多め。意訳もかなり入っています。
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21世紀の道徳 @RiceDavit

Final thoughts on Naomi Klein | In Due Course induecourse.ca/final-thoughts… ジョゼフ・ヒースのブログ記事。ヒースは著書でもナオミ・クラインを度々ディスっているが、ブログでも彼女の新著をディスり続けている。

2016-02-17 22:17:50
21世紀の道徳 @RiceDavit

「私に言わせれば、クラインの著作は詳細に論じるに価するものだ。理由の一つは、彼女が「世界の知識人」ランキングのトップ100やトップ50に定期的にリストアップされていて、多くの場合はトップ10に入っていることだ。つまり、多くの人々が彼女の著作をとても真面目に読んでいるという訳だ。…

2016-02-17 22:36:33
21世紀の道徳 @RiceDavit

…また、彼女が左派でいうところのノーム・チョムスキーや右派でいうところのアイン・ランドと同じタイプの人になってしまったことも、理由の一つだ。…

2016-02-17 22:36:54
21世紀の道徳 @RiceDavit

…つまり、高校生や大学の学部生からは異様に人気があるが、より高度な教育を受けた人々(特に、私のような大学教授)からはほとんど無視されているような人だ。…

2016-02-17 22:37:04
21世紀の道徳 @RiceDavit

……けれども、ナオミ・クラインを無視している人たちのなかで、”なぜ”彼女”の意見を真面目に相手にしないのかということをわざわざ説明する人は滅多にいない。…

2016-02-17 22:37:25
21世紀の道徳 @RiceDavit

@RiceDavit ”なぜ”彼女” → ”なぜ”彼女

2016-02-19 21:05:44
21世紀の道徳 @RiceDavit

…彼女の著作に感心している人にとっては、(ナオミ・クラインが学者から無視されていることが)ある種の陰謀であったり政治的なイデオロギーであるように思えてしまう。だが、違うのだ」

2016-02-17 22:37:51
21世紀の道徳 @RiceDavit

「学部生の頃の、私自身にとっての”ノーム・チョムスキー時代”は今でも覚えている。チョムスキーの意見が誰からも相手にされていないことには、とても戸惑ったものだ。チョムスキーの主張には、他の人が同意しないかもしれない点も数多く含まれている、ということは私も理解していた。…

2016-02-17 22:50:37
21世紀の道徳 @RiceDavit

…しかし、彼の政治的意見がここまで完全に無視されている理由が理解できなかったし、その理由を説明してくれる人も見つけられなかった。もちろん、大学院を終える頃には、私もその理由を自分で理解することができていた。…

2016-02-17 22:50:50
21世紀の道徳 @RiceDavit

…そして、私も「チョムスキーん政治的意見の何が間違っているのかということについて、わざわざ説明してくれない人たち」の一員となっていた。しかし、私がわざわざ説明しない理由の一つは、チョムスキーが世の中で特に強大な影響力を持っているとは思わないからだ。…

2016-02-17 22:51:03
21世紀の道徳 @RiceDavit

@RiceDavit チョムスキーん → チョムスキーの

2016-02-17 22:51:26
21世紀の道徳 @RiceDavit

だから、彼の著作に影響された人たちが持っている考えにも、私は対して困らされていない。」

2016-02-17 22:51:08
21世紀の道徳 @RiceDavit

この次の段落でアイン・ランドは影響力がある分チョムスキーよりも有害だ、というようなことを書いてから、後はずっとナオミ・クラインを批判している。

2016-02-17 22:54:20
21世紀の道徳 @RiceDavit

「…ナオミ・クラインの最大の問題は、彼女の意見がとにかく意味をなしていない、ということだ。彼女は全ての社会運動につきまとって、社会運動の”バイブル”になるような本を書いて出版しようとする。しかし、彼女の本は、社会運動家たちを荒野に放り出してしまうことにしか成功していない。」

2016-02-17 23:04:33
21世紀の道徳 @RiceDavit

「…社会変革の飽くなき支持者であるはずのナオミ・クラインが、どのような変革をもたらすべきかということの判断や説明をすることに、なぜこれ程までに僅かな知的労力しか払っていないのか、ということに私は長い間困惑していた。…

2016-02-17 23:21:16
21世紀の道徳 @RiceDavit

…社会正義の運動家になるつもりなら、社会正義とは何であるかということについてのコンセプトを明らかにすることから始めるべきだ、と私には思えたのだ。社会正義とは何であるかを他人に説明して、その理念から現在の制度の状況がいかに外れているかを示すべきだろう。…

2016-02-17 23:21:33
21世紀の道徳 @RiceDavit

…しかし、ある時点で、このアプローチには私にとっては当たり前に思えても(そもそも私は理論家なのだ)、他の人にとっては当たり前ではないのだということを理解した。特に、クラインによる問題のアプローチとは異なっている訳だ。」

2016-02-17 23:21:41
21世紀の道徳 @RiceDavit

(クラインの新著『This Changes Everything』は気候変動に関する問題を扱った本なのだが、ギリシャの抗議デモで催涙ガスが使われて、学校にいた子供達が巻き添えで被害を受けたという、本のテーマと全く関係のないエピソードが挿入されていることを取り上げて、批判している)

2016-02-17 23:27:30
21世紀の道徳 @RiceDavit

「クラインの視点では、(ギリシャで抗議デモに催涙ガスが使われて子供達が被害を受けたことは)気候変動と結びついているのだ。これは私の推測であるが、このようなエピソードは彼女の自身の道徳的指向を示している。何が善くて何が悪いかということについての、彼女の感覚が示されているのだ。…

2016-02-17 23:42:18
21世紀の道徳 @RiceDavit

…高潔な抗議運動家たちがファシストな警察と対決するというドラマが提供するものこそが、暴力的な抗議活動にクラインがここまで執着している理由だ(彼女は、抗議運動に催涙ガスが使われた事例を文字通り世界中から記録している)。…

2016-02-17 23:42:50
21世紀の道徳 @RiceDavit

…彼女にとっては、世界における善の追求と悪との戦いが、抗議運動に催涙ガスが使われることに最も具現化されている。…

2016-02-17 23:43:03
21世紀の道徳 @RiceDavit

…要するに、このことは彼女にとって「明白な道徳」を示しているのだ。誰は正しい側に立っていて、誰が間違った側に立っているのかということを、彼女は間違いなく知っている。全ての物事はそれに従っている。」

2016-02-17 23:43:13