なぜアメリカは「世界の警察」を始めたか、なぜ「世界の警察」をやめようとするのか
- ShinShinohara
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アメリカが「世界の警察」をやめようとしている。オバマ大統領は「中東から東アジアへ」軍主力の軸足を移すと述べていたが、これはアメリカが弱体化したという印象を弱めるためで、本音では東アジアからも撤退したいようだ。
2016-03-29 17:13:35「アメリカは中国を脅威だと思わないのか」という問いがなされる。結論から言えば、私の見立てでは「脅威だとは(本気では)思っていない」。ソビエトを敵視し、必死に共産主義の台頭を抑えようとしたかつてのアメリカと、恐らく違ってしまっている。
2016-03-29 17:16:10なぜアメリカが「世界の警察」をやめようとしているのか。それを理解するには、まず「なぜ世界の警察を買って出たのか」を考えねばならない。遠く異国の地で莫大な軍事予算を費やしてまで世界の警察を続けてきたのか。まずはその解説を試みる。
2016-03-29 17:18:46そもそもアメリカは、戦前は「世界の警察」などやる気のない国だった。モンロー主義と言って、「他国のことに口を出さないからアメリカのことに口を出さないでくれ」という孤立主義をとっていた。戦前の「アメリカニズム」の意味は「俺たちのことはほっといてくれ」だったというのが面白い。
2016-03-29 21:58:16第二次大戦前夜から事態が急展開。ユダヤ人が欧州・ロシアからアメリカに逃げてきた。ナチスドイツだけでなくロシア(ソ連)からも大量にユダヤ人が逃亡してきた。NHK「新映像の世紀」にもあるように、ソ連ではユダヤ人が大量に虐殺された。当時、金融を担当していたユダヤ人は目の敵にされていた。
2016-03-29 22:05:44ユダヤ人にとって、ナチスドイツやロシアで大量虐殺された記憶は、社会主義、共産主義への恐怖を植え付けた(ナチスは国家社会主義)。キリスト教国は伝統的に金貸しを卑しむ宗教観があり、ユダヤ人が金融機能を担ってきた。このため、金貸しへの憎しみはそのままユダヤ人蔑視にもつながった。
2016-03-29 22:10:23ナチスドイツによる国家社会主義もソ連による共産主義も、ユダヤ人が伝統的に担ってきた金融機能を敵視するイデオロギー。ナチズムや共産主義が世界に拡散することは、ユダヤ人の虐殺がヨーロッパやロシアにとどまらず、世界中で起きることを意味した。ユダヤ人はこれに恐怖した。
2016-03-29 22:12:28アメリカに逃亡し、ある程度成功を収めたユダヤ人たちは、アメリカ政府に必死にロビー活動をした。ナチズム、共産主義の拡大をアメリカが食い止めてくれ、と。アメリカはそれまで「口は出さないから俺たちのことはほっといてくれ」というモンロー主義だったのが、太平洋戦争参加で一気に逆転する。
2016-03-29 22:14:43第二次大戦が終わっても、アメリカに住むユダヤ人は安心できなかった。ナチズムは滅ぼすことができたけれども、大量にユダヤ人を虐殺したソ連は健在。しかも中国や北朝鮮も共産化した。金融と切っても切れない存在のユダヤ人は、共産主義がアメリカにまで及ぶと虐殺される、と恐怖したのだろう。
2016-03-29 22:16:44「しかも中国や北朝鮮も」→「しかも東欧や中国なども」
ユダヤ人は必死にロビー活動をし「ドミノ理論」をアメリカ有識者のコンセンサスにすることに成功した。アジアなどの共産化を放置すれば、ドミノ倒しのように世界中が共産化し、いずれアメリカも共産主義に支配される。だから「世界の警察」を買って出て、共産化を食い止めなければならないのだ、と。
2016-03-29 22:18:55ユダヤ資本は超巨大。ロビー活動すればアメリカ政府の方針を大きく左右できた。アメリカは中東やアジアの紛争に自ら買って出て、共産化を防ごうと軍隊を派遣、あるいは駐在させた。日本やベトナムもそう。共産化を防ぐべく、必死に手を打った。ユダヤ人の住むアメリカまで共産化が進まないように。
2016-03-29 22:21:42世界に軍隊を派遣するなんて、お金ばかりかかることをなぜアメリカは買って出ることができたのだろう?いくらユダヤ資本が巨大でも、その経費を負担するのはアメリカ国民。ユダヤ人が訴えるだけではうまくいかなかったろう。実は、アメリカが「世界の径さう」を買って出ることには、メリットもあった。
2016-03-29 22:23:11「世界の径さう」→「世界の警察」
戦後世界では、イギリスに変わってアメリカが世界の金融を握った。イギリスのポンドからアメリカのドルに基軸通貨の地位が移り、金(ゴールド)もアメリカが圧倒的に保有していた。戦後の金融を牛耳ったのはアメリカだった。そしてニクソン大統領の時代に、アメリカは決定的な手を打った。
2016-03-29 22:25:27イギリスに変わって→イギリスに代わって
ユダヤ資本が世界金融を牛耳ったと指摘しているわけではないことに注意。ユダヤ資本はアメリカ政界をある程度動かせる力はあったが、世界の金融を完全に牛耳れるほど力があったとは限らない。金融はユダヤ資本以外にもさまざまな参加者にも開かれており、ユダヤ資本だけの一存では動かない。また、ユダヤ資本にも様々な意見の持ち主がいることが容易に予想される。共産主義や全体主義への恐怖はユダヤ資本家だけでなく貧しいユダヤ人も含めて、ユダヤの人々に共通した恐怖だったと思われるが、そのほかの事案については様々な意見がユダヤ人間でもあったと考えるべきだろう。
ニクソンショックだ。1971年8月15日。これは、一般に「ドル紙幣と金(ゴールド)との交換をやめる」ということで知られている。しかしその背後で最も重要な手が同時に打たれていた。「石油はドルでしか買えない」という仕組みが完成していたのだ。
2016-03-29 22:27:40ドル紙幣を金塊と交換することをやめれば、ドル紙幣はただの紙切れになるはずだた。お金の価値を裏打ちするものがなくなったのだから。しかし「石油はドルでしか買えない」という世界システムがドルを絶対無比の貨幣に仕立て上げた。なぜって、ドルでしか石油を買えないから。
2016-03-29 22:29:16だた→だった
たとえば当時の日本が中東から石油を買おうとしても、円では売ってもらえず、ドルでしか買えなかった。石油を買うにはドル紙幣を手に入れなければ。アメリカに家電や自動車を持参し「これでドル紙幣を下さい」と頼むしかない。するとアメリカはドル紙幣を印刷するだけでそれらの財を手に入れられる。
2016-03-29 22:32:21アメリカは世界中から借金をしまくっている(経常収支の赤字)のに世界中から商品を買いまくられたのは、「石油はドルでしか買えない」という仕組みを作っていたからだ。では、なぜ石油はドルでしか売らなかったのか。中東に強大なアメリカ軍を配置していたからだ。
2016-03-29 22:33:54アメリカが「世界の警察」をする→石油産出国はアメリカが怖くてドルでしか石油を売らない→石油が欲しい国はドル札を入手しなければならない→アメリカに商品を持って行ってドル札を手に入れる必要がある→アメリカはドル札を印刷するだけで世界中から商品を購入できる、という構造を作り上げた。
2016-03-29 22:35:40この世界の構造は、それなりにうまくできていた。日本などは自動車などの商品がアメリカで売れ、それで手に入れたドル札で石油を買える。中東は石油が売れる。アメリカはドル札を印刷するだけで世界中から商品を手に入れられる。この支配構造の起点が、「世界の警察」だった。
2016-03-29 22:37:42しかしこの構造にほころびが見え始めた。イラクのフセイン大統領は、石油をドルだけでなくユーロでも売る準備を始めた。これが実行されれば「石油はドルでしか買えない」という世界支配の構造が崩壊してしまう。イラク戦争は、その崩壊を食い止めようとして起こしたという一面がある。
2016-03-29 22:45:49