【Голубй крейсер-空色の巡洋艦】

初霜×グラーフという珍しい組み合わせ
1
葛葵中将 @katsuragi_rivea

注意書き ・艦これ小説投稿行為 ・二次創作です ・独自の解釈があります ・拙作だけど仕方ないね♂ ・初✕ツェッペ ・ミュート推奨ね、葛葵との約束だ!

2016-04-28 23:00:23
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【Голубй крейсер-空色の巡洋艦】

2016-04-28 23:02:08
葛葵中将 @katsuragi_rivea

少女は夢を見ていた。 艦の記憶で"彼女"と再会したのは大戦末期のやぶれかぶれの作戦の中のこと あの大戦が始まった頃はそう目立つ艦ではなかった彼女は戦いを重ね、生き延びる毎に練度を増していき… その頃には"幸運艦"と称するより他に紛れもなく最強と呼ぶに相応しい艦となっていた。

2016-04-28 23:04:01
葛葵中将 @katsuragi_rivea

不死身のエースとは戦場に長くいた者の過信…そう言う者もいたが それは彼女においては体現そのものとしか言うしかない。 知らぬ者はほとんどいないまでの名声を得るまでになっていた。 その後にはよからぬ呼び名もついたわけだが…

2016-04-28 23:05:10
葛葵中将 @katsuragi_rivea

共に戦い、共に生き延びた私と彼女は…その後、同じ隊として奮戦するも最期は…彼女を残し力尽きた。 数多くの仲間を失った彼女をまた孤独にしてしまった。 彼女の心までは守れなかった。そう実感したのはこの身に姿を変え、 同じような姿となって、艦娘として彼女と再会した時。

2016-04-28 23:06:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

人懐っこい性格と明るく振る舞う姿に一時は安心したが… ふとした瞬間に滲み出る後ろ暗いその負の感情こそ、表に出さない彼女の本心なのでは無いかと思うに至り、酷く後悔した。 彼女は強い。だが、「守れなかった」。 その時から私は誰かを守る。ただそのことに固執するようになった。

2016-04-28 23:08:15
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「ごめんなさい」 夢見に現れたこちらを見る彼女の姿に後悔と自責の念ばかりが残る。 夢と同調したのか口からは言葉となって飛び出していた。 気づくと目を開けていた。 …寝覚めが悪い。汗で湿ったインナーがそれを物語っていた。

2016-04-28 23:10:36
葛葵中将 @katsuragi_rivea

少女は辺りを見渡す。誰かに聞かれたのではないだろうかと内心焦ったが、 母艦に当たる波の音と船体が軋む音が静かに鳴るのみ。 相部屋の二人、磯風も朝霜も割り当てられたベッドのカーテンの奥で寝息を立てている。 あの二人は低血圧だから…と胸を撫で下ろした。

2016-04-28 23:12:47
葛葵中将 @katsuragi_rivea

さっと制服へと着替えを済ませいつもの姿になる。 黒のブレザーを意匠とした制服を身に纏い、長い髪を結わえ 仕上げにかつての二水戦所属を示す青の鉢巻を額に巻きつける ぴしっと締め、鏡を見て全て整 ったことを確認する 「…これでいいわ」 …彼女の名は、駆逐艦"初霜"

2016-04-28 23:15:35
葛葵中将 @katsuragi_rivea

場所は西方のとある臨時泊地。南方での輸送作戦が展開されている中、西方において敵の動きが察知された。 そのために枢軸国側の友軍艦隊と共に、敵の漸減をはかることを軍上層部より命を受け、 初霜が籍を置く艦隊もこの地に足を運んでいた。

2016-04-28 23:18:23
葛葵中将 @katsuragi_rivea

作戦は成功をおさめ、艦隊は艦娘母艦「つるみだけ」を宿代わりとし、束の間の休息の中にあった。 その中でも忙しさにばたばたと していたのは初霜達を統率する司令官たるあの男ぐらいであろうか。 しばらくは姿を見ていない。

2016-04-28 23:21:22
葛葵中将 @katsuragi_rivea

責任を取るのが大きな仕事… それを有言実行し、艦娘達が役割を担うための礎を築くよう彼なりによくやっている。 おそらく自分達では到底真似出来ない領域であろう。 そんな彼から 「次の作戦までは休暇だ。ただし気を抜かぬよう平時通りに務めること」と艦隊は言いつかっていた。

2016-04-28 23:24:15
葛葵中将 @katsuragi_rivea

彼の言葉もそうだが、普段の責務を忘れてはならない。自戒の意味も含めて訓練を怠らない艦娘のほうが圧倒的に多い。 初霜もその例外に漏れず、日々の鍛錬に勤しんでいたが… 今日に至ってはいつもよりも幾分と早く目が覚めてしまったことに僅かながら残念に思った。

2016-04-28 23:25:47
葛葵中将 @katsuragi_rivea

壁に固定されている時計は早朝五時を指し示す。 日ノ本国とは時差のあるこの西方の時刻に合わせて調整されてはいるものの、 艦娘になったばかりの頃はこの時差という感覚に慣れないものであった。 こんな早朝から起きているとすれば同艦隊の顔ぶれであれば大鯨くらいか。

2016-04-28 23:27:00
葛葵中将 @katsuragi_rivea

だが彼女は烹炊員としての能力も買われ、そちらの方面も兼任しているため訓練に誘うにはしのびない。 どのような時間であろうと「訓 練」であれば一切妥協をしない我らが嚮導も今は南方での作戦に従事しているはず。 そんなことを考えながら初霜は割り当てられた部屋を静かに後にした。

2016-04-28 23:28:32
葛葵中将 @katsuragi_rivea

ラッタルを登りきると視界に広がるのは薄く水色がかった青空。 雨季も終わりに近づく西方海域は晴れ渡り、水平線の東側からは暁の光が差し込める。 温度や湿度こそ段違いではあるがこうして見る空は護国とそう変わりないとすら思える。

2016-04-28 23:32:10
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「…あら?」 辺りを見回すと、船橋の先に人影があることを認めた。 後ろ姿からでも白いケープを羽織る姿が目立ち、その出で立ちはさながら魔術師(ドルイド)。 (あれはたしか…) 初霜の声を向こうも聞こえていたのか振り返った人物の薄灰色がかった二つの瞳が初霜に向けられた。

2016-04-28 23:33:19
葛葵中将 @katsuragi_rivea

Graf Zeppelin 初めて邂逅した際にそう名乗った彼女は独国の航空母艦。 初霜達とは毛色の違う白い肌と金色の髪が朝の日差しに照りつけられその色彩を一段と眩しいものへと変える。 「…Guten morgen。君達の国の言葉では、おはようと言うべきかな?」

2016-04-28 23:35:30
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「おはようございます。」 柔和な笑みを浮かべる異国の艦娘に少々戸惑いつつも深いお辞儀と共に応えた初霜に… 同じようにグラーフ自身もまた、その反応に少々困惑していたようであった。 「…そこまで気を遣わなくても結構。我らは同盟国なのだからもっとこう…」

2016-04-28 23:37:48
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「その…あぁ、煩わしいな。日本語というのはどうしてこうも難しいのだ…!」 彼女は短期間で相当語学の勉強をしたらしい。言葉を選び紡ぎ出す術がだいぶ上達していた。 …が、変に言葉を選ぶ気質らしく喉につっかえた小骨が取れぬかのように苛立っている様子である。

2016-04-28 23:39:31
葛葵中将 @katsuragi_rivea

気揉む姿に思わずこみ上げる笑いを抑えられずクスクスと笑う初霜にグラーフは頬を僅かに紅潮させた。 「…変、だろうか…いや!そちらの語学はたしかに上手くは無い…が」 「違いますよ。変に気取らなくても大丈夫」 気恥ずかしそうに顔を俯けた異国の空母に小さな駆逐艦は微笑んだ。

2016-04-28 23:42:30
葛葵中将 @katsuragi_rivea

初霜は思い返した、グラーフは会合の際なども一人きりで周囲に馴染めずにいた。 彼女自身…艦隊行動自体がまず初のことである上に、 いきなり外国からやってきた者達の輪の中に入れと言われたところで受け入れるのは容易ではない。 初霜はそれを察し、汲み取った。

2016-04-28 23:43:34
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「気持ちが伝わればいいんです。仲良くしてほしい…そうですよね?」 屈託の無い笑みと共にあどけなく首を傾ける仕草にグラーフはしばし言葉を失っていたが、やがて静かに頷く。 初霜の目測は的を得ていたらしい。誰しも周囲に慣れるまでは時間がかかるもの。それは国は違えど皆等しい。

2016-04-28 23:44:44
1 ・・ 13 次へ