沖縄の先住性と権利をめぐる、言語学・文化学の研究者やドキュメンタリー作家の意見。まとめ。

国連勧告の原文で使用された「people」は、日本語訳で「民族」に。ここが誤解を招きやすいポイントのようです。
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リンク 沖縄タイムス+プラス | 沖縄の最新ニュース 国連の認定「沖縄の人々は先住民」 日本政府が撤回働きかけへ | 沖縄タイムス+プラス 【東京】木原誠二外務副大臣は27日の衆院内閣委員会で、国連の人種差別撤廃委員会などが過去4度にわたって、沖縄の人々を「先住民」と認定していることに関し、「政府の立場と異なり、わが国の実情を正確に反映...

「木原氏は、委員会で一度出された勧告や最終意見の内容を正式に撤回させる手続きはない…どういったことができるか真剣に前向きに検討」と述べた。


丹菊逸治 @itangiku

北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授。アイヌ言語文化・ニヴフ言語文化。アカウント保持のための定期投稿のみ。

sakhalin.daa.jp

丹菊逸治 @itangiku

「沖縄は大和に侵略された結果日本国の一部になっている」という主張を覆すのはたぶん無理。歴史的経過だけなら大和に正当性は全くない。「沖縄が日本の一部である」であることを正当化するのはただひとえに「沖縄の人々の民意」だけである。

2015-09-21 21:50:20
丹菊逸治 @itangiku

SILによる日本国内言語はアイヌ語・北奄美大島語・南奄美大島語・日本語・日本手話・喜界語・コリアン語・国頭語・宮古語・沖永良部語・中央沖縄語・徳之島語・八重山語・与那国語・与論語。言語はアイヌや沖縄が別民族とみなされる根拠の一つ。ethnologue.com/country/JP/lan…

2016-03-17 20:24:11
丹菊逸治 @itangiku

近世の日本列島において、各地域の言語の独自性や地域の独立性はそれぞれ異なっていた。近代国家はそれを無視して均一なものとして扱ったために様々な無理が生じた。沖縄に関しては他地域と異なる自治権を認めるほうが効率的だろう。

2016-04-29 10:22:35
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 「沖縄は先住民族なのか」という議論については、「客観的にはほぼ要件を満たしている」わけだ。人口比などもう少しデータが欲しいところだけれど、推測でも仕方ない。あとは沖縄が持つ諸権利をどのように実現するか、という問題。

2016-04-29 10:27:11
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 例えば、沖縄が先住民族であろうがなかろうが、独自の言語についての権利は存在する。これは歴史的・政治的にみて方言ではなく独自の言語だから、現在の彼らが主張するなら正当な権利である。

2016-04-29 10:30:27
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 沖縄が独自の言語についての権利を主張するとしたら「自治権」「先住民族の権利」のどちらとして考えるべきか、は本人たちが選ぶことになるのだろう。どちらも十分可能ではないかと思う。

2016-04-29 10:34:16
丹菊逸治 @itangiku

けっこうよくある誤解の1つに「沖縄の言語とヤマトの言語は同系統だから、沖縄は先住民族ではありえない」というものがある。そんなことはない。たんに理念的な話ではなく実例もある。サーミ語はフィンランド語と同系統だが、サーミはフィンランド北方域の先住民族として認められている。

2016-04-29 12:49:14
丹菊逸治 @itangiku

なんだかんだいって、少数民族が「自治権」として得るもの、先住民族が「先住民族の権利」として得るものなんて本当にちょっぴりだ。世の中なんてそういうものだ。「貧乏人とは小さなものを手に入れるために大きな努力をしなければならない存在のことだ」というのは昔も今も大して変らない。

2016-04-29 19:13:38
丹菊逸治 @itangiku

ところで、「先住民」なのか「先住民族」なのか、ただの「人々」なのか「民族」なのか、という議論のときに、英語では「民族」にあたる単語が表記されていないじゃないか、という話題が出たりするけれども、英語ではそこが問題になるわけではない。

2016-05-01 02:24:05
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 「people」が「人々」なのか「民族」なのか、というのは「一定の人口があるだけ(権利を持つのは個々人)」なのか、「まとまった一つの集団(権利を持つのは集団)」なのか、ということである。peopleなら前者、a peopleもしくはpeoplesなら後者。

2016-05-01 02:27:12
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku ちなみに沖縄については確か「an indigenous people」と表記されているので、日本語訳が「先住民族」となっているのだろう。妥当な訳だと思われる。

2016-05-01 02:30:05

5/1 追加

丹菊逸治 @itangiku

indigenous peoplesのsは純粋に法学的な問題。sが付いた時点で集団的な権利があることになる。日本語にはそういう現象がない。民族と訳すことでほぼ同じ法的効果があるなら翻訳としては○。カナダにおいてfirst nationsと表現されて特に法的に差異がないのと同じ。

2016-05-03 01:00:41
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 英語においては、問題はsが付くか付かないかであって、nationかpeopleかということではない。翻訳上の問題も、nationの訳語がどうたら、peopleの訳語がどうたらという問題ではない。sがついていることをどう訳に反映させるかということ。

2016-05-03 01:01:06
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku indigenous peoplesやfirst nationsのsが付けば各集団に権利があることになり、sが付かなければ全体の権利と個人の権利があるだけだということになる。だから先住民族の権利宣言のときに、各地の先住民族が「sを付けろ」と言ったわけ。

2016-05-03 01:06:17
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 簡単にいうと、例の国連宣言は「各地の先住民には、それぞれ集団としての権利がある」ということ。国家による「先住民だが集団としての権利は認めない」つまり、日本語でいえば「先住民だが民族ではない」という言い逃れを許さないための「s」だったわけ。

2016-05-03 01:12:09

過去ツイより

丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 「民族」という語を巡っては、過去にいくつも論文が書かれている通り、英語の区分(nation, people, ethnosなど)と合致しない。だが「民族か否か」という「難癖」がつけられる場面では、常に「どんな権利があるか」だけが問題となっている。

2014-08-30 22:27:27
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku これは「日本国憲法や日本の法ではnation以外の『民族』が規定されていない」あるいは「どんな権利が認められるべきかよくわからないので、誰か決めて欲しい」という「お手上げ」状態を表している。そして、タカ派の回答は常に「権利は認めない」である、というだけだ。

2014-08-30 22:30:47

toriiyoshiki @toriiyoshiki

ドキュメンタリー番組専門のTVディレクターでしたが、六十歳で定年退職、ハーフ・リタイアしました。これまでの取材で得た知識をベースに主に時事問題について呟きます。酒好きの恐妻家。みなさんの「呟き」をきちんと読むためにフォローは増やさないようにしています。失礼は平にご容赦ください。

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