湾岸戦争の時に米軍も100mm対戦車砲で思わぬ被害を出していた

下呂子（げろこ） aka でゅらちん @Geroko

T-64のガチ殴り合いの実戦デビューは2014年のドネツクのアレだと思った？ ざんねん、1992年のモルドバ紛争でしたー！（マジで知りませんでした） この時に18両のT-64BVが投入、2両が撃破されてるのだが、うち1両はMT-12ラピーラ対戦車砲（100mm滑腔砲）に喰われた

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100mm対戦車砲で思い出したが、湾岸戦争の時に米軍も100mm対戦車砲で思わぬ被害出してたよな。資料引っ張りだしてみるか pic.twitter.com/ZFuFfSGyA0

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91年2/20正午.米第1騎兵師団はクウェート国境沿いで守りを固めるイラク軍陣地に対しての襲撃作戦「ナイト・ストライクⅠ」を実施する。この作戦は西方から進撃する侵攻作戦を悟られないための陽動作戦の仕上げであり、クウェート国境沿いではこうした陣地攻撃が続いていた。

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投入兵力は第2旅団の1/5騎兵旅団を中心に2個工兵小隊と防空小隊(M163自走対空砲装備)を加えた騎兵支隊で指揮は第2旅団長「ランドルフ・ハウス大佐」自らが前線に出向き実施した。M163を加えたのは防空ではなく陣地掃射のためであった pic.twitter.com/O6ynHLailF

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この他に支隊はM3騎兵戦闘車.M2歩兵戦闘車M1戦車.M577指揮車.M9ドーザーを装備し、ドーザーで2箇所の砂堤を崩しイラク領にダイアモンド陣形で進撃を開始した。地雷原や有刺鉄線を迂回し10kmほど進むとイラク軍陣地が見えてきた pic.twitter.com/l5IHbBlk5w

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交戦した敵はイラク軍第25歩兵師団第103旅団が守る陣地で、1個歩兵大隊に加え数両のT-55.BMPに加え幾つかの砲兵が支援にあたっていた。イラク軍側は直ちに反撃。前衛のスカウト部隊の小隊長は「射撃を浴びているが反撃する」と冷静に報告した。

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この報告に支隊は陣地に全力で攻撃を加え、更に待機していたA-10や3/82砲兵大隊も加勢。イラク軍の果敢な抵抗も虚しくあっという間に制圧され支隊は捕虜の収容作業を開始していた。しかし、この加勢に参加したA-10が恐ろしい物を発見する pic.twitter.com/YZFVN9jgQR

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A-10の眼下には事前情報にはないイラク軍の砲兵陣地帯が布陣されていた。この砲兵陣地は7個砲兵大隊で構成され130mm野砲や155mm野砲を中心に約100門が展開していた。この陣地は夜間にこっそりと布陣し偽装ネット等で徹底的な偽装を施していた。

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これに加え、掩体にT-55戦車が5両.100mm対戦車砲中隊が潜んでいた。これらの部隊は味方陣地が攻撃されている中で沈黙を保ち支隊が油断したその瞬間を待ち続けていた。野砲.迫撃砲.戦車砲…ありとあらゆる火力を全力で支隊に叩きつけた。 pic.twitter.com/x4BycOoSYQ

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この攻撃を受けた旅団長のハウス大佐はこのように語っている。 「それは突然だった。私が1km後方で双眼鏡を覗いていると、後ろにいたバルカン(M163)に敵弾が命中した。更に砲弾は私の指揮所のアンテナを掠めて飛び車の側面にも着弾した」 pic.twitter.com/tAASuHEDdB

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この攻撃は対戦車砲によるもので、ハウス大佐はM577装甲指揮車の操縦手の機転により窪地に車両を突っ込ませ敵弾から逃れることができた。しかし、直撃を受けたM163は砲手が戦死.乗員が1名負傷する。 pic.twitter.com/hnJXHvHUlw

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M1戦車2個中隊も慌てて防衛線の再構築を試みるも間に合わなかった。2両のM2歩兵戦闘車に対戦車砲弾が命中する。最初に被弾したのは副中隊長の車両(A51)で救援に駆けつけた別車両(A31)が更に被弾したのであった。 pic.twitter.com/XS5tGx1UKj

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A51では砲手が戦死し、その他の乗員は全員負傷。救援に駆けつけたA31は砲手を残し全員で負傷者の救助を行う。しかし、敵火砲が集中する中での救助は困難で、アードン・クーパー上等兵は負傷者に覆いかぶさり砲撃から負傷者を守ろうとした。しかし、迫撃砲弾片が彼の喉を直撃した。

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更にA31のTOWのランチャーに対戦車砲弾が直撃。その破片がクーパーを襲う。救護に駆けつけた車長のクリストファー・シショーン二等軍曹は彼の口に手を入れ舌で気道を塞がないようにするので精一杯であった。クーパーは出血多量で戦死しシルバースターが授与された。

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こうしてイラク軍砲兵陣地は3両のAFVと多数の死傷者を支隊に与えるが、それまでであった。2個戦車中隊が120mm砲を陣地に叩きこみM2/3の25mm機関砲がイラク兵を薙ぎ払う。更にA-10や自走砲も動員し敵砲兵陣地を叩きに叩いた。 pic.twitter.com/qzP7lLgfSv

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午後二時少し前には砲兵隊の煙幕弾の支援を受けた騎兵支隊は後退し戦闘は終結した。この戦闘は後に「ルクイ・ポケットの戦い」と呼ばれ、米軍はM163を1両とM2を2両失い3名が戦死し9名が負傷した。イラク軍200名が戦死し18名が捕虜となった

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この戦いでは、米軍に予想以上の被害を与え最悪旅団長の戦死という最悪の状況すら招きかねないものであった。更に被害を与えたのはイラク軍最新のT-72 等ではなく野砲と対戦車砲の組み合わせを駆使した戦果であるのは正に驚きであった。考えられた防御陣地は未だに強力であることを改めて証明した