てんたまさんによる、JASRACの仕組みと音楽二次利用事情あれこれ

JASRACだけじゃなくそこにお金を払う施設や音楽出版社や他の著作権管理団体の存在も気にしてみよう!
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てんたま @tentama_go

さて、ほとんどJASRAC曲を使わないお店まで包括契約を契約を結ぶのはなぜか、権利者はなぜJASRACを使うのか、元の作曲者に入って来ないお金はどこにいっているのか、そしてJASRACがなくなると本当に音楽利用の風通しはよくなるのかなどのお話をしようと思います

2016-05-14 23:29:36
てんたま @tentama_go

わかりやすいのでライブハウスの例を。このくらいだとJASRACの包括契約は大まかな計算で月150曲くらいで元がとれます。けど、実際にはそれ以下の利用曲数でも契約してる店が少なくないです。これは著作権法などの法の仕組みおよびJASRACの契約システムが関係してきます

2016-05-14 23:33:34
てんたま @tentama_go

ライブハウスは実は曲数に応じたお金をJASRACに支払うこともできます。ただ、著作権法などは事前の許諾を要求しますので、この場合、お店は実際に曲を使う日の5日前までにJASRAC管理曲のどれを使うかを調べ、それを明細として許諾申請を出す必要があるのですね。そしてこれが毎回です

2016-05-14 23:38:56
てんたま @tentama_go

皆様がライブハウスのオーナーで、曲を使う5日前までにその日に使うJASRAC曲を全部調べ上げ、毎回許諾申請書を書く毎日を想像してみて下さい。しかももしもドタキャンの穴埋めしようにも5日前を過ぎていたら代わりのバンドには非JASRAC曲でやってもらうか、穴を開けるしかないわけです

2016-05-14 23:44:01
福田康英 虎@サンキソフト代表 @y_fukuda62

@tentama_go しかも、穴を開けて使わなかった曲の使用料も支払う事になるんですね。 現実には、JASRACとの契約内容が「定額をJASRACに払って、JASRAC曲をいくら使っても良い様にしている」ライブハウスもあります。

2016-05-14 23:53:04
てんたま @tentama_go

@y_fukuda62 そうなんですよね>穴を開けて使わなかった曲の使用料も支払う事になる なので客側にも利便性があるからと、おっしゃるように包括契約を結んでいるライブハウスというのが少なくないわけです

2016-05-14 23:56:24
福田康英 虎@サンキソフト代表 @y_fukuda62

@tentama_go 包括契約の負担をレギュラー出演者に「レギュラー出演会費」で、分担させる、というのが、私の経験です。 オリジナル曲中心の人と、カバー曲中心の人の区別はなく、同じ金額です。

2016-05-15 00:01:45
福田康英 虎@サンキソフト代表 @y_fukuda62

@tentama_go 私の経験では、レギュラー出演の約束をライブハウスとしているメンバーが「レギュラー出演者会費」をライブハウスに納め、その「定額(金額は知りません)」を払うために使用していました。

2016-05-14 23:56:04
てんたま @tentama_go

包括契約だとどうなるか。定額料金以外にも実は「JASRACからは全てに事前許諾が出ている」形になるんですね。当然毎回許諾申請書を書く必要もゼロ。そのためお店はドタキャンの穴埋めのバンドの使う曲を気にしないでいいし、「実際にやった曲を“5日後”までに明細提出」で済むのです

2016-05-14 23:49:45
てんたま @tentama_go

このようにJASRACの包括契約はお店の負担がかなり軽減する仕組みなんですね。そのため、実際の利用曲数は少ないお店までがJASRACと契約を結ぶ形に。テレビやラジオ局などは利用曲数も多いし、事前許諾の申請毎回やってられるわけないので、同じく包括契約を結んでるわけです

2016-05-14 23:53:38
てんたま @tentama_go

実は利便性がJASRACの大きな武器で、他の団体は「JASRACほどの利便性を利用者や権利者に提供できていない」んです。イーライセンスの「利用者の方へ」を見ると演奏権は徴収できず、放送で使われた分についても制限があることがわかります elicense.co.jp/u/01.html

2016-05-15 00:06:28
てんたま @tentama_go

初音ミクさんなどのボカロ曲がカラオケに入った際、「非JASRAC曲なので歌われても作曲したPさん達はお金がもらえない」という、ウソのような状態でした。クリプトンの頑張りでPさんにもお金入るようにはなりましたが、今でも業務用通信カラオケではJASRAC以外は店からはお金がとれません

2016-05-15 00:13:58
てんたま @tentama_go

カラオケでボカロ曲を歌った方は沢山いると思いますが、お金がもらえないのにカラオケに曲を提供して下さった大勢のPの方々に感謝をしてあげて下さい。非JASRACって商業に打って出るにはハンデだらけなんです

2016-05-15 00:18:35
てんたま @tentama_go

JASRACの包括契約については完全定額だと他の著作権管理団体の参入を妨げるということで独禁法違反となったものの、包括契約そのものが違法とされたわけではないため、現在は他団体の利用分は割り引く形にはなったのですが、結局は利便性の点からJASRACの牙城は崩れてないのです(・・;)

2016-05-15 00:25:03
てんたま @tentama_go

さて、色んなお店や局が結局はJASRACを利用する理由をお話しましたが、実は作曲者が商業音楽に打って出る上でほぼ通らざるを得なくなる関門がもう一つ存在します。それが音楽出版社と言われるものです。出版というと本を思い浮かべるかもですが、強さは比べ物になりません

2016-05-15 00:28:43
てんたま @tentama_go

いきものがかりの「ありがとう」。作詞作曲は無信託とありますが、その下に「キューブ」「NHK出版」という出版者がいて、ともに“全信託”となっているのがわるかと。これは音楽出版社を通して作曲者と作詞者が著作権を譲渡してるという意味です www2.jasrac.or.jp/eJwid/main.jsp…

2016-05-15 00:41:26

JASRAC/作品データベース検索サービス J-WID
http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/

このサービスで検索すると、たいていの楽曲の著作権管理状況を調べることができます。

てんたま @tentama_go

以前からお話していますが、本の出版社は作者と著作権の譲渡契約は結ばす、出版権と呼ばれるものだけを認めてもらっています。音楽出版社は出版というものの、作曲家や作詞家と著作権譲渡契約を結び、その上でJASRACに全権委任してるわけで、権利構造は全く異なります

2016-05-15 00:45:21
てんたま @tentama_go

先日、たまの曲の多くがカラオケで歌えなくなったと騒ぎがありましたよね。その時に残った曲は、実は音楽出版社がJASRACに全信託してる形のものです。そうじゃなくて曲の作曲者や作詞家がJASRACと契約をしている場合、その契約が切れれば曲が使えなくなります。あの騒ぎはそれが理由だと

2016-05-15 00:52:34
てんたま @tentama_go

ところで1000円のCDの売り上げの分配ってご存知でしょうか レコード会社:546 小売:300 原盤制作者:90 作曲家・作詞家:ともに17 音楽出版社:17 アーティスト:9 JASRAC:4 実は権利料的にはJASRACの取り分は多くないんです

2016-05-15 00:59:42
てんたま @tentama_go

それよりも音楽出版社のが持っていってるし、レコード会社にいたっては半分超えてるんですよね。CDの金額でJASRAC叩かれがちですが、実は皆さんの払ったお金は6割以上がレコード会社と原盤制作者に消えています。だからJASRACがもし消えてもCDはほとんど安くならないでしょうね・・

2016-05-15 01:05:16
てんたま @tentama_go

ところで音楽出版社って何をやってるかといいますと、曲のプロモーションや印税の分配などがお仕事。通さない場合プロモーションは自分で行わなければならず、JASRACは実績ない個人との信託契約を結ばないので、通さない場合は非JASRACと合わせ商業的に二重のハンデを背負います・・・

2016-05-15 01:14:51
てんたま @tentama_go

結局のところ、商業に出るには音楽出版社の力が必要になり、ここがJASRACへ全信託をして、結果「曲の元の作者なのにお金払わないと曲が使えない」という、よく耳にする事態が続いてることになります(;´▽`A``

2016-05-15 01:19:06
てんたま @tentama_go

さて、最近聞くようになった「結婚式で自由に曲が使えない」という不満。これもJASRACがやり玉に上がりがちですが、実はちょっと違います。むしろこれは例の「JASRACに払っていません」紅茶店のブログでもあった「JASRACは管理しない著作隣接権」それに絡む話だからです

2016-05-15 01:39:46