【GC大戦7loops】偏向魔法師の就活記録
- gc7LCharlotte
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とある領地の君主さまに仕えていたお師匠様は、なんだか色々とあって(お師匠様はあんまりこのことを教えてくれなかったし、あたしも聞かなかった)、魔法師の才能があったらしいあたしを引き取って、育てて、それから魔法師協会に送り出した。
2016-05-19 00:37:48あたしは魔法師協会でいろいろとお勉強をして、卒業して、晴れてお師匠様とそのご主人様のいる領地へと帰った。のんびりとしていたはずのそこはなんだかぴりぴりとしていて、ご主人様は"今の"ご主人様に代替わりしていた。
2016-05-19 00:40:06なんでも、数年前にとある闇魔法師がこの領地に襲いかかってきて、ご主人様が亡くなられて代替わりして。お師匠様はそれからずうっと、その闇魔法師について追いかけつづけているって。 そのときは、へー、って思った。なんだか妙なことをする魔法師もいるのだなー、って。
2016-05-19 00:42:14それから数年間、あたしはお師匠様といっしょに、魔法師としてご主人様の補佐をした。 実際に魔法師になってみると、お師匠様がいかにすごい魔法師なのかがよく見えるようになって、あたしはそれにすごいワクワクしていた。 お師匠様の知る全てを知ろうと躍起になっていた。
2016-05-19 00:44:27しばらく領を空けると行って旅立ったお師匠様は、とある宿屋で惨殺されていたらしい。あたしたちのところには、どころどころ血で汚れたお師匠様だけの荷物が届けられただけだから実際のところは分からないけれど、それはもう無残な殺され方をしていたらしい。
2016-05-19 00:46:55あたしは、"あること"が気になって仕方がなくて、お師匠様の遺品や書斎を調べ尽くした。あたしが知りたかったことについてはそんなには分からなかったけれど、それでもとても大事なことが分かった。 『パンドラ』――お師匠様を殺した、闇魔法師たちに関連する名前。
2016-05-19 00:49:18……それからあたしは、お師匠様の後を継いで、ご主人様に仕える第一の魔法師になった。あの事件から数年が経って、ひとかどの魔法師と言える程度にはなった。 それでもあたしはまだあの事件に囚われている。 『パンドラ』と呼ばれる存在について。
2016-05-19 00:53:19お師匠様はすごい魔法師だった。 多くの色の魔法を修めて、アカデミーでは数年にひとりの天才と呼び習わされ、それに恥じずになんでも知っていて、あたしの使えない魔法も、あたしが得意な魔法も、十二分以上に使いこなしてみせたお師匠様。 そんなお師匠様が、殺されてしまった。それはもう――
2016-05-19 00:55:45あたしはまだあの事件に囚われている。 『パンドラ』と呼ばれる存在について。 あのお師匠様を殺してみせた、そのなにか強大な力を持つ存在について。 お師匠様の知る全てを知ろうと躍起になっていたあの頃のように、より大きな力を持つ"それ"を知りたくて知りたくて、しょうがなくなった。
2016-05-19 00:58:55だってそうでしょう。 混沌とは万物。 魔法師とは混沌の支配者。 すなわち魔法師とは万物の支配者。 あたしたち魔法師には全てを統べて全てを識る責務がある。叡智への渇望は、あたしたち魔法師が囚われなくてはならない枷に他ならない。
2016-05-19 01:02:33だからあたしは『パンドラ』に近付かなくてはならない。 大丈夫。あたしはうまくやっている。 ご主人様を隠れ蓑に、この渇望すらも素知らぬ顔で、『パンドラ』に近付くことなんて容易いことだ。特に、この戦乱の中でなら。
2016-05-19 01:05:06難しいのは、近付いて、取り入ること。 それにはきっと、手土産が必要だ。 たとえば――数日ほど時空さえも巻き戻るほどに混沌を操ることが出来るとしたら、きっと『パンドラ』はあたしを無碍に扱いはしないだろう。 たとえば、この3回目の4月7日のように。
2016-05-19 01:09:08前日譚I
どこかの繰り返された1日の出来事
#偏向魔法師の就活記録 【パ/危機/調査点3】キミの所属勢力内で、一部の領民が突如武装蜂起。陰で煽った黒幕の正体はいったい? HP-2、SP+2。支援を得られれば調査点+2。支援した者はHP-1、調査点+2。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #グランクレスト大戦
2016-05-27 00:21:43@gc7LCharlotte 「えー、なんですかご主人様。……はい? 領民の蜂起です? そんなの前の今日にあったかなあ……、あ、いや、コッチの話です。はいはーい、あたしがチャチャッと解決してきちゃいますからねー、ご主人様はそのまま最前線でざっくざっくやってきちゃってください」
2016-05-27 00:28:51何を隠そう、あたしのご主人様はどっちかというと弱小君主に属するやつである。 聖印の力がそう強くないのももちろんあるのだけれど、どちらかというと"領民の顔が見えてるほうがいいから"とか、なんかそういう感傷系の理由で領土を積極的に広げない……という意向らしい。
2016-05-27 00:47:34そのうち他の同盟の君主にでも取って食われるんじゃないかーとかそうならないようにするのがあたしの仕事かーとか色々と思うところはあるわけだけれども、ここで重要なのはそこではない。 そういう理由で、あたしのご主人様は少なくとも領の民には比較的慕われているハズ、という点が問題になる。
2016-05-27 00:49:39いくら戦時とはいえ (いや戦時だからこそなのだろうか?) 領民の武装蜂起とかは、あたしのご主人様に限って言えば、あんまり考えにくいことなのである。 ……現に、"このあいだの今日"には、そういうことは起こっていないわけであるからして。
2016-05-27 00:50:51「あとなー。この間起こってない、ってことは、この時間遡行の中でなんかしてる誰かがいるってことなんだよねー」 そうじゃないと困る。あたし以外の誰かがこの現象に際してなにかをしてくれていないと、あたしが面白くない。 だからこれは、誰かが領民を煽り立てた、ということでないといけない。
2016-05-27 00:53:43