古流武術の欧州支部から門下生が来た話

興味深かったのでまとめました
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武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

東京都世田谷区を中心に、古流武術の研究と稽古会を開催していました。 兵庫県に伝わる古流武術を修行中。 2015年2月から地元芦屋に移り住んだため、本部道場詰めになりました。 たまには東京行くよ。

武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

昨夜まで欧州の支部から、支部長が4人の門下生(うち2人は伝書持ち)を伴って来日しておりました。 南欧と北欧の支部の方が来ると毎回思う感想なのですけれど、彼らホントに「ガチ勢」だな、と思います。 聞いてみると本職が警官、傭兵、用心棒、という人ばかり。 「武術を普段使い」する人たち。

2016-05-29 10:59:40
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

空手やボクシングもやっていて、力も無茶苦茶強いしでかいし。 何度も刃物や銃を持った相手と対峙したことがあるような人たちだから、日本の古流武術に求めている物が、現代日本人のそれとはまったく違う。 もちろん型、伝統、精神性、これらもしっかりと学ぼうとしてくれますけれど。

2016-05-29 11:05:38
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

彼らがまず求めている物は「戦い方」。 刃物、ナイフを持った相手を制圧する方法。 彼らの職業上、その場合に護身術的な「逃走」という選択肢はありません。 殺してでも、刺されてでも、相手を「制圧」するのが彼らの仕事なのですから。 だから、柔術の稽古に対する熱量は大変なものになります。

2016-05-29 11:13:27
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

「銃で制圧」という手段を当然彼らは持っていますけれど、どうやら「銃は用途が限定的すぎる」というような意味の事を言っているようでした。(言葉がお互いに片言なので) 銃弾を人に打ち込むという「明確な殺人行為」に、即座に踏み切れる人は少ないという事でしょうか。

2016-05-29 11:20:08
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

実際に銃で人を撃った人たちからすると、戦場で「目の前の敵をとにかく殺せ」という状況にでもならない限り、銃の使用は「枷」となる場合の方が多いようです。 そうなると、銃より刃物、刃物より打撃武器、武器より素手。 この方が躊躇なく使えるという感覚になります。 初めて聞くお話でした。

2016-05-29 11:23:30
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

柔術の稽古で、彼らが実際の殴り合いの練習をしたがる、という事はありません。 むしろ、基本の型や、その型を使いこなすための技の稽古、コツの指導を熱心に求めていました。 彼らや彼らの師匠の多くが、宗家や本部の高弟たちに組手を挑んで、あっさり転がされてしまった経験を持っています。

2016-05-29 11:28:22
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

そうされた時、彼らの殆どが「MAGIC !?」と言ったそうです。 なんだか分からないけれどやられた。その技を知りたい。 「理解できない」という事を素直に認めて、地味な型をひたすら真面目に練習するのです。 とてもひたむきで、熱心で、貪欲です。 一緒に稽古をすると自分も熱くなります。

2016-05-29 11:32:14
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

実の所、本部であれほど熱い稽古をしている場面は少ないです。 若い門人たちがまだ組手稽古をガンガンできるほど上達していない、というのもあります。 なので、今回彼らとガンガンやった組手稽古は、久しぶりに楽しいものでした。 何発か思いっきり喰らいましたけど。 寸止めですよ(´;ω;`)

2016-05-29 11:38:12
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

特に、防具をつけて短刀(木製)VS素手の試合は盛り上がりました。 私は6本取って3本取られて。なんとか勝ち越せました。 1本1本を結構きれいに取ったので、感心してもらえました。 その後、なぜかテンションあげあげで「混ぜろ」って乱入してきた宗家に20連発でシバき倒されましたが(涙)

2016-05-29 11:41:37
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

その後、素手同士の簡易組手も行い、これまた白熱しました。 ガチでなぐり合った後で、彼らからはごっついハグをされました。 体が小さいのにデカいガイジンとまともに渡り合ってすごい、的な事を言われました。 嬉しいことですが、小さいは余計だい。

2016-05-29 11:44:18
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

全体の感想として。 日本社会の平和さが、古流武術から「熱」を奪ってしまっていたのだなあ、と思いました。平和な社会は素晴らしい事です。 でも、流派としてこの熱を失う事はよくない。 先代宗家が、積極的に海外に門戸を開き、40年かけて支部を育ててきた理由が、そこにあるように思いました。

2016-05-29 11:47:03
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

欧州の門弟たちとバチバチの稽古、交流をする事は、「戦い」の技術を学んでいるのだと思い出す事になります。 宗家は「海外支部に行く機会を持て」と言います。 外国の不穏な空気を知って、感覚を磨けと。 その「不穏と熱」こそが古流の強さを保つのだと。 今は、その意味が分かるように思います。

2016-05-29 11:50:33
武術屋@元・東京‘古流'武術研究会 @bujutsu_ken

そして何よりも、日本人より力も体格も柔軟性も高い欧米人との稽古は、大変よい修行になります。 今後もわたしは積極的に海外の方たちとバチバチやっていきたいと思います。 今は忙しいですけど、海外遠征にも行くようにします。 それこそが、自分の武術をさらに向上させる手段だ、と思いました。

2016-05-29 11:53:55