- SonohennoKuma
- 15539
- 467
- 17
- 31
福島第一原発廃炉図鑑をお求め頂いたみなさま、本当にありがとうございます。 実は、私が担当したデマ検証コラムには、ページ数の都合や様々な事情があって割愛された「はじめに」としての序文がありました。 そこには、デマ検証のコラムを書くにあたっての迷いや葛藤など、複雑な想いも記しました。
2016-06-08 22:56:32この場を借りて、連ツイにて転載をさせて頂こうと思います。 構成の都合上、載せることは出来ませんでしたが、どういう想いであのコラムを書いたかの前提をご理解いただけることで、伝えたかったことが少しでも多くの方に誤解されにくく、伝わるように願ってやみません。
2016-06-08 22:58:441『はじめに デマを否定することは、ある意味でつらいことでもあります。いかなる理由や正当性があっても何かを否定することには排他性が伴いますから、それが読み手にとって、まるで「自分に攻撃が向いている」かのような印象を与えてしまうこともあります。』
2016-06-08 22:59:272『事情が良く分からない方や中立的な立場をとりたい方からすれば、論理が正しいかどうか以前に対立の事実そのものからネガティブなイメージだけしか残らない恐れもあります。』
2016-06-08 23:00:313『デマを流す人(デマゴーグ)はしばしば「他人の善意」を利用しますから、デマを否定する際には取り込まれた「善意」までをも巻き添えに否定してしまう可能性もあり、それがもたらされた全ての善意や努力を否定するものと誤解されるかも知れません。正当な善意の方がはるかに多いにも関わらず。』
2016-06-08 23:01:024『デマの被害がいくら大きくても、デマを流す勢力自体は全体の一部でしかない、いわゆるノイジーマイノリティです。しかし、少数派ながらあまりにも大きなその声や悪意から心を守ろうと耳を塞げば、大勢の善意の声までもが聞こえなくなり、視野も狭く排他的になりがちです。』
2016-06-08 23:01:365『その状態に陥ったままデマの否定をすればとても攻撃的になってしまい、第三者にとっては「はじめての福島学」にしばしば記された「福島は面倒くさい」という印象を益々助長し県内外の分断をさらに深めてしまうリスクもあります。』
2016-06-08 23:02:196『ですから、攻撃的になりすぎずデマに立ち向かうにはある意味で、自分の心を無防備にさらさなければなりません。』
2016-06-08 23:03:127『しかしながらデマはまさに私たちが生きる社会の内面に巣食った病のようなものではないかとも思うのです。痛みを伴ってでも摘出しなければ次々に侵食を拡げ、文字通り人の命を奪いかねないものでもあります。』
2016-06-08 23:03:448『様々なデマが「風評被害」の一言でまとめられることで具体的に発生している差別や経済的損失といった被害の言語化が遅れているのが現状です。現地は今も深刻な問題を前にじっと耐え、苦しみ続けています。』
2016-06-08 23:04:209『今回の文は、そういった様々な課題に細心の注意を払って傷や出血を最小限に抑えようとしつつも、被災地を苦しめてきたこの病に勇気をもって挑もうとするものです。 その目的は、デマの拡散者そのものを攻撃することではありません。』
2016-06-08 23:05:1410『いくつかにパターン化できるデマの具体例を検証プロセスと共に紹介することによって、それを知った人に抗体ができ、社会にワクチンのように働く。その結果、デマ被害の減少と再発防止につなげることです。』
2016-06-08 23:05:5011『同時に、原発事故後の被災地に何が起こったのか、その二次被害を被災地に暮らす一人の人間として具体的に言語化して記録に残すことで、現在のみならず後世での研究の手助けとなる資料とすることを目指しています。』
2016-06-08 23:06:2312(終)『それでも配慮が足りない点、至らない点などあると思いますが、デマによるこれ以上の被害を無くしていくために、どうか一人でも多くの方に文章の本意を温かく汲んで頂ければ幸いです。』 以上になります。
2016-06-08 23:08:07