福島第一原発廃炉図鑑(開沼博・編/太田出版)デマ検証コラム用序文

構成の都合上書籍に掲載しきれなかった、デマ検証コラムの序文です。
112
リンク www.ohtabooks.com 福島第一原発廃炉図鑑 - 太田出版 開沼博 編著『福島第一原発廃炉図鑑』作品案内。福島について考えることは、 世界と日本の現在を考えることだ。 福島第一原発(1F=いちえふ)を考えることは、 私たちの家族や友だちの未来を考えることだ。 私たち.../ISBN:9784778315115、2016年6月06日発売。
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

福島第一原発廃炉図鑑をお求め頂いたみなさま、本当にありがとうございます。 実は、私が担当したデマ検証コラムには、ページ数の都合や様々な事情があって割愛された「はじめに」としての序文がありました。 そこには、デマ検証のコラムを書くにあたっての迷いや葛藤など、複雑な想いも記しました。

2016-06-08 22:56:32
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

この場を借りて、連ツイにて転載をさせて頂こうと思います。 構成の都合上、載せることは出来ませんでしたが、どういう想いであのコラムを書いたかの前提をご理解いただけることで、伝えたかったことが少しでも多くの方に誤解されにくく、伝わるように願ってやみません。

2016-06-08 22:58:44
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

1『はじめに  デマを否定することは、ある意味でつらいことでもあります。いかなる理由や正当性があっても何かを否定することには排他性が伴いますから、それが読み手にとって、まるで「自分に攻撃が向いている」かのような印象を与えてしまうこともあります。』

2016-06-08 22:59:27
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

2『事情が良く分からない方や中立的な立場をとりたい方からすれば、論理が正しいかどうか以前に対立の事実そのものからネガティブなイメージだけしか残らない恐れもあります。』

2016-06-08 23:00:31
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

3『デマを流す人(デマゴーグ)はしばしば「他人の善意」を利用しますから、デマを否定する際には取り込まれた「善意」までをも巻き添えに否定してしまう可能性もあり、それがもたらされた全ての善意や努力を否定するものと誤解されるかも知れません。正当な善意の方がはるかに多いにも関わらず。』

2016-06-08 23:01:02
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

4『デマの被害がいくら大きくても、デマを流す勢力自体は全体の一部でしかない、いわゆるノイジーマイノリティです。しかし、少数派ながらあまりにも大きなその声や悪意から心を守ろうと耳を塞げば、大勢の善意の声までもが聞こえなくなり、視野も狭く排他的になりがちです。』

2016-06-08 23:01:36
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

5『その状態に陥ったままデマの否定をすればとても攻撃的になってしまい、第三者にとっては「はじめての福島学」にしばしば記された「福島は面倒くさい」という印象を益々助長し県内外の分断をさらに深めてしまうリスクもあります。』

2016-06-08 23:02:19
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

6『ですから、攻撃的になりすぎずデマに立ち向かうにはある意味で、自分の心を無防備にさらさなければなりません。』

2016-06-08 23:03:12
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

7『しかしながらデマはまさに私たちが生きる社会の内面に巣食った病のようなものではないかとも思うのです。痛みを伴ってでも摘出しなければ次々に侵食を拡げ、文字通り人の命を奪いかねないものでもあります。』

2016-06-08 23:03:44
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

8『様々なデマが「風評被害」の一言でまとめられることで具体的に発生している差別や経済的損失といった被害の言語化が遅れているのが現状です。現地は今も深刻な問題を前にじっと耐え、苦しみ続けています。』

2016-06-08 23:04:20
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

9『今回の文は、そういった様々な課題に細心の注意を払って傷や出血を最小限に抑えようとしつつも、被災地を苦しめてきたこの病に勇気をもって挑もうとするものです。 その目的は、デマの拡散者そのものを攻撃することではありません。』

2016-06-08 23:05:14
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

10『いくつかにパターン化できるデマの具体例を検証プロセスと共に紹介することによって、それを知った人に抗体ができ、社会にワクチンのように働く。その結果、デマ被害の減少と再発防止につなげることです。』

2016-06-08 23:05:50
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

11『同時に、原発事故後の被災地に何が起こったのか、その二次被害を被災地に暮らす一人の人間として具体的に言語化して記録に残すことで、現在のみならず後世での研究の手助けとなる資料とすることを目指しています。』

2016-06-08 23:06:23
リンク synodos.jp なして福島の食はさすけねえ(問題ない)のか――原発事故のデマや誤解を考える / 林智裕 / フリーランスライター | SYNODOS -シノドス- シノドスは、ニュースサイトの運営、電子マガジンの配信、各種イベントの開催、出版活動や取材・研究活動、メディア・コンテンツ制作などを通じ、専門知に裏打ちされた言論を発信しています。気鋭の論者たちによる寄稿。研究者たちによる対話。第一線で活躍する起業家・活動家とのコラボレーション。政策を打ち出した政治家へのインタビュー。さまざまな当事者への取材。理性と信念のささやき声を拡大し、社会に届けるのがわたしたちの使命です。 100 users 3086
リンク synodos.jp 被災地を搾取し被害を拡大してきた「フクシマ神話」――ニセ科学とデマの検証に向けて / 林智裕 / フリーランスライター | SYNODOS -シノドス- シノドスは、ニュースサイトの運営、電子マガジンの配信、各種イベントの開催、出版活動や取材・研究活動、メディア・コンテンツ制作などを通じ、専門知に裏打ちされた言論を発信しています。気鋭の論者たちによる寄稿。研究者たちによる対話。第一線で活躍する起業家・活動家とのコラボレーション。政策を打ち出した政治家へのインタビュー。さまざまな当事者への取材。理性と信念のささやき声を拡大し、社会に届けるのがわたしたちの使命です。
HAYASHI Tomohiro @SonohennoKuma

12(終)『それでも配慮が足りない点、至らない点などあると思いますが、デマによるこれ以上の被害を無くしていくために、どうか一人でも多くの方に文章の本意を温かく汲んで頂ければ幸いです。』 以上になります。

2016-06-08 23:08:07