ブーブス・バンド【デイ・オブ・ロックンロール】後編
これまでのあらすじ:西海岸の荒野を走るブーブス・バンは、ブシェーミじみた男を偶然ピックアップし、デッドロック・ピットと呼ばれるホットなバーに到着!「「「「ファッキンクール!」」」」ビールがおいしい!!でもそこはナチスだった!大変!睡眠薬でブーブスが全員昏睡して、捕まっちゃったよ!
2016-06-16 13:04:36「……ウーン、ファック」ジェーン9が再起動した。「あっ、ブロンディ!?」見上げると、天井から吊るされた鳥かごにブロンディが捕らわれている。鳥かごにナチスマーク!もうまちがいない!「たすけて!」「待ってろよ!クソッ、高い!」苦闘!機械腕が伸びて羽根ペンでブロンディをくすぐる。哀れ!
2016-06-16 13:07:56「大変だぞフォクシー、ドール!」半裸で椅子にしばりつけられたジェーン9がもがく。「「ウーン」」フォクシーとドールハウスも同じく半裸で椅子に!「アハハハ!」謎のドイツ訛りの笑い声!「誰だ!?ウワーッ!」「イッヒ・ビッテ・ウム・ル―エ!」ナチ将校コートを着た女が3人にホース放水攻撃!
2016-06-16 13:14:58「ガボガボ!」苦しむブーブス!「お前はデジー・シュタッデルマイヤー!」「ファンタスティーシュ!」デジーは鞭を舐めて挑発した。「今回は我々が先手必勝というわけね。そして既にお前たちに勝ち目はないのよ」「ウフフフフフ!ヤメテ!」くすぐられたブロンディが悶える。「ヤメテ!……ウーン」
2016-06-16 13:18:06「ファック!アタシたちを捕まえて何をしようってんだ?」フォクシーが唾を吐き捨てた。「ワンダバー!それはこの私が直々に教えてやろう!」店内ステージからプロフェッサーKの声が響く!「アイーン!ツヴァーイ!ドライ!フィアー!」カッ!カッ!カッ!カッ!四個のスポットライトが点灯!
2016-06-16 13:22:23ダカダカダカダーン!激しいドラムフィルを繰り出したのはタムが28個あるドラムセットを操るスキンヘッドのドラマー。もちろん頭にナチスマークが刺青されている。そして退廃的ベースラインを繰り出すナチベーシスト。ギターもいる。「バンドだと?」「ヤー。そして私がゲサングリッヒ(Vo)だ!」
2016-06-16 13:26:47ガイコツマイクを構えたのは、なんだって!?プロフェッサーKその人じゃないか!全員が軍服を着ている。サウンドはまるでワーグナーを悪くした感じ!「なんてこった!前の偽物バンドに飽きたらず……」「今度は本格派だぞ。私が歌うからな。その名も」「「「「ナチボーイズ!」」」」おしまいだ!
2016-06-16 13:28:31デーデレデーデデー。よくある90'メロコアっぽいイントロが始まった!「「「ワンダバー!」」」速いBPMにユーゲンキッズもノリノリだ!「ブリッツクリーグ!ブリッツクリーグ!」プロフェッサーKが笑う!「聴けブーブス!我々は敗北から学びロックを逆利用!お前達を洗脳したのち世界を征服!」
2016-06-16 13:33:40「アイーッ!」ブロンディに効いている!「ゴボーッ!」ドールハウス嘔吐!「耐えろ!この程度で、アタシたちを洗脳なんて……!」「大変だフォクシー、カレンダーを見ろ!」ジェーン9が赤外線アイで店内のカレンダーを確認!「6月9日!ロックンロールの日だ!」ロックの威力が69倍になり危険!
2016-06-16 13:37:18「ワンダバー!」「ゾンダバー!」「ダスイストフィーアファンタスティーシュ!」「ライツェント!」もはやこの地下ホールはるつぼだ。いや、それどころではなかった。地下トンネルから大量の批評家が集まってきて、なんか知ったようなことを言い始めた!悪の音楽のせいだ。「ファック!ヤバイぞ!」
2016-06-16 13:42:27「ジェーン。アンタのパワーで!」フォクシーが唸った。ジェーン9は気合い一発で鋼鉄ワイヤーロープの拘束を脱したぞ。「ファック!ふざけるな!」連続パンチでユーゲンキッズをなぎ倒す。だが!「ウワーッ!」巨大ドラムセットが駆動し、ジェーンの方までギューンと飛んできて体当たりをかけた!
2016-06-16 13:44:37キュッキュッキュワキュワキュワキュココー!ガスマスクを被ったナチDJが演説LPでスクラッチ攻撃!『サッサッササッ!サード!サードライヒ!マッマッママッ!マインフューラー!』「「「深い意味がある!」」」評論家がほめそやす!「ファック!」ジェーン9が殴る!「アウフ!」DJが吹っ飛ぶ!
2016-06-16 13:47:42「邪魔をしても無駄だ。ナチロックンロールパワーは無敵だ!」プロフェッサーKは2曲めをスタートさせる。アコースティックギターとジャズ要素をフィーチャーしている。評論家の何人かはフィッチポーク記者なので反応!彼らがすぐさまインターネットで賞賛!「まずいぞ。騒ぎが全世界に広がる!」
2016-06-16 13:52:36「ヤメローッ!」ジェーン9が立ち向かうが、ギューン!ドラムセットが飛んできて体当りだ!「ウワーッ!」「なんたる悲劇。モトリー・クルーやスリップノットの動くドラムセット技術が悪用されるとは」ブーブスの横で縛られた老人、ドレッドノートおやじが呻いた。彼は陰謀を偶然目撃し捕まっていた。
2016-06-16 13:55:07一方その頃、ブシェーミは?「ウウッ!?ここは?」ブシェーミはもがいた。そしてゴミ山から転げ落ちた。彼は薄汚いブリーフ1枚にネクタイ姿で、店の裏にあるゴミ捨て場に捨てられていた!砂漠の夜は寒い。こごえて死にそうだ。飲みすぎで頭も割れそうだ。「ゴボーッ!」嘔吐!体温がどんどん下がる!
2016-06-16 14:01:19「ハァーッ、ハァーッ、あんなに飲むんじゃなかった…」視界が揺らぎ始めた。「俺はここで死ぬのか……死ぬ前にポールダンスクラブでも行きたかった」彼は地面に転がり満天の星空を仰ぐ。その時!青白く輝くトップレス姿の女性が彼の目の前に!「エッ!?」『私はロックンロール座の精霊です』幻覚だ!
2016-06-16 14:04:22「待ってくれ。俺はただの飲んだくれのファック野郎さ……」『そんな貴方でも、ロックンロールがあれば一夜の英雄になれるのです』妖精は優しくブシェーミをハグした。『一歩踏み出しなさい。そしてロックンロールを守るのよ』「アーッ!」ドルン!ドルン!妖精は消え、彼はバイクに囲まれていた。
2016-06-16 14:06:18「お、お前たちは……チェイン・ギャング!」そう、彼らは全勢力を引き連れ戻ってきたのだ。「俺達は昔からこのクラブで楽しく暮らしていた。ロックンロールと一緒にな。それを奴らが奪った。だから抵抗運動をしていたのだ」「俺は身ぐるみ剥がされたぞ!」「ナチスの仲間だと思ったが違うようだな」
2016-06-16 14:07:53ギャングの一員、逞しいネイティブアメリカンの男が、羽とかドリームキャッチャーをいっぱいつけたバイクの上から問う「お前、来るか」「どこへ!?」ブシェーミが問い返す。「俺たち、戦う。最後の決戦、向かう。今日はロックンロールの日、ロックンロールの精霊が集い、モーターサイクルを祝福する」
2016-06-16 14:13:33「こ……こんな俺でも」ブシェーミの胸中に様々な思い出が去来する。あれはかつて、レミーの楽屋へ忍び込んで握手してもらった時の素敵な思い出……「こんな俺でも……ロックできるならば」「できるさ」ギュウオオーン!バイク駆動音がまるでディストーション・ギターのように鳴り響いた。「突撃!」
2016-06-16 14:16:18猛スピードで店へ!だが店の前には評論家が群れ集い、中には派閥の違いとかで内輪もめしてる奴らもいて邪魔だ!「気にするな、突っ込むぞ!」ギャングが叫ぶ!「でも!」不安になるブシェーミ!『内なるロックンロールを信じるのです。ロックンロールと共にありなさい』トップレス精霊が空を飛び祝福!
2016-06-16 14:22:26「「「ウワーッ!」」」店の前にいた野生の評論家やワラビーを蹴散らし、バイク部隊が突入!CRAAAAAAASH!ガラス窓を突き破りナチボーイズの側面へと乱入!「「「ウバーッ!?」」」衝撃で鳥カゴが落ち、ブーブスの拘束も運良く解けた!目の前に転がる楽器!ロックンロールのチャンスだ!
2016-06-16 14:27:26「頭がクラクラする」ブロンディが目を回した。くすぐられたり、痛かったり、大変だったからだ。「頑張ろう」ドールハウスが手をかした。フォクシーはギターをアンプにジャック・イン!「させるか!」ナチドラマーが巨大レールを再び滑ってきて体当たり!「ウオーッ!」ジェーン9が……受け止める!
2016-06-16 14:30:13「バカな!」ナチドラマーが驚愕する。ジェーン9になぜそんな力が?ギュオオー!それはチェイン・ギャングのモーター音とフォクシーのギターがケミストリーし、ロックの精霊の力を通してレミーのオーラが顕現し……次々に、今年鬼籍に入ったロックの神々……今年は本当に酷い一年だ……ロックの力だ!
2016-06-16 14:32:37