システマティックレビュー&メタ解析は吐きながらやるものである

システマティックレビューをどのようにやるかについてのちょいまとめ
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⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

今回ガイドラインの作成に携わって、システマティックレビュー&メタ解析について勉強になった。同時にガイドライン作成という限られた時間内ではきっちりしたシステマティックレビューはなかなかに難しくて、質が担保できない。ちょとシステマティックレビューについて勉強したまとめを

2016-06-17 19:33:54
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

正直システマティックレビュー(以下SR)やメタ解析は、「論文集めてデータ抽出して統合してforest plot出せばいいだけでしょ?楽勝楽勝」なんて思ってた時期が私にもありました。てか2年前までそう思ってたし、それで論文て楽でいいなと。とんでもない勘違いでした。吐きそうな作業です

2016-06-17 19:36:27
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

まず最初にSRを行う目的としてclinical questionを立て、それに見合うPICO(対象、介入、対照、アウトカム)を立てる。その上でPICOの条件を満たす論文の網羅的検索を行うわけだが、第一関門として検索式をどう立てるか?が実はかなり大変。

2016-06-17 19:38:45
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

とにかくいろんな用語が使用されているため、漏れなく用語を集める必要がある。既存のSRで使われた用語、さらにはそのSRにincludeされた論文からも用語を抜き出し、検索式を構築。しかし、その検索式を使っても思ったようにうまく目的の論文を網羅しきれないという事実にぶち当たる

2016-06-17 19:43:01
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

加えて、膨大な数の論文がヒットしてしまうため、後で行う仕分け作業が大変なことになる。よって、検索式を使って実際に検索しては改良して精度を高め、なおかつ研究デザインやNOTも巧みに使用すれば感度特異度の高い検索式になる。しかし、この方法はよさそうに見えて実はよくない。

2016-06-17 19:47:30
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

理由は、この方法では論文が1つでも漏れるリスクが除外できないから。よってSRを行う際は「特異度を無視して感度100%を目指す」検索式を立てなければならない。アウトカム用語や研究デザイン等やNOTで絞り込むのもダメ。実際にそれで目的としていた論文が漏れたことがある。

2016-06-17 19:54:44
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なので、検索式は「(対象)AND(介入)」といういたってシンプルなものになるが、当然ながらヒットする論文は膨大な数。この量を通読して仕分けするのは避けたいところだが避けてはいけない。数千、数万の論文を相手にすることはザラである。SRってのはそういうものとして覚悟を決めてやる。

2016-06-17 19:58:38
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さらに、SRでは最低でも2つの論文検索エンジンで検索しなければならない(PubMedとCochrane Libraryの組み合わせがオススメ)。これら2つの検索エンジンで抽出された膨大な論文から、重複論文を除外してようやく通読&仕分け作業に入る。

2016-06-17 20:01:51
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通読のやり方は様々だが、多いやり方として、最初は2人のreviwerが独立してアブストラクトを読んで仕分けしていく。一巡目は対象、介入、研究デザインが合致するかで仕分ける。アウトカムはアブストには書かれていないが本文の方に書かれているものもあるのでアブストだけでは除外しない。

2016-06-17 20:04:59
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2巡目は本文を読んでPICOが合致するか、研究デザインが合致するかを見ていくfull text reviewを行う。つまりは、1巡目で残った論文を入手しなければならないが、これがなかなかに大変である。RCTであっても聞いたことのないような雑誌に掲載されていることもある。

2016-06-17 20:09:26
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

2巡目で残った論文について、2人のreviewerでincludeするか意見が分かれることもしばしば。どこかで境界ラインを決めなければならない(これがかなり難しい)。そこで決定票を入れられる人間がもう1人必要。ということでSRは最低でも3人は必要になる。

2016-06-17 20:12:18
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

SRにincludeする論文が決まれば、次にやる作業は各論文の各種バイアスリスク、非一貫性、不精格、非直接性、上昇要因を3段階評価していく。SRは客観性が求められるが、主観が入りやすくなってしまう部分でもあり、MINDs研修等でトレーニングしておかなければ評価は難しい。

2016-06-17 20:17:54
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

さらに、メタ解析まで行う場合、データを抽出して統合することになるが、論文ごとにアウトカムの評価方法や記載方式が異なっていると厄介である。比率比較であればITT解析が原則なので、各論文から抽出する数値を間違えないようにしなければならない。

2016-06-17 20:22:25
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

連続変数比較では、平均値と標準偏差の数値が必要だが、近年は医学を含む生物学的研究は正規分布に従わないことを原則として、中央値と四分位範囲を提示する論文が増えているため、このままではメタ解析はできない。平均値/標準偏差に変換する方法があるが正確性が落ちるため採用するかは熟慮を要する

2016-06-17 20:25:08
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

ここまでの作業量でライフはもうとっくにゼロなのだが、重要な仕上げとしてエビデンスレベルの決定がある。近年流行のGRADE分類は減点法を用い、上昇要因は考慮しない。非常に細かいルールもあって、これを決めるのもトレーニングが必要。

2016-06-17 20:28:26
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

というわけでSRを行う手順は ①clinical questionとPICOをたてる ②網羅的な検索式を立てる(精神がすり減る) ③仕分け作業(作業量で死ぬ) ④意見の相違をまとめあげる(すげー悩む) ⑤質の評価(高難度で死ぬ) ⑥メタ解析(データが非統一的で精神がすり減る)

2016-06-17 20:33:26
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

何が言いたいかっていうと、ちゃんとしたシステマティックレビュー論文出すのは想像をはるかに超越した作業で、ヒットポイントもマジックパワーも作業半分くらいで尽きるくらいにエグい。トラウマなるレベル。PLoS Oneに中国が量産してるシステマティックレビュー論文見てるとふざけんなとなる

2016-06-17 20:39:19
⅃ЯAƎ⊿せかんどらいふすたあと @DrMagicianEARL

実際に今回システマティックレビューが終わった後数日間は、論文あさり大好きな俺が一切論文を読みたくなくなるくらいトラウマになった、てか実際に論文読むの数日間やめてた。論文アレルギーになってた。それでもまあなんとか終わった。この後英文化作業があるけどなっ(吐血)

2016-06-17 20:44:48