茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1816回「鳩山邦夫さんの蝶の時間」

脳科学者・茂木健一郎さんの6月23日の連続ツイート。 本日は、感想です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1816回をお届けします。文章は即興で書いています。本日は、感想です。

2016-06-23 07:39:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

ヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』は、幼い時に、蝶や蛾を集めるという「趣味」に、主人公がいかに情熱を燃やすか、というその様子を描いたものだけれども、なんだか切なくそしてほんものの読後感がある。

2016-06-23 07:41:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

鳩山邦夫さんは、蝶の本当の「マニア」だった。その情熱を示すさまざまなエピソードがある。鳩山由紀夫さんにもそれは転ったようで、事務所で、標本を見せていただいたことがある。ぼくも少年時代蝶に情熱を注いだ口だから、その気分はとてもわかる。

2016-06-23 07:42:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

鳩山邦夫さんが亡くなった時、マスコミの報道は「元総務大臣」だった。確かに、世間的に見ればそうなるのだろう。「蝶愛好家の鳩山邦夫さんが亡くなった」とは報じない。

2016-06-23 07:43:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

それでは、鳩山邦夫さんのご生涯で、鳩山一郎さんの伝統を受け継いで政治家を目指し、総務大臣をつとめられたというキャリアと、蝶を愛し、幼虫から一生懸命育てられていた、その時間の関係は、どのようなものになるのだろうか。

2016-06-23 07:45:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

「聖」と「俗」という分類は、もはや大時代的にも見えるが、ぼくは、案外、「聖」なるものは、私秘的な時間にあって、たとえば、少年が蝶に向き合っている、その情熱の白熱電灯のようなあり方の中にこそ、人間としての存在の本質があるように感じる。

2016-06-23 07:46:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

時間は経って、二度と戻らない。みんな、いつかは死んでしまう。そんな宇宙の神秘との向き合い方の一つの現れが、蝶との時間にある、という、そんなふしぎなプライベートと「聖」の交錯が、あるような気がする。

2016-06-23 07:47:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

世間的には、総務大臣をつとめられたとか、そういうことが大事になるのだろうが、同時に、蝶に象徴されるような、私秘的な時間こそが、「私」というものの大切な場所になる。そして、それは亡くなった時にしみじみ思い出される。それがわかっていることは、人間として、おそらく重大なことだ。

2016-06-23 07:49:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1816回「鳩山邦夫さんの蝶の時間」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

2016-06-23 07:50:28