人間は「飽きる」生き物

どれだけ正しくても、どれだけ胸に刻むべきことも、人間は「飽きる」。その現実を踏まえた上で、教訓を語り継ぐ方法を編み出さなければならない。
6
shinshinohara @ShinShinohara

世界が「思慮深さ」に飽きてきた。イギリスEU離脱、アメリカのトランプ旋風、各国の右傾化。 「地道に実直に」から「衝動的にズルをしてでも」。 人間というものは、「賢明さ」にさえ飽きる生き物であるらしい。 「飽きる」という本性を見据えなければ、真の賢慮は不可能。

2016-06-24 18:10:57
shinshinohara @ShinShinohara

人間は「飽きる」生き物であるらしい。「災害は忘れた頃にやってくる」と言うが、実際には「災害は聞き飽きた頃にやってくる」のかも知れない。 災害の教訓、戦争の教訓。「次世代に語り継ぐ」ことを一所懸命に頑張れば頑張るほど次世代は聞き飽き、逆張りへの衝動を駆り立てる皮肉。

2016-06-24 18:28:39
shinshinohara @ShinShinohara

小林よしのり「戦争論」が出たとき、「あ、好戦派が増えるな」と思った。しかし当時、私の周辺は「あれだけ過去の戦争でひどい体験をしたのに、そんな容易に好戦的になるだろうか」と疑問を呈する人が多かった。現実には私の予想通りとなってしまった。なぜか。「飽きた」からだ。

2016-06-24 18:31:09
shinshinohara @ShinShinohara

人間は「飽きる」生き物。敗戦の辛い記憶を次世代に語り継ごうと毎年戦争の悲惨さを語り継いだことで、「戦争を知らない世代」は恐らく「飽きてきた」。戦争の話が出たら「その通りでございます」と頭を垂れなければならないことに飽きたところに「戦争論」が出て、拍手喝采が起きた、というところ。

2016-06-24 18:34:27
shinshinohara @ShinShinohara

ルネサンスも「飽きた」が原動力と言える。中世ではキリスト教が絶対。教会や僧侶の悪口を言えば地獄に落ちると脅され、頭を垂れていた。しかし腐敗堕落した坊主に頭を下げることに不満が募り、「飽きてきた」ところに古代文明と出会った。飽きたものを攻撃する口実を得た思いだったろう。

2016-06-24 18:37:03
shinshinohara @ShinShinohara

ナチスの台頭も「飽きた」が原動力の可能性がある。ナチスが台頭する頃は、非常に民主主義的と称賛されていたワイマール憲法ができた頃。弱者に配慮し、民主主義的に決めることが続きすぎて、ドイツ国民が「飽きた」タイミングでナチスが現れ、甘味に飽きた時の塩味のような気がしたのかも知れない。

2016-06-24 18:40:03
shinshinohara @ShinShinohara

人間はどんなに好きなものでも、大切に思っているものでも「飽きる」ことができる生き物。 「こんな大切なことに「飽きた」とは!何てことを!」と真面目に怒ってみても、飽きるものは飽きる。人間の本性なのだと認める必要がある。「飽きる」ことを認めた上で、大切なことを見失わない工夫が必要だ。

2016-06-24 18:44:55
shinshinohara @ShinShinohara

災害の教訓、戦争の教訓、虐殺の教訓。これらをきちんと末代まで語り継ぐには「飽きる」という人間の本性を見据えて工夫せねばならぬ。くそ真面目に教訓を押し付けたら、次世代が「飽きる」のは早い。飽きれば反発は強い。「飽きさせない教訓」を真剣に考えないと、人間は愚行をひたすら繰り返す。

2016-06-24 18:47:57
shinshinohara @ShinShinohara

前に「フランダースの犬」症候群を指摘した。togetter.com/li/982736 とても感動する物語なのに、二度と見たくなくなる。悲しすぎて直視できなくなるのだ。戦争の教訓も、災害の教訓も似たようなところがある。なのに繰り返されると、つらいし、「飽きる」のだ。

2016-06-24 18:53:28
shinshinohara @ShinShinohara

拒否感を湧かせずに、飽きさせずに戦争の教訓、虐殺の教訓、災害の教訓を伝えることは可能か。 拒否感を持つこと、飽きることを「ひどい人間だ」と責めても仕方ない。人間はそういう生き物なのだ。 ならば、その本性に逆らわずにいかに賢明な行動をとらせるか。それこそ深慮と言うべきだろう。

2016-06-24 18:55:57
shinshinohara @ShinShinohara

真面目な人々よ、私はあなたたちの真面目さ、真剣さを愛する。しかし真面目さ故に人々から敬遠され、「飽きられる」ことを悲しむ。人間は「飽きる」生き物。この現実を直視し、いかに飽きさせないかを真剣に考えねばならぬ。そうでなければ、賢慮深慮は人間が手にできないことになる。

2016-06-24 18:58:28