諸国珍談奇談(+生人形記事)第五集

明治大正昭和の新聞記事等を漁りながら見つけた日本各地の珍談奇談を集めてみました。生人形の記事もたくさん混ぜてあります。2016.1-2016.6分の虫干し。
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松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】石黒忠悳『懐旧九十年』より、石黒が江戸の医学所にいた慶応年間の話。解剖学の黎明期、人骨は大変入手困難だった。ようやくの貴重な頭蓋骨、壊さず縫合を分離するにはと使ったのは大豆だった。豆を詰め水でふやかし圧を利用する。見事成功後、貧書生連中ゆえ豆は大事に煮て食ったと。

2016-06-12 20:41:25
松崎貴之 @gelcyz

【生人形記事】明治13年8月28日付『東京絵入新聞』、「浅草奥山の新聞百物語といふ観場(みせものば)で杉戸屋の七人斬の生人形をこしらへ来月から見せるといふ評判」

2016-05-07 15:26:33
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】旭玉山の髑髏。明治14年7月15日付『東京横浜毎日新聞』。陸軍軍医監・佐藤進が語ったドイツ留学中の話。氏は叔父の松本順より贈られた玉山の精巧な髑髏を大事に持っていたが、これが当地の医学校の解剖学教師との間で思わぬ諍いの種になってしまった。(続)

2016-06-15 00:10:08
松崎貴之 @gelcyz

@gelcyz (承前)玉山の髑髏を見て、世には人間によく似た動物がいるものだという教師に向かって佐藤がこれは人間の頭蓋骨に似せて作ったものだと答えると、師に対する虚言だと叱責されてしまう。佐藤は誤解を解こうと食い下がり、遂に顕微鏡で覗かせる。象牙だとわかった師は驚嘆したという。

2016-06-15 00:17:33
松崎貴之 @gelcyz

本日拾った宮川香山の記事は明治15年9月19日付の『郵便報知新聞』。生産が横浜中心だったためそれまで東京になかった真葛焼の販売所を京橋区尾張町二丁目四番地に設立するとの内容。その店名、「芙蓉軒」の由来は香山の門人が富士山の土を用いて創製した不二焼を併売するからだとしている。(続)

2016-02-27 22:31:22
松崎貴之 @gelcyz

(承前)記事からは「不二焼」や手がけたという宮川香山の門人に関しそれ以上のことはわからない。しかし、過去ヤフオクにこれはという出品があった。明治30年製、「横浜香暁」作の「不二焼」らしい。横浜といい、香を含む銘といい、大変気になる。 pic.twitter.com/GBjyQkPBbT

2016-02-27 22:43:27
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松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】日本橋の悪臭は凄まじかった?『東京絵入新聞』明治16年7月8日付附録投書「日本一の臭い所」より。橋の南は馬の小便でぬかるみ、それが乾く臭さは実に耐えがたい。橋の北は生魚を洗った生臭い水が往来に流れ出し、魚のワタや塩漬けにした魚の臭いが一所に集まり鼻がちぎれるよう。

2016-04-09 15:20:28
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】明治16年8月17日付『東京絵入新聞』。兵庫でのミイラ?屍蝋?発見。「城崎より三里ほど奥なる山中を此ほど開墾して量らず得たる化石ハ丈五尺ばかりの男にて頭部にハ月代も一寸許にのびてあり手足男根まで少しも欠損じたるところなきハ珍しけれバ…」、男根が残ることがあるとは。

2016-05-21 16:00:48
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】明治のニューネッシー?『東京絵入新聞』明治17年7月16日付。伊豆大島の八十里ほどの沖合で千葉の漁船が7日に引き揚げた怪物、「頭ハ大蛇のごとく惣身ハ鯨の形に類し左右に羽あり長巾とも二間の動物」、横浜の魚市場で水揚げされ、伊勢崎町で見世物になったという。

2016-04-09 16:32:05
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】明治18年にはもう、写真が浮気の動かぬ証拠だ!という事件が起きていたとは。同年8月5日付『今日新聞』より「証拠の写真」。ある大工の棟梁、浅草の写真屋で看板を見ると、女房と家に出入りする若衆が仲睦まじく写った写真を発見。旦那の留守に墓参りと偽っての浅草遊興であった…

2016-04-06 20:33:19
松崎貴之 @gelcyz

【生人形記事】明治19年7月2日付『東京絵入新聞』より「溺死ハ人形」。一昨日の午前8時頃、吉原大門外土手下の蹴合橋の際に頗る別嬪の娘が溺死していると騒ぎになった。しかし調べてみると中形の浴衣を着せた生人形であった。一同大笑い。誰かの悪戯か、盗み出して捨てたのか、事情はわからない。

2016-04-23 16:42:07
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】少し前には生人形と溺死者の勘違いがあったが、今度は本物!明治19年7月17日付『東京絵入新聞』より「溺死ハ本物」。一昨日の正午頃、南葛飾郡木下川で女の人形が流れてきたと大勢で竹竿等で引き寄せると二十五六の女性で騒ぎに。twitter.com/gelcyz/status/…

2016-04-23 16:48:21
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】明治21年9月13日付東京朝日「知事の油絵」。東京府に於てハ維新以来同府に知事たりし人々の油絵を額に仕立知事官房に掛列ねんとの計画ありて予て其揮毫を京橋区三十間堀なる小豆澤彦一氏に委嘱されたるが右ハ漸く出来上りて昨日同氏より府庁に差出せり…撮影頗る鮮明なる由(続

2016-02-21 09:13:28
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】承前)「油絵」なのに「撮影頗る鮮明なる」―。昨年の江戸東京博『浮世絵から写真へ―視覚の文明開化』展でこの<写真油絵>の現物を見ていなければ、記事は目に留まらなかった。<写真油絵>とは印画紙の表面の画像だけを薄く残すように裏の紙を剥がし、油絵具で色を付けたもの。(続

2016-02-21 09:18:51
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】承前)「知事の油絵」を手がけた小豆澤はこの写真油絵の技法に関し特許を取得している。twitter.com/gelcyz/status/…

2016-02-21 09:25:25
松崎貴之 @gelcyz

@gelcyz 「浮世絵から写真へ」展の目玉の一つ、〈写真油絵〉は明治18年にその製法で特許を得ている(第31号)。特許制度最初期の発明。権者は小豆澤亮一。表面の薄膜だけ残し裏を剥いだ写真に油絵具で彩色するというのがその要諦だった。 pic.twitter.com/1M6OAKEVlL

2015-10-15 07:57:12
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】江戸時代の金座を題材にした『金吹方之図』には職人達が金を持ち出していないか裸にしてボディチェックする様子が描かれている。さて、時は流れ明治23年7月12日付『大阪朝日新聞』より「造幣局職工の取締」。弁当箱を二重底にし五円金貨を持ち出す輩がいたため規制を強化した(続

2016-06-04 20:21:43
松崎貴之 @gelcyz

@gelcyz 弁当箱は禁止され竹の皮の包みに統一。出勤時は工服に着替えさせる。退勤時はうがい、頭髪改め、はしごをのぼらせて金貨を挟んでいないか肛門をチェック。時代は変わっても人がすることは盗む側もチェックする側もまるで変わらない。 pic.twitter.com/Sb1xv2ovd2

2016-06-04 20:26:43
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松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】またしても首と腕一本の揃いである。鬼の乾物、すなわちミイラの発見記事。明治23年7月26日付『大阪朝日新聞』。備後のある山中の寺で境内を掘ったところ石棺が出土した。奇異な石棺を満たす朱をかき分けると、なんと二尺余り(60センチ強)の首と一本の腕が入っていた。(続

2016-06-04 22:43:17
松崎貴之 @gelcyz

@gelcyz 「其毛髪太くして毛の先は数本に別れ額には二本の角を生じ其形恰も坊間に伝わる絵画の鬼に彷彿たり」。寺の縁起から埋設は六百年以上前と思われるが、いつの何者か判然としない。首はこの後「尾張国海東郡津島町大字津島方等院」住職が貰い受け、愛知病院を経て帝国大学へ献納する由。

2016-06-04 22:50:35
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】明治24年7月22日付『郵便報知新聞』。大津でロシア皇太子の遭難の地を公園とし「殿下の血痕を印したる木綿切れ等を納め一神社の体裁に新築せん」との願出が県庁に出されたが、県庁では願い出た小林吉三郎を召喚し説諭の上却下したという。〈神社〉という装置のこの何でもあり感。

2016-06-25 15:51:25
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】明治24年7月31日付『郵便報知新聞』、海に落雷→雷神の溺死体。「前日横浜にて落雷ありしことは既に記せり此より思ひつきてか伊勢佐木町通りの観世物小屋に近日の内雷神の溺死体を観世物に出だすよし」。み、見たい!

2016-06-25 16:03:34
松崎貴之 @gelcyz

【生人形記事】明治26.7.12付『萬朝報』「洲崎の生人形と燈籠」。「来る十四日より同郭遊園地にて催ほす生人形ハ八角の廻燈籠の体(てい)に造りて安本亀八の細工にかゝる十二時会稽曾我と東鑑拝賀巻の狂言見立にて二人掛りで廻はすものなりとまた之れと共に各楼の前に例の燈籠を掲ぐる由なり」

2016-01-31 15:25:48
松崎貴之 @gelcyz

【生人形記事】明治26.8.3付『萬朝報』「吉原の燈籠の二の替り」。「一昨夜より替りたる吉原の燈籠ハ予て記せし如く人形師安本亀八の作にして東京三十六景の外に近郷の名区勝地を増し都合六十景にしたるものにて人形幷に樹木家屋山川舟筏其他の物の細工より遠見の景色まで細かに其妙を顕はし…」

2016-01-31 16:38:05
松崎貴之 @gelcyz

【生人形記事】明治26年8月30日付『郵便報知新聞』、今度浅草公園第六区に於て興行せる福島中佐騎馬旅行の活人形は竹田金六の作にて中佐の閲覧をも経たる由なれば雪中の景色等都て実地を見るに異ならずと

2016-06-25 15:06:33
松崎貴之 @gelcyz

【諸国珍談奇談】都市伝説「手首ラーメン」の上を行く怪事件、「人間の生首を煮た汁を吸う」(明治28年8月11日付『大阪毎日』)。梅毒に罹った亭主のため、生首を煮詰めた汁を飲めば必ず治ると聞いた妻が実家近くの寺の新墓から拝借。夜煮て昼干す(!)日々の異臭や目撃談に近隣住民が騒ぎ発覚。

2016-03-12 23:34:47