2016年から振り返った「新本格ミステリ」勃興期の実相に関するまとめ

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浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

帰る途中で新本格問題をまだ考えてたけど、結局「占星術や斜め屋敷は出た当時どのくらい売れて、十角館や密閉教室は出た当時どのくらい売れたのか」という点を検証しないと新本格ムーヴメントの本質は見えてこないのでは?という気がしている

2016-06-27 14:34:12
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

たとえば米澤穂信『インシテミル』が何十万部と売れたことは、『インシテミル』の含むマニア性や問題意識を共有する読者が何十万人といるということを意味するわけではないのに、新本格の話になると新本格を受け入れた読者はみんなああいう本格に飢えていたのだ、という話になってしまう気がするんだ

2016-06-27 14:36:46
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

うちの母親は当時田中芳樹や栗本薫や茅田砂胡の愛読者で、ぜんぜん本格ミステリというジャンルに興味があるタイプではないんだけど、その母親も綾辻行人や有栖川有栖を読んでいたわけで、どういう文脈で読んでいたかというとたぶん内田康夫と同じように読んでいたんだよなあ

2016-06-27 14:41:12
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

こないだ話題になってたミステリ二次創作史の話にも繋がっていくんだけど、「新本格ムーヴメント」を本当に支えたのは本格に飢えていた本格マニアではなくて、同世代作家の書く同世代的なミステリを求めていた層や浅見光彦シリーズのように火村シリーズを読むような読者だったのでは

2016-06-27 14:43:45
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

純粋に「占星術や十角館が当時何万部売れたのか」という数字から新本格ムーヴメントを分析した文章があったら読んでみたいんだけど誰かやってないんですかね

2016-06-27 14:47:17
積読荘の住人 @tsundokulib

綾辻、歌野、法月、我孫子(ここまで講談社)、折原、有栖川、北村(ここまで東京創元社)、と面子が増えたころに消費税で角川のラインナップがガタガタっとかわって、そこで新本格はあっても本格がない状態ができた、といえるのではないか

2016-06-27 21:51:13
積読荘の住人 @tsundokulib

本格は社会派ではなく消費税に負けた説(SFも)

2016-06-27 21:56:35
RH123BE @embryogenesis

社会派を経た後も、国産推理小説の主流は謎とその解明を話の主眼に持ち、その中心にはトリックがあるいわゆる本格派的な作品にあったというのは島田史観が浸透した今や分かりにくくなっているのかも。

2016-06-27 23:10:52
RH123BE @embryogenesis

新本格以前に排斥されていたのはそういう意味での「本格」要素ではなく、当時の日本サラリーマン社会的な現実から遊離した遊戯性だったように思います。その枷を逃れ、遊戯性を重視するとの青臭いまでの宣言が『十角館〜』冒頭のそれであり、そこが若い層に強く支持されたという構図はあったのではと。

2016-06-27 23:18:51
秋好亮平 @akiyoshihey

社会派全盛時代は60年代半ばまでっていうのが島田史観だと隠蔽されている

2016-06-27 23:25:36
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

新本格を巡る歴史認識は「本格」の語に囚われずに「『点と線』が売れたので社会派ミステリーが増えた」「『寝台特急殺人事件』が売れたのでトラベルミステリーが増えた」「『ビブリア』が売れたのでお店もの日常の謎が増えた」と同種の商業原理的現象として捉え直すべきなのではという気がするよ

2016-06-27 23:31:02
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

@sakaetakashi051 綾辻センセ、十角館を出すときに「ハードカバーとノベルスとどっちがいい?」と聞かれて初版2万部のノベルスを選んだけど少部数のハードカバーで出してたら新本格はなかっただろうって言ってますし、単純に「売れた」という事実が重視されるべきではと思います

2016-06-27 23:37:27
ingk-hr / CNTNDK80 @morodoni

いま改めて「新本格」の特質として抽出されるのはおじさんリアリズムへのカウンターであるのでつまり本ミス一位か本ミス大賞に刑事が探偵役の作品が選ばれたとき新本格の時代は終わる。

2016-06-28 00:05:25
綾辻行人 @ayatsujiyukito

@asagihara_s @sakaetakashi051 横から失礼。「売れた」と云ってもノベルスで数万部だったのですけどね。トラベルミステリーなどが何十万部も売れていた時代。でも、とにかく異例のデビューと作風だったので、奇妙な手応えはありました。

2016-06-28 00:05:31
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

@ayatsujiyukito あっ、当時はそんなものだったのですか……。自分の世代だと新本格が完全に定着してからしか知らないので、当時からもっと売れたものだとばかり。本がどのくらい売れたのかの話ってあまり表に出ないので大変参考になります

2016-06-28 00:14:20
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

新本格完全定着後しか知らない世代のワイ、「新本格ムーブメントは本当に本格どうこうの問題だったのだろうか?わりと単純に商業原理の結果なのでは?」という仮説を立てるも、当事者である綾辻先生の証言によりあえなく粉砕される かように後発世代が歴史を探るのは難しい……

2016-06-28 00:18:18
浅木原忍@紅楼夢か-20,21 @asagihara_s

占星術も十角館も今となっては歴史的作品としてたくさんの版を重ねた姿しか見ることができないので、「当時どのくらい売れてたのか」っていうのは当事者に聞いて回るしか知る術がほとんどないのであるなあ

2016-06-28 00:21:16
蔓葉信博🌿 @tsuruba

『十角館の殺人』だけでなく、また「新本格ムーヴメント」だけに固執するのでもなく、新本格ムーヴメントから新本格ブーム(メフィスト賞含む)という流れでとらえるのがよいと思っています。 twitter.com/asagihara_s/st…

2016-06-28 00:32:31
蔓葉信博🌿 @tsuruba

今は空前のライトミステリブームで、たぶんその発端は2010年の『謎解きはディナーのあとで』。とすると、もう5年になります。ただ新本格ムーヴメントから新本格ブームまで私見では1987年から2002年までの15年としていますのでそっちのほうが長く、さまざまな影響がありました。

2016-06-28 00:48:53
蔓葉信博🌿 @tsuruba

もちろん今のライトミステリブームでも、さまざまな影響がジャンルの内外にあることはそこかしこで書いていたりしますし、もちろん長く続いてほしいと思いますが、そこはそれ。15年続くのはすごいし、そのなかで本当にいろいろなことがあったのです。

2016-06-28 00:56:30
蔓葉信博🌿 @tsuruba

僕が新本格ムーヴメントとする新本格第一世代のころは、どちらかといえば冒険小説が元気な頃でベストセラー的な話題もそちらが取ることのほうが多かったように思います。ただ、継続的に新本格ミステリの話題がなくならないよう面白い作品が出続けていました。

2016-06-28 01:01:57
蔓葉信博🌿 @tsuruba

さいきん話題にあがりませんが1988年創刊の「新潮ミステリー倶楽部」は本格だけでなくハードボイルドや冒険小説やサスペンスなどさまざまな傾向を持ったミステリを刊行していて、実に多角的で理想的な叢書だったと思います。

2016-06-28 01:05:35
蔓葉信博🌿 @tsuruba

今も続く某社の某ミステリ叢書が、この「新潮ミステリー倶楽部」を手本としているという話はどこかにあったはず。ちなみに以前、ライトミステリに関する論を書いた時に書き漏らしていましたが、今のライトミステリブームの下地を作ったのはこの某ミステリ叢書だと思っています。

2016-06-28 01:08:01
蔓葉信博🌿 @tsuruba

その新本格ムーヴメントの潮目が変わったのは1990年代前半。ノベルス文庫化、漫画金田一少年シリーズの開始、ドラマ「ツイン・ピークス」のヒットからの新本格(?)ミステリドラマシリーズ、ジュブナイル、夢水シリーズ登場、「弟切草」「かまいたち」コンボ、からの『魍魎の匣』ヒットかと。

2016-06-28 01:14:29
蔓葉信博🌿 @tsuruba

とまあ、こうした粗い見取り図には異論もあろうと思いますが、それでも新本格ミステリブームの下地にはいろんなミステリの動きがあり、それらと相互作用した結果が、メフィスト賞をある種の少々的存在としたぼんやりとした新本格ブームだったと思うのです。

2016-06-28 01:20:52