「帯キャンペーン締め切り探偵ザザ」第1わ:「帯4つ手元にありながら、送らないことにより手に入らない男」

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◇「帯キャンペーン締め切り探偵ザザ」第1わ:「帯4つ手元にありながら、送らないことにより手に入らない男」◇

2016-06-28 15:08:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フー……」俺が愛好する泥水缶コーヒー社の泥水缶コーヒーは泥水みたいな味がするから大好きだ。俺がクズって事が端的にわかる。俺は俺を苛む事が好きなんだ。そうでもしないと、惨めな気持ちでいつづけるこの世っていうのは、地獄だから。泥水缶コーヒーはそんな俺の命綱ってわけだ。

2016-06-28 15:11:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

泥水缶コーヒーには、ブラックと、微糖がある。微糖?その通り。何に対して「微」なのか説明するなんて事は、しやしない。微糖泥水缶コーヒーを毎日飲み続ければその微糖のパワーで一年間で体重を二倍にできる。成人病のおまけもついてくるぜ。俺は死ぬ勇気がないからブラックを選ぶ。

2016-06-28 15:12:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タバコを吸い、泥水缶コーヒーを飲み、またタバコだ。このチェインが大事なんだ。瞑想に近い。そしてそれを破るのが俺のスマートフォンの着信音。見なくてもわかる。別れた妻からのショートメールだ。『カラルド。クレジットカード請求書の件、あなたからもマギーに言ってちょうだい』クソくらえだ。

2016-06-28 15:17:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クソくらえ。クソくらえ。クソクラエ……。5分で作曲したクソクラエの歌を歌いながら俺は便所に行った。そして小便をした。泥水缶コーヒーはガツンガツンに香料が入っている。香料のニオイだ。俺の毛穴という毛穴から泥水缶コーヒーのニオイが発散していることだろう。そう、クズさ。

2016-06-28 15:19:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

水を流し、デスクの椅子に座る。尻ポケットにはクシャクシャの性的デリバリー・チラシが押し込まれたままだ。「クソッ」俺はいちいち開いてから破き、ゴミ箱に捨てた。わざわざ奮発して大金払ったのに、俺の俺ときたら肝心の時に奮い立たないもんさ……。俺は亜鉛サプリを泥水缶コーヒーで流し込んだ。

2016-06-28 15:23:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フー……」俺はPCに向かい、インターネットを再開した。次々にポップアップしては消える自撮り画像。『私はホットなベイブ。暇な殿方いる?』ワオ!来てみろ。『馬乗りになって!』ファック!『お爺さん専門』俺をナメるなよ!俺は独り言を呟きながらどんどんクリックしていく。なんて虚しいんだ。

2016-06-28 15:27:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ブブーッ!」俺は音を立てて鼻をかんだ。ゴミ箱にシュートする。そこで気づいた。ゴミ箱の隣に、剥がしたきりの帯が落ちているんだ。ニンジャスレイヤー書籍の帯じゃないか。「ワーオ。まったく」俺は帯をしない派だ。手に取り、丸めて捨てようとした。そのときブザーが鳴った。「どなた?」

2016-06-28 15:30:45
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声に出してから、俺は居留守を決め込まなかった事を後悔した。考えてみると、今月の利息の振り込みをまだやっていない。トバシの携帯を契約させられるハメになる。「サービスですの」扉の向こうからは艶っぽい女の声がした。サービス?ふざけるな。俺は覗き穴から見た。そして息を呑んだ。マジかよ。

2016-06-28 15:33:36
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女は性的だった。とんでもないミニスカートと、胸元で結んであるようなデザインの、へそが見える露骨なトップスで、すげえ尻とおっぱいを包んでいた。「そんなサービス、頼んだおぼえがないですよ」俺はチェーンロックを外し、ベルトを外しながら言った。「あら。さっきネットで依頼したわ、あなた」

2016-06-28 15:36:14
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「まったくしょうがないな。私が紳士的な人間だからいいですが、この街はアブナイんだ。忠告しておくが、気をつけたほうがいいですよ、もっと」俺は扉を開け、ホットすぎる女を迎え入れた。「素敵なお部屋ね」「わかる?」俺は扉を閉めた。「それで、どんなサービスを頼みましたっけ」「もう!ウブね」

2016-06-28 15:38:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

女は俺の胸元に指を当て、首のあたりまでツツーと撫でながら舌なめずりした。それだけで俺は蘇った。自分でもビックリしてしまい、「マジかよ!」と思わず呟いた。「マジよ!」しかし、女はじらすように身を離すじゃないか。畜生!ナメるなよ!今の俺は凄いんだ!俺は女をベッドに押し倒した。

2016-06-28 15:41:34
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「アーン!」女は素早く俺の上になり、ホットにまたがった。ヤバイぜ!女は高揚した笑みを浮かべ、よだれを垂らしながら、俺の手首をベッドに手錠で固定した。「はやく!すっごいプレイを頼むよ!」俺は歓喜して叫んだ。「やってやる!」女は答えた。「やってやる!やってやるわい!ギヒヒヒ!」

2016-06-28 15:43:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そっち系?」俺はやや驚き見上げた。女は痙攣しながら仰け反り、それから黄緑色の毒々しい液体を俺に吐きかけた。「ギャーッ!」臭い!俺は悲鳴を上げ、逃れようとした。駄目だ!両手がベッドに固定されている。「かかったなアホめ!」女の上半身が真っ二つに裂け、中から皺くちゃの怪物が現れた!

2016-06-28 15:46:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ギュイイイイ!」皺々のモンスターは関節が4つある長い腕で俺の顔面を掴んだ。「アーッ!」俺は悲鳴をあげた。「助けて!」「ニンジャスレイヤー書籍の帯をよこせ!」怪物は俺を脅した。「な、何故!帯なのに!」「いいから渡せ!そうすれば……」「ゆ、床にあるよ!だから助けて!」その時だ!

2016-06-28 15:49:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「悪に屈するべからず!」クローゼットの中から謎の声が割って入った。俺も怪物も一瞬動きを止め、訝しんだ。すると!KRAASH!「グワーッ!」クローゼットの戸が内側からはじけ飛び、怪物に直撃した。何者かがクローゼットから室内に降り立った!「帯は価値あるものだ。渡すでない!」「誰!?」

2016-06-28 15:52:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「我が名は」その者は炎のように燃えるマントを翻し、見栄を切った。「帯キャンペーン締め切り探偵ザザ!」「ヒイー!」俺は震えて悲鳴を上げた。奴の顔はまるで髑髏で、内なる光に輝き、眼窩には眼球のかわりにダイヤモンド義眼が嵌っている。こんな男が俺のクローゼットの中にいつから潜んでいた!?

2016-06-28 15:56:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ギュルルルルルウ!我が計画を邪魔する存在に等しく与えるもの、それは、死!」怪物は帯キャンペーン締め切り探偵ザザに向き直り、凶悪なドドメ溶解液を吐きかけた。飛沫がかかった俺のPCがどろどろに溶けた。大変だ!俺が食らった液とは酸性度が大違いだ。だがザザはマントで防いだ。「効かぬ!」

2016-06-28 15:59:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカな……」怪物がひるんだ。恐らく、奴がもちうる最強の攻撃だったのだろう。ザザは怪物の顔面に容赦なきパンチを叩き込んだ。「ウギャーッ!」そして……嗚呼!そのダイヤモンドの義眼から太陽光のように眩しい光を放ったのだ!「くらえ!義眼光線!」「イア!イアーッ!ウギャアアーッ!」

2016-06-28 16:01:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

怪物は一瞬で蒸発して死んだ!何てこった!両目義眼のザザは山高帽子の埃を払い、頭にかぶった。「助けてくれ」「エイッ!」ザザは手錠を素手で破壊した。「アンタ一体……」「この世には科学で解明できない謎が沢山ある」ザザは言った。「それらに対抗できる力を持つのが私、両目義眼のザザだ」

2016-06-28 16:04:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「怪物……帯……一体……」「ニンジャスレイヤー物理書籍の帯キャンペーン。それは、対象の帯を4つ集め、応募券を切り抜いてハガキに貼って送ることで、今回のために録りおろされた特典オーディオドラマがゲットできるのだ」ザザは厳かに言った。「お前が持つ帯がそうだ」「帯が」「それを貴様は!」

2016-06-28 16:06:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ザザは俺の首を掴んで天井高く吊り上げた!「アーッ!」「貴様は!みすみす怪物に渡すか!」「アーッ!」「締め切りは今月末消印までだ!それを貴様は!」「アアアーッ!」「貴様はなんとなくほっておいたというのか!」「アアアアアーッ!」「この室内に四枚帯があるのに貴様は!」「アアアアーッ!」

2016-06-28 16:08:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「この!この部屋に既にある帯の応募券4枚を!」「アアアーッ!」「ハガキに貼って送るだけ ninjaslayer.jp/books/738/ なのに貴様は!」「アアアアアーッ!」「このまま月末まで!放置するつもりか!」「アアアアーッ!」 pic.twitter.com/EK3eUe0bXm

2016-06-28 16:14:22
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……それが俺の顛末だ。それから俺がどうしたって?よくおぼえていない。だが、間違いなく応募券4枚をハガキに貼って、応募を済ませたよ。マギー。俺のマギー。すこやかに育ってほしい。オーディオドラマがこれで貰えるらしいから、俺も少しだけ頑張ってみるさ。人生をな。 ~FIN~

2016-06-28 16:17:10