140ssログ6月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

床でごろごろ眠るから、長い髪はすぐ絡まって。仕方のない、と宗三は櫛を取る。行光、手入れはきちんとしなさい。そうやって子供を叱る。続けて背中に張り付く子供へ。薬研は必要ないでしょう。短くて絡まないのだから、と口にすれば嫌々と。こちらも仕方のないひと。順番ですよと口にした。(本能寺)

2016-06-01 07:01:57
やまたに @mw_snc

手と手を重ねる。同じ大きさ。目と目を合わせる。同じ色。僕ら、よく似ているねと髭切は笑う。一具の剣なのだから当然だ。膝丸の答えになお笑って。いっそひとつになりたいな。それでは兄者に触れられない、と呟く弟。僕らの心まではひとつになれないのか。寂しさを埋めるように抱き締めた。(髭膝)

2016-06-04 07:02:13
やまたに @mw_snc

狐や狐。呼び声に、小狐丸は眉をひそめる。石切丸がこう呼ぶとき、ろくな記憶がない。何用じゃ。これを青江に持って行っておくれ。差し出されたのは上等な櫛。自分で持っていけばよかろうに、と今更なことを言うのすら面倒で、わかったと受け取った。三条の大太刀が、なんとも初心なこと。(石→かり)

2016-06-05 07:01:19
やまたに @mw_snc

@mw_snc 差し出された小箱を青江は躊躇わず受け取った。誰からと小狐丸は言わない。青江も聞かない。いつも大変だねぇ。労う言葉は不服な顔に。お主が正体は知れていると言えばいいことだろう。もし間違ったら心が折れてしまうよ。さて、どちらも厄介よ、と小狐丸は溜息を吐いた。(石←かり)

2016-06-05 07:21:50
やまたに @mw_snc

実は思っているよりもずっと慎重に触れている。その軽い体を潰さないように、細い腕を折らないように。それでも時折加減を間違えると、君はがさつだ、なんて青江は呆れて怒るけれど。もし、もしだ。本能のまま触れたいといえば君はどうするんだろう。少し意地悪なその問いは、今日も胸の中。(石かり)

2016-06-06 07:16:41
やまたに @mw_snc

石切丸は優しい。女子供のように甘やかして、宝物のようにそっと触れて。優しすぎる、と文句は言えなかった。ほんの一瞬、強い力で抱き締めてくると、それが本当なんだろうなとつい思ってしまうのだけれど。ねえ、その瞳の獣を解き放って欲しい、なんて、ご神刀様に言えやしない。(石かり)

2016-06-06 07:21:04
やまたに @mw_snc

君が笑う。兄者、と笑う。その体に抱きついて、唇に吸い付いて。体温を分け合う。ひとつになる。そこに名前なんていらない。髭切の言葉に、弟は納得いかない顔をした。言葉にして形になる想いもある。愛と恋と好意は違う、と。どれも君のことだもの。やっぱり形作るの意味なんてないよ。(髭膝)

2016-06-06 07:32:05
やまたに @mw_snc

夏は嫌い、と髭切は呟く。大抵はどうでもいいと話す男の珍しい言葉に、鶯丸はおやと思った。確かに暑く、汗ばみ、日差しはきつい。けれども、目の前の髭切はそんな気配は感じられない。理由は。素直にそう問うと、髭切は幼い仕草で唇を尖らせて。弟が、一緒の布団で寝てくれない。そうか。(髭膝)

2016-06-11 07:12:30
やまたに @mw_snc

さら、と青江の髪が指から逃げる。するり、さらり。綺麗な髪だね。誉めると満更でもない顔で、きちんと手入れしてるからね、と。さも当然のように言うそれが、恋仲になる少し前からの習慣なのは知っているのだ。石切丸は一房掬って口付ける。自分のために仕立てられたそれは、とても愛しい。(石かり)

2016-06-11 07:22:52
やまたに @mw_snc

いち兄、背中にとすんと重みが乗る。振り返っても見えない位置で、頭を置いて。いち兄。低めの声は、誰のものと一期には簡単にわかるけれど、それを口にはしなかった。いち兄。ああ。それだけで満足に甘えた気がしたのか、白衣の彼はすっきりしたように頭をあげた。不器用な子供だ。(一期+薬研)

2016-06-11 11:30:16
やまたに @mw_snc

青江が、と口にすると面白く無さそうに言葉を返す。青江とこの間長話をしてなぁ。ほら、また拗ねる。分かりやすい男よ、と三日月は笑いを袖に隠した。青江が、青江と、それで青江が。いよいよ、君と随分仲がいいんだね、と吐き出したところで種明かし。お前の話は楽しかったぞ。(石かり+三日月)

2016-06-11 12:37:45
やまたに @mw_snc

抱き締められる、というより袈裟ごと包み込まれて小夜は溜息を殺した。すぐ上の兄様がこうして何も言わないときの理由は大抵決まっている。喧嘩だ。しかも、それなりに非があるときの。でも、と小夜はじっとしている。大丈夫だなんて慰めてあげない。もう無理だよとも言わないけれど。(薬宗+小夜)

2016-06-11 17:27:41
やまたに @mw_snc

俺は悪くない。泣きそうな顔で言うものだから一期は、うん、と頷いた。なら、あちらが一方的に悪いんだね。態とらしく言えば、ぶんぶんと頭を振って。大人びた弟の珍しく子供のような振る舞いに微笑みそうになるのを堪える。宗三、つけておきますぞ。胸に決めて小さな頭を優しく撫でた。(薬宗+一期)

2016-06-11 17:37:18
やまたに @mw_snc

犬も食わない、と小夜は語る。雨が降れば元通りですな、と一期が頷く。外野ばかりが気を揉んで、いっそ他にもっといいひとはいないのかとまで思うのに、結局そこに納まるのだ。ああ、まったく、と同時に溜息を吐き出して。庭先にはふたり並んで、幸せそうに笑う姿が見えていた。(薬宗+一期と小夜)

2016-06-11 17:51:19
やまたに @mw_snc

綺麗だ、そう素直に告げるには大人びたふりをしてしまった。頼られたくて、子供に見られたくなくて。宗三は綺麗だなぁ。そんな酔っぱらいの戯れ言と同じように、吐き出してしまえばよかったのか。宗三。呼ぶ。振り向く。ふっと微笑むその顔は、綺麗なんて言葉じゃ役立たずだとも思うんだ。(薬宗)

2016-06-12 18:07:58
やまたに @mw_snc

たまに弟の頭が心配になる。だって、狐相手に張り合わなくてもいいじゃないか。わたくしめは鳴狐のお供をさせたら世界一です。俺だって兄者の世話なら負けてはおらんぞ。まったく、何を話しているんだか。そう思うのは、狐の飼い主も同じようで。仕方のない子たちだねぇ、と笑いあった。(髭膝)

2016-06-16 23:32:35
やまたに @mw_snc

虎が一匹、二匹。青江は指でそれを数える。全部で五、と言いたいけれど、生憎御神刀の腹には四匹が限界のようだ。まったく、揃いも揃ってすやすやと寝て。呆れたような羨ましいような、そんな心地ではぐれた一匹を抱いて横に寝転んだ。可愛いこがもうひとり来たね、なんて声は夢の中だ。(石かり)

2016-06-16 23:36:14
やまたに @mw_snc

石切丸殿。固い呼び方は、どこか見下されてるようだった。御神刀殿。距離を置かれてるなぁ、なんて寂しくなった。石切丸さん。近付いた距離に、もっともっとと欲張りになって。石切丸。そう初めて呼んでくれた日のことは忘れないだろう。石切丸。もう君は、何度だって呼ぶけれど。(石かり)

2016-06-16 23:39:40
やまたに @mw_snc

まんまるな石、大きな羽根、甘い香りの花。そんなものを集めてどうすんだ。薬研が聞くと、宗三さんにあげるんですと秋田が笑う。外を知らない同士は妙に仲が良くて、とは口に出せない。そうか、と曖昧に答えると、はいと笑って腕に重み。兄さんからあげてくださいね。こりゃ、一本取られたな。(薬宗)

2016-06-16 23:43:45
やまたに @mw_snc

料理を覚えたい。膝丸にそう言われて歌仙は至って普通に頷いた。料理当番が出来る人材が増えればありがたいのだ。そう、ありがたいと思っていた。君ね、カレーはもっと甘くないと短刀が食べられないだろう。いいや、兄者の好みはこれだ。それは、知りたくもないのに君のせいで皆が知ってるよ。(髭膝)

2016-06-16 23:51:55
やまたに @mw_snc

好きです、なんて甘えた声で可愛いことを言うから、どうしたんだと桃色の髪を梳いた。そうじゃなくて、と拗ねる仕草が可愛くて唇を寄せると、嫌がって。なんだ。なんだじゃないです。うん、と促すと、好きです、と。ああ、うん。拒否の理由も可愛らしい。俺も好きだ。ほら、今度は触れられた。(薬宗)

2016-06-16 23:55:45
やまたに @mw_snc

嫉妬はしてない。でも、腹は立つ。髭切が告げると、岩融は大笑いを手のひらで押さえた。それは実は嫉妬にしろ、そうでないにしろ、あまりに相手が子供だろうと。そんな気配を察したのか、弟に似たしかめ面で髭切は指を差す。早く、この短刀を回収してくれるかな。横で寝るのも駄目だそうだ。(髭膝)

2016-06-17 00:00:10
やまたに @mw_snc

じゃーん、と鯰尾が笑う。その手の先には浴衣姿の青江がいて。涼しげに上げた髪が珍しい。なにか言ってくださいよ。急かす声に、ええと、と悩めば、ほら似合わないって言ったじゃないか、と涙声。可愛いでしょう。うーん、いつもも可愛らしいから難しいね。馬鹿。と機嫌の直った声がした。(石かり)

2016-06-17 00:04:18
やまたに @mw_snc

にっかりくん。はじめはそんな呼び方だった。青江くん。親しくなると、そちらで呼んでくるからむず痒かった。青江。僕の他にも青江という刀はたくさんいるのに。青江。まるでたったひとつの宝物みたいに君は何度でも呼んでくる。青江。もう、勘弁してくれ。耳が熱い。(石かり)

2016-06-17 00:41:58
やまたに @mw_snc

狂ってる。馬鹿みたい。頭がおかしい。髭切は弟をよくそう形容する。そのいいかたはよくないです。咎めた今剣に彼は笑った。あの優れた弟が、僕に駄目になるから可愛いのに。だから、もっと狂って。馬鹿になって。おかしくなって。僕のことだけに。ああ、と弟は頷くのだからやっぱり駄目なこ。(髭膝)

2016-06-17 00:48:17