アイドルスレイヤー#2【エネミー オブ クオンジ】

ニンジャじゃないじゃん!と言われたらなんにもいえません #1はこっちhttp://togetter.com/li/991456 #3はこっちhttp://togetter.com/li/997576
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𝒸𝓊𝓇𝓇𝓎@感謝を @88paksr8623

曇天のビル屋上、黒髪を濡らしながら少女は蒼い瞳で一点を見つめる。 視線の先にあるのは、ハルと男たちによる突発的戦闘だ。 そこからなにかを察知した少女は、小型ホログラムコンピュータを取りだしどこかに連絡する。 1 #ナナニン

2016-07-01 21:25:23
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小型通信機での通話を終えると、ふわりとした長髪の女は、一面の曇り空を眺め憩うこれまた長髪の少女に何事かを伝える。 「そちらは放っておいてください」と一言だけ言った少女に、紫がかった髪の和服女は頭を下げ、「御意に」と短く応答した。 3 #ナナニン

2016-07-01 21:41:03
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「アッ、おじゃまが入った!」「邪魔しなくても元々できてないじゃん、アハハ!」「アッ、ハル=サンごめんなさい!」「アッ!おじゃま!」 ハルとその弟はロナの住むアパートに居候させてもらっている。今は3人でパズルゲームをしている。 こうなった理由は2日前に遡る…… 4 #ナナニン

2016-07-01 21:51:20
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「私には無理だって!」「お願い、ハル=サン!そこをなんとか!」ロナのアパートで、ハルとロナはテーブルを挟んで話しあっていた。 「ハル=サンのその腕で、住み込みで守ってほしいの!」「いや、だから私には無理だよ!」 5 #ナナニン

2016-07-01 21:57:08
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「食事は全部こっちが面倒見るし、寝床も用意するから!」「いや、私にはボディーガードなんてできないよ!」 雨に濡れ、熱で制服もボロボロになっていたハルは、ロナからの家で着替えるというお言葉に甘えることにした。 そして家に上がり、今の押し問答に続くというわけだ。 6 #ナナニン

2016-07-01 22:05:18
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「私弟の晩御飯作らなきゃいけないし、そろそろ……」ここでハルはふと気がつく。 弟と自分の食い扶持はもうない。そして今のところ次のアテもない。こんな状況でのロナの話はありがたいのでは……? 「……ハル=サン?」「ロナ=サン、やっぱりこの話もち帰って考えていい?」 7 #ナナニン

2016-07-01 22:12:31
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そして新たなバイトを見つけるまでの間という条件をハルが提示し、ロナが了承し現在に至る。 「そろそろ晩御飯作らなきゃ」「私も手伝うよ」ゲーム機を置き、立ち上がるロナにつられ、『破廉恥』の黄色Tシャツを着たハルも立とうとする。 8 #ナナニン

2016-07-01 22:17:57
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再びの押し問答の末、2人で作ることになった。 「今日はミソスープとおかず少しでダイジョブ?」「うん、冷蔵庫の中身寂しいもんね」 2人で具材を切りながら、前から気になっていたことをハルは聞いてみた。 「ねぇ、ロナ=サン。私って怖いかな?」 9 #ナナニン

2016-07-01 22:22:40
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「エッ」「私はちょっと自分が怖いかな……」 あれから桃髪の少女は姿を表していない。自分の力の由来もわからないままだ。 「最初見たときはびっくりしたかな……」「うん」「でもね、悪い人じゃないってわかったし、あの時のハル=サンには憧れのようなものを感じたかな?」 10 #ナナニン

2016-07-01 22:30:05
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「憧れ……?」ハルは意外な言葉に少し驚いた。 「うん、例えて言うなら……ニコ様みたいな」「ニコ様……」「私、ニコ様にずっと元気もらってきて……後でニコ様グッズ見せるね!」 ハルは安心したような、脱力感に包まれた。すると、うっかり指を包丁で切ってしまった。 11 #ナナニン

2016-07-01 22:35:37
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「イテッ!?」「ダイジョブ!?絆創膏とってくるね!」パタパタと台所から出ていくロナ。 ハルが目を離した次の瞬間。ロナの近くの窓が割れ、何者かが浸入! 「ターゲット確認、無事に終われるかな……」とうっそりとつぶやくと、謎の者はロナを抱え立ち去ろうとする。 12 #ナナニン

2016-07-01 22:41:31
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「待て!」ハルの姿を見ると謎の人物は、「そんな、アイドルがいるなんて聞いてない……」と言いながら逃走体勢に入る。 「イヤーッ!」「ンアーッ!」ハルの体当たりで3人はベランダに出る。 「ドーモ、春日部ハルです」先に体勢を立て直したハルがアイサツする。 13 #ナナニン

2016-07-01 22:46:45
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「ド、ドーモ、白鳥トモエです」トモエもアイサツを済ませると、両者は急速接近! トモエの牽制の酸噴射!特殊マスクから吐き出された強酸は、ハルのコンマ数秒前にいた足元へ大穴を空ける!コワイ! 14 #ナナニン

2016-07-01 22:50:22
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「イヤーッ!」ハルの拳がトモエに向かう! 「ヌウーッ!?」トモエは背部から特殊傘を引き抜き傘先端でハルの拳をいなす! 「アイドルを倒せとは言われてない……逃げるしか!」トモエはベランダに置き去りにしたロナを担ぐと、今度こそ離脱した。 15 #ナナニン

2016-07-01 22:57:23
𝒸𝓊𝓇𝓇𝓎@感謝を @88paksr8623

「待てって言ってる!」住宅街でのパルクールで夜の闇に紛れようとするトモエを、ハルも不慣れなパルクールで追う。 ((むむっ!?これはアイドルハァントですかぁ!?))「ハントでもなんでもいいから、ロナ=サンを助けないと!」 謎の声にハルは苛立たしげに答える。 16 #ナナニン

2016-07-01 23:02:48
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((ふっふっふ、それじゃこのコニーさんの特別スパルタレッスンの始まりー!あ、先にセブンスマート寄ってね))「そんな余裕……」((いいから、今は言う通りにして、ね?)) 仕方なくハルは言われた通りにセブンスマートでバンブーブレードを借りた。 17 #ナナニン

2016-07-01 23:10:05
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バンブーブレードを引っ提げ、パルクールでトモエを追う。 コニーがそっと手伝っているのか、先ほどとは比較にならないほど移動速度は速くなっている。 「これなら……!」((おっ、前方にはっけーん!))ロナを担いだトモエの後ろ姿! 18 #ナナニン

2016-07-01 23:13:48
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「イヤーッ!」ハルはブレードの切っ先をトモエに向け攻撃! 「ヌウーッ!」気配を察知したトモエは再び特殊傘でガード! 互いにパルクール状態で切り結ぶ! 「そんなにこの子が大事?」「ロナ=サンは大事な友達だ!」「友達……」トモエの動きが一瞬止まる。 19 #ナナニン

2016-07-01 23:18:14
𝒸𝓊𝓇𝓇𝓎@感謝を @88paksr8623

「イイイヤァー!」コニーの補助でチャンスを見逃さないハル。切り結びを解き、炎をまとうブレードで再び突きを入れる! 「ンアーッ!?」トモエの特殊マスクに直撃!マスクが大破した衝撃でトモエはロナを空中に手放す。 「ロナ=サン!」手を伸ばすハル!間に合わない……! 20 #ナナニン

2016-07-01 23:23:37
𝒸𝓊𝓇𝓇𝓎@感謝を @88paksr8623

ロナの伸ばす手が虚空をつかみながら、彼女はビルの谷間に落ちていった……。 「ロナ=サン……!?」ハルは急いでロナの落下地点へ降りる。万が一にもあれほどの高さから落ちて無事なハズはないが、ハルにはもしかしたらの万が一を信じるしかできなかった。 21 #ナナニン

2016-07-01 23:27:31
𝒸𝓊𝓇𝓇𝓎@感謝を @88paksr8623

辺りを探すと、あった。 ハルは一人、ネオセブンスの夜空へ虚ろな視線を向けるロナの骸の前で哭いた。 しかし、ハルがもう一度見てみると、ロナの死体がない……。 「エッ……」 目の前で起きたことが理解できず、ハルはただ立ち尽くすことしかできなかった。 22 #ナナニン

2016-07-01 23:34:38
𝒸𝓊𝓇𝓇𝓎@感謝を @88paksr8623

「な、なんとか逃げ切った……か?」トモエは使用不能になった特殊マスクを取り外し捨てると、パルクールを止め、ビル屋上で周囲を警戒した。 「ミッションは失敗するし、アイドルに追われて危うく死ぬかと思ったし……」「ミッションっていうのは私を拐うことかな?」 24 #ナナニン

2016-07-01 23:39:22