人生の記録をつけてこなかった人間は過ごした時間を丸ごと喪失したことになる

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生命情報保存研究所 @rodan670

人間にとってもっとも根本的な財産は「時間」である いかなる快楽も「時間」の中でしか感じることができず いかなる思考も「時間」の中でしかめぐらせることができない

2016-07-04 21:20:42
生命情報保存研究所 @rodan670

我々の生はすべて時の経過と引き換えにコマを送られる映像の中に閉じ込められているのであり 時間の喪失を対価に生を紡ぐことができる そして我々にとっての時間とは常に有限なものである

2016-07-04 21:25:00
生命情報保存研究所 @rodan670

ゆえに時間を無為に消費するだけの生は本能的に忌諱されるものであり 我々はなんとしても過ごしてきた時間に意味を与え 失った時間の価値を保存しようと試みる

2016-07-04 21:25:26
生命情報保存研究所 @rodan670

それはたとえば輝かしい業績などであるが すべての人間の生においてこのようなものが保証されているわけではない だが人生の中において特に新聞に取り上げられるような目だった仕事をなしえてこなかった人間が

2016-07-04 21:27:16
生命情報保存研究所 @rodan670

振り返れば自分は完全なる空虚に過ぎなかったとふさぎ込むかと言えば必ずしもそうではない どのような人物であろうと、己の生とすごした時間に意味を見出し 自らの存在を成り立たせるための支えは有しており

2016-07-04 21:27:58
生命情報保存研究所 @rodan670

それは自分自身の生に纏わる記憶であり さらにこれを補助し、より確定的なものとして保管してくれる「記録」である 真に空虚たる過去とは、人がこの二つを持ち得なかった場合に出現する

2016-07-04 21:28:56
生命情報保存研究所 @rodan670

ある人間が、朝目が覚めたとき、自分が誰かもわからず、これまで何ををしてきたのかすべての記憶、記録も失われ 完全な0の状態でベッドの上にほうり捨てられていたとする この人物はその意味であらゆる過去を身に纏ってはいない

2016-07-04 21:29:31
生命情報保存研究所 @rodan670

かといって鏡の前に立った際、そこに映っているのがまだ未来と夢にあふれる少年少女などではなく 見るからに磨り減り疲れ果てた中年などであったとしたらどうなるか? 生物学的に見てこの人物は数十年に及ぶ過去を有していたのだろう だがその存在の証はどこにもない

2016-07-04 21:32:58
生命情報保存研究所 @rodan670

その意味で問題の人間は間違いなく何十年もの時間を丸ごと紛失したのである この現実を突きつけられた時の絶望感と喪失感は筆舌に尽くしがたいものとなに違いない 我々はどんな形であろうと己が過ごした時間の写し絵を必要としている

2016-07-04 21:34:44
生命情報保存研究所 @rodan670

記憶、そしてその強化版である記録の居場所が保障されなければ我々の過去は存在を否定され 同時に今も未来もやがてはその不遇を避けられず その人間は最終的に1秒たりとも時間を我が物にできないこととなる 明確な記録の残存をもって始めて人間は時間を所有できたことになるのである

2016-07-04 21:35:27