内田樹先生levinassien 緊急事態条項というのは「憲法を停止できる場合についての規定」のことです。

これから官邸とメディアは「緊急事態条項は災害の場合には絶対必要」「緊急事態条項は世界中のどこの国の憲法にもある」と言い出します。ここが今から立憲政治の存否の戦いになります。
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前置き1

内田樹 @levinassien

おはようございます。今日の神戸は晴れ。投票率はこれで少しは上がるのでしょうか。投票に行きましょうね。投票は市民の権利であり義務でもあります。「マイナス5とマイナス3のどちらかを選ぶために投票所なんかに行く気がしない」なんていわないで「マイナス3」に一票を投じてください。

2016-07-10 09:00:50
内田樹 @levinassien

政治は「原理の問題」であると同時に「50歩100歩の程度問題」でもあります。「50歩も100歩も変わらないよ」とシニカルに言う人がいますけれど、50歩と100歩の間のどこかが「運命の分かれ目」だったということはあります。たぶんみなさんが想像しているよりはるかによくあります。

2016-07-10 09:04:38
内田樹 @levinassien

投票行動は「支持政党」や「賛同できる政策」を基準にして、その賛否を表わすものだというのは一つの政治的私見に過ぎません。その場合は「支持政党なし」「どの候補者の政策にも全幅の同意がしかねる」という人は棄権することが合理的で知性的な判断だということになります。

2016-07-10 09:18:09
内田樹 @levinassien

「全幅の賛意を寄せることができない候補者たち」の中から「それでも相対的によりましな」人を選び出すのが選挙のときの「大人の知恵」の使い方です。「100%賛同できないから棄権する」という人は有権者としては「幼児」に他なりません。

2016-07-10 09:26:12

 
前置き2

内田樹 @levinassien

おはようございます。深夜まで開票速報を見ながら、おじさん四人でテレビ画面に向かって毒づいていたので、すっかり疲れてしまいました。朝から朝日新聞の電話取材がありました。コメントの要点は(1)「改憲」を争点にせず、ひた隠しにして3分の2取ったら「改憲」にアクセルというのは予測の通り。

2016-07-11 10:49:50
内田樹 @levinassien

(2)一人区で野党が前回選挙より議席を大きく伸ばしたこと(2勝29敗から11勝21敗へ)は、野党共闘が現実的な選択だったことを証明した(3)福島と沖縄で現職大臣が落選したのは「政治の現実」に日々否応なく向き合わされている選挙区の現実感覚を示した。

2016-07-11 11:00:06
内田樹 @levinassien

(4)メディア経由で送られる「政治ファンタジー」を見せられているだけの有権者と、現実の政治に向き合っている有権者の間の温度差が広がっている(5)政党間の「陣取りゲーム」にのみ焦点を合わせ、個別政策の適否や候補者の見識品性などを問わない態度を「政治ファンタジー」と呼びたい。

2016-07-11 11:04:13
内田樹 @levinassien

(6)「新有権者への言葉」を求められたので、「メディア・リテラシーを高めてください」とお答えしました。皆さんが見ているのは「現実そのもの」ではありません。現実についての様々な「物語」です。(僕の談話が掲載されている)この新聞もテレビも現実そのものを伝えてはいません。

2016-07-11 11:08:14
内田樹 @levinassien

世界がこれからどう変わるか、誰にもわかりません。アメリカがどうなるか、EU がどうなるか、中東アフリカがどうなるか、中国やロシアや北朝鮮がどうなるか、誰にも予測できません。日本国民が慣れ親しんだ「アメリカ任せの属国マインド」では転換期は生き抜けません。

2016-07-11 11:11:40

 
本編

内田樹 @levinassien

『女性自身』に送稿。安倍政権には「タイムリミット」があります。首相の総裁任期と次の衆院選です(3分の2とれる保証はありません)。短期決戦となると、逐条的な議論はできません。改憲勢力とのすり合わせの時間さえない。ですから、「緊急事態条項」一本で来るはずです。

2016-07-13 19:44:12
内田樹 @levinassien

緊急事態条項を一般国民はせいぜい「大規模自然災害」のときの緊急避難的措置だと思っているはずです(与党もそう言い張るはずです)。でも、これは総理大臣が「特に必要があると認める」ならば、どんなことでも「緊急事態」に認定でき、それが宣言されると憲法が停止されるということです。

2016-07-13 19:46:41
内田樹 @levinassien

政府が発令する政令が法律に代わる。基本的人権も立憲主義も三権分立も、すべて「緊急事態宣言」の発令中は停止されます。そして、草案をよく読めば分かるとおり、この宣言は100日ごとに国会で継続決議を繰り返せば無限に延長できます。

2016-07-13 19:49:34
内田樹 @levinassien

緊急事態宣言を承認した国会議員たちは、解除の宣言を総理大臣がするまで「終身国会議員」の身分を保証されます。つまり、ひとたび緊急事態条項を通してしまえば、国会の過半数を制した政党は永遠の独裁体制を維持できる。これを変更するためには革命しかないという窮地に国民は追い込まれるのです。

2016-07-13 19:52:02
内田樹 @levinassien

与党はまず九条、十三条、二十五条といった「論争的な条項」の改定を持ち出して国論を二分する大騒ぎを作り出す。しかるのちに「どうも話がまとまりそうもありませんから、どなたにも異論のなさそうな、この『緊急事態条項』だけを『加憲』するというとことで手を打ちませんか」と言い出す。

2016-07-13 19:54:26
内田樹 @levinassien

条文についての些末な議論に倦んだ国民は、「それで政府が『ひっこむ』というのなら、それくらいは認めてやってもいいじゃないか」と妙な寛大さを発揮して、「大規模災害のときに指揮系統を一元化するだけのことでしょ?」くらいの理解で、国民投票に臨む・・・そして日本の立憲主義は終わる。

2016-07-13 19:56:13
内田樹 @levinassien

官邸はそういう「絵」を描いています。僕がいま官邸にいて首相のスタッフだったら、必ずそのシナリオを書きますから。ですから、みなさんよく見ていてくださいね。これから「僕の言う通り」に官邸と与党は動きますから。

2016-07-13 19:58:11

 

内田樹 @levinassien

昨日の夜に書き込んだツイート(改憲は「緊急事態条項一点張りで来る」という予測)が2500RTに達しました。すごいですね。「そうだ!」と同意してくれた人がそれだけいたということだと思います。自民党は必ずその手で来ます。それが改憲の実を取る一番確実な方法だからです。

2016-07-14 08:59:22
内田樹 @levinassien

何度でも書いておきますけれど、緊急事態条項というのは「憲法を停止できる場合についての規定」のことです。総理大臣は「特に必要があると認めるとき」はいつでも好きなときに緊急事態を宣言して、憲法を停止することができます。「認める」だけで立憲政治が未来永劫に停止できるのです。

2016-07-14 09:03:27
内田樹 @levinassien

緊急事態とはどんな場合でしょう。「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる」

2016-07-14 09:05:27
内田樹 @levinassien

「内乱等による社会秩序の混乱」というのがくせものです。自民党政治家はこれまでも国会外でのデモや街宣を「テロ」だという発言をしてきましたが、安倍首相はその発言を一度も否定したことがありません。デモや街宣を「内乱等」の「等」に認定するかどうかは総理大臣の一存で決まるのです。

2016-07-14 09:09:45
内田樹 @levinassien

「閣議にかけて」も総理独裁の制約にはなりません。ご存じのとおり、安倍内閣になってから閣議の平均時間は13分です。大臣と官房長官で20人。一人40秒しか発言していない勘定です。そもそも閣議で発言するためには事前に書面で発言内容を官邸に告知する義務があるんだそうです。

2016-07-14 09:31:54