「愛用のヴァイオリンをお墓に」 娘の一言に激怒した音楽家、その理由は?
モノの価値は、わかる人にしか理解されないこともある。専門家が使う道具は、その最たる例だ。
現在Twitter上では、とある音楽家が娘に激怒した一件をきっかけに、モノの価値やお金に関する議論が話題になっている。
とある知己の音楽家の方がいて、ある日娘さんが「お父さんが死んだら、愛用ヴァイオリンも一緒にお墓に入れたげるね」と言ったので、激怒したそうだ。
— SOW@ (@sow_LIBRA11) 2017年4月30日
ライトノベル『戦うパン屋と機械じかけの看板娘』『ホテル ギガントキャッスルへようこそ』の作者・SOWさん(@sow_LIBRA11)が紹介するのは、音楽家が愛用するヴァイオリンにまつわる話。
「いいか、これは何百年も前の職人が、技巧の粋を集めて作ったものだ。今まで何人もの人の手を渡ってきたものだ。所有権は私にあるが、それは現代において受け継いだということだ。私が死んだとしたら、次の者に託す義務があるのだ!」と、音楽家としてまっとうなことを言ったのだが、
— SOW@ (@sow_LIBRA11) 2017年4月30日
娘さんは泣きながら「お父さんの為を思って言ったのに!」とわかってくれない。しょうがないので「これ、捨て値で売っても二千万はするんだぞ」と言ったら「あ、じゃ燃やさない」と一瞬で理解してくれた。
— SOW@ (@sow_LIBRA11) 2017年4月30日
お金というのは、「価値の分からない者に価値を分からせる」という役割もあるのだなぁという例で、一応はしくれとは言え「作家」などという大仰な響きのする仕事だと話すと、あれこれ聞かれることがあるが「いくらくらい稼いでるの?」と聞く人は、こちらにほぼ興味のない人間だとわかるようになった。
— SOW@ (@sow_LIBRA11) 2017年4月30日
音楽家はある日、娘から「お父さんが死んだら、愛用のヴァイオリンを一緒にお墓に入れてあげるね」と言われ、激怒したという。その理由は、「何百年も前の職人が作り、今まで多くの人の手を渡ってきたものを受け継いだので、次の者に託さなければならない」と考えたため。しかし、その理由を説明しても、「お父さんのためを思ったのに」と理解されなかったという。
そこで、「このヴァイオリンは捨て値でも2000万円はする」と金額で表現したところ、娘はすぐに「それならば燃やさない」と納得。お金には、「価値の分からない者に対して、価値を分からせる」役割を持つ一例だとSOWさん。このことから「いくら稼いでるの?」と聞く人は、自分に興味のない人間と判断するようになったそうだ。
プロの使う楽器って、下手したら何代にも渡って受け継がれているからなぁ。弦は特に。
ピアノだとせいぜい100年くらいか……あまり古いとフォルテピアノになってしまうし。 https://t.co/S5NFQsG1FA
— ʕ•̫͡•ʔ Kanna☆ケンタウロス ʕ•̫͡•ʔ (@ospf_area0) 2017年5月1日
自分の娘にお金以外での楽器の価値を教えられない・伝えられない音楽家ってのもどうなのかなーと(´・ω・`)。楽器に限らんけども。
— 小宮 京 (@Komiyamiyako) 2017年5月2日
@sow_LIBRA11 奥さんの遺品の反物が1000万クラスだったのをスルーした遺族が後日旦那さんが起こした賠償トラブルをきっかけにそれを知って銭ゲバ騒動起こした話とか
貴重な蔵書を職員が勝手に捨てた話とか
骨董詐欺とか
お金でわからせるのは大事だけどそこからさらなるトラブルもあって難しいですね
— どるき (@nityo_dorukist) 2017年4月30日
Twitterユーザーからは、「弦楽器は特に何代も受け継がれるものだからなあ」「自分の娘に、お金でしか楽器の価値を伝えられないのはどうなのか」など、さまざまな意見が上がっている。また、「お金で価値を理解させた結果、新たなトラブルを生んでしまうリスク」に言及する声も。
モノの価値を金額で表現するのは簡単だが、それだけに抵抗もある。あなただったら、同じ場面でどのように価値を伝えるだろうか。