今にも動きそう…生々しい質感が衝撃的な「ダンボール製クトゥルフ」完成させた作家にこだわりを聞いた
Twitterユーザーのペリパトス(@peripatosu)さんが展示会で見かけた「ダンボール製のクトゥルフ」が話題になっている。ダンボールアーティストが作ったクトゥルフは、材料にダンボールが使われていることがまったく想像つかないほど繊細な造形に仕上がっており、Twitterに投稿された画像には驚きの声が集まっている。
初手クトゥルフは飛ばし過ぎでしょ https://t.co/G7ohhxoNhH
— ペリパトス (@peripatosu) 2021年3月28日


クトゥルフとは作家・ラヴクラフトの作品に登場する架空の生き物であり邪神。タコのような頭、触手のようなヒゲを持つ生き物だが、実存していたら柔らかいであろう部分もすべてダンボールで作られているのだ。
「ダンボール製クトゥルフ」が展示されていたのは、横浜ランドマークプラザで2021年4月4日まで開催されていたダンボールアート展。リサイクル可能な素材であるダンボールを通じてSDGsを考えるというねらいのイベントなのだが、まさかの展示物がこれとは…。
投稿を見たTwitterユーザーからは「見て、作って、(狂気を)学ぶのか…」「いきなりクライマックスで草」といったコメントが集まっている。ダンボールとは思えない造形、クトゥルフを作るという選択、完成度の高さなど、制作者のタダ者ではない空気を感じているようだ。
トゥギャッチ編集部では「ダンボール製クトゥルフ」の生みの親、オダカマサキ【オドンガー大佐】(@odonger2)さんからお話を伺うことができた。
オダカさんは2017年からダンボールアーティストとして活動しており、公式サイトではこれまでの作品を確認できる。2020年7月には自著『オダカマサキ ダンボール アートワークス』(新紀元社)を上梓した。
【書籍出版のお知らせ】
#オダカマサキダンボールアートワークス
新紀元社さんから出版です!
ダンボールアートの作品集に加え
ダンボールの基本から愛用の道具
今まで秘密にされていた、切る、折る、捏ねる技を紹介
五作品の型紙と作り方も掲載
7月18日発売
予約受付中!
https://t.co/3XDIpuPZXQ https://t.co/9Y0wl9CFnU
— オダカマサキ【オドンガー大佐】 (@odonger2) 2020年6月19日
「お導きがあったんだと思いますw」思い出深い作品に
ーークトゥルフを作ることになった経緯は?
「幻獣神話展」という展示に参加するために作りました。作り始める当日まで一ヶ月間、別の幻獣の作り方とデザインを考えていましたが、朝起きて突然クトゥルーの作り方とデザインを思いついて、一気に作りました。たぶん、お導きがあったんだと思いますw

ーー完成までの日数は?また、制作にあたって苦労された点は。
2週間くらいで造形しました。ヌルヌルした質感や気持ち悪さをどう再現するか、柔らかい部分と硬い部分の対比表現に苦心しました。特に触手の密度が高く、接着剤が他に付かないように組み立てるのに、新しい組み立て方を考える必要がありました。
ーー使われているダンボールの種類や厚さはどれくらいなのですか?
「Gフルート」という0.8㎜厚のダンボールを使っています。他の厚み(のダンボール)は使わず、ダンボールを捏ねることで板材に表情を付けています。

ーーすでに多くの作品を作られているなかで「クトゥルフ」については、どう感じていますか。
ダンボールを捏(こ)ねる行程を重視した作品で、自分なりの捏ね理論の集大成的作品です。
製作期間は短いですが、ダンボールの強度の限界や質感表現、ディティールの作り分け、重心設計と課題が多く、難易度は非常に高かったと思います。その後の作り方の基本となっている部分が多い、思い出深い作品です。
「ダンボールクトゥルフ」は、作家自身が集大成と言うほどの作品だった。実物の展示は終了してしまったが、またどこかでお目にかかりたいものだ。