今こそ布教したい「一人用ボードゲーム」の魅力(2) 軟弱な遭難者を鍛え上げろ!「ロビンソン漂流記」編
ライターのりばすとです。
最近人と集まって遊ぶボドゲをする機会が減ってしまった!そんなボードゲームラバーのため、孤独に楽しめる「一人用ボドゲ」を布教する本連載。今回は、軟弱な遭難者を鍛え上げるゲーム『ロビンソン漂流記』を紹介したい。
【第1回はこちら】
今こそ布教したい「一人用ボードゲーム」の魅力 孤独に羊を増やしまくれ!『シェフィ』編
プレイヤーがロビンソンになるのかと思いきや
【ロビンソン漂流記の基本情報】
プレイ時間:約25分
対象年齢:13歳以上
発売年:2012年
販売元:株式会社アークライト
『ロビンソン漂流記』は、イギリスの小説「ロビンソン・クルーソー」にちなんだゲーム。原作の大まかなストーリーは、無人島に漂着したロビンソン・クルーソーという男が島での過酷なサバイバル生活を経て、ついには島からの脱出に成功するというもの。
『ロビンソン漂流記』もタイトルから察するに、プレイヤーがロビンソンとなり、島をたくましく生き抜いて脱出を目指すゲームなんだろうな、と思いきや…答えはノーである。
このゲームのプレイヤーはロビンソンではなく、なんと「ロビンソンが漂着した島でもともと平和に暮らしていた島民」。いきなり漂流してきた貧弱なロビンソンを鍛えて、なんとか帰ってもらおうというという内容なのだ。なんだその切ない話は。
島に漂流してきたばかりのロビンソンは、やたら弱気だったり注意力が散漫だったりする。そこをなんとか誘導しながら様々な試練を乗り越えてもらい、成長してもらうのだ。
そしてゲームのラストには海賊船との戦いが控えている。これに打ち勝つと晴れてロビンソン脱出成功、ということでゲームは終了。プレイヤーは島での平穏な生活を取り戻すことができるわけだ。
ロビンソン漂流記 ざっくりルール説明
実際のプレイに入る前に、ルールをざっくり説明しておこう。
ゲーム開始時のカード配置は次の通りである。
「試練」の山札にはロビンソンが挑戦する試練のカードが、「ロビンソン」の山札はロビンソンの戦闘力を示すカード(以下、ロビンソンカード)が積まれている。「衰弱」の山札は、一定条件ごとにロビンソンの山札に追加されるデメリットカードが積まれている。
緑色のチップみたいなものは「ロビンソンの体力」を表すアイテムで、これが0になるとゲームオーバーだ。
1回のターンの流れは次の通り。
これを試練カードの山札がなくなるまで続ければ1巡目が終了。3巡終えたところで、ロビンソンは最終決戦である海賊船に挑み、勝敗を決することになる。つまり、プレイヤーはそれまでにロビンソンを鍛え上げなければならない。
ちなみに、1回試練カードの山札がなくなるごとに、島の危険度が上がる仕組みとなっている。危険度が上がることで、ロビンソンの試練が難しくなっていくという仕組みだ。
さっそくプレイ開始!
百聞は一見にしかずである。さっそくプレイしながらロビンソンを鍛えてみるとしよう。
まずは、ロビンソンの受ける試練を決めるために、試練の山札から2枚引く。
試練を選ぶ目安となるのは、カードの右上半分に3つ並んだ数字である。これはロビンソンが試練を達成するのに必要な戦闘力を表しており、先述した危険度の色に応じた数字を参照することとなる。
ゲームプレイ開始直後の危険度は緑なので、「島の探索」に必要な戦闘力は1で「野獣」が4だ。
ゲームを始めたばかりのロビンソンは貧弱も貧弱。ここはひとまず必要な戦闘力がより低い「島への探索」に挑戦するとしよう。
試練が決まったところで、ロビンソンカードを引く。試練カードの上半分左側に書かれた数字(イバラに囲まれた数字)だけロビンソンカードを引くことができる。今回の「島の探索」では2枚だ。
引いたロビンソンカードに書かれた戦闘力(左上に書かれた数字)を合計したときに、試練カードの必要戦闘力に達していれば、試練達成である。
今回のロビンソンの戦闘力は1、島の探索に必要な戦闘力も1。見事、島の探索クリアだ!
試練を達成できたら、試練カードをロビンソンカードに変化させる。ここで試練カードのデザインに着目。
ここまで試練カードの上半分だけを見てきたが、下半分にはロビンソンの絵柄がさかさまに描かれている。達成した試練カードは、ひっくり返すとロビンソンカードになり、ロビンソンの山札に加えることができるわけだ。
しかも元試練カードのロビンソンは、通常のロビンソンカードよりも戦闘力が高い。つまり、試練を乗り越えていくごとにロビンソンの山札は強化され、より難しい試練をこなすことができるように成長していくのだ。
試練を達成できない時、どうすればいい?
進めていくうちに、戦闘力が足りず試練を達成できない場合が出てきた。この時プレイヤーは「体力を消費してさらにロビンソンカードを引く」か「体力を支払い、試練を諦める」かを選ぶことができる。
ここはひとまず体力を消費して、追加でロビンソンカードを引いてみよう。
もちろん、追加で引いたロビンソンが役に立ってくれるとは限らない。さて、次はどうするか。
もう一度体力を消費し、さらにロビンソンカードを1枚引いてもよい。しかし引いたロビンソンカードの戦闘力がどうなるかは完全に運要素なので、ロビンソンの手札に強いカードが少ない場合は足りない戦闘力分だけ体力を支払い、早々に撤退した方がよいという考え方もある。
ちなみに、撤退にもメリットが存在する。撤退で消費した体力分だけ、使用済みのロビンソンのカードをゲームから除外することができるのだ。「弱気」や「怠慢」といったなさけないロビンソンカードを捨て去ることで、少しずつ強いロビンソンが揃った山札を作り上げていくことができる。撤退もある種成長に必要な経験、というところだろうか。
試練を達成するまで体力を削り続けるか、おとなしく撤退するべきか。「追加で体力を突っ込んだのだから、達成してもらわなければ困る」という気持ちでどんどんカードを引いていくと、あっというまに深みにはまってしまう。このバランスが本当にギャンブル。
そんな調子で試練を達成しロビンソンを成長させたり、時には撤退して弱いロビンソンカードを捨てたりしていたのだが、初プレイでは海賊船に至る前にロビンソンの体力が尽きてゲームオーバーとなってしまった。
やってると育て親、師匠の気持ちになっちゃう
プレイしてみて、このゲームの「プレイヤーはロビンソンじゃない」という設定が、独特な感覚を生み出すことに気付いた。
ロビンソンの山札が強くなり、難しい試練を連続でこなせるようになってくると「お前、強くなったな…!」と胸が熱くなる。やっているうちに完全に育て親、ないしは師匠の気持ちになっちゃうのだ。
実は、最終決戦の相手もたくさんの海賊船の中からランダムで選ばれる。ロビンソンを鍛える時のランダム性だけでなく、ラスボスの強さも毎回異なるということだ。2つの運要素でゲームの展開は無限に広がり、すなわち一生遊べるゲームだとわかった。
無事にロビンソンを島から追い出せるか、それはプレイヤーの運と臨機応変な判断力に委ねられているのだ。
ここまで初プレイとその感想をお届けしてきた。次ページからは、いくらか遊んだ上で掴んだプレイのコツと、再チャレンジの様子をご紹介したい。
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