葬儀のお供えに、ゆるりと泳ぐ金魚が2匹…山形・庄内地域の風習に関心が集まる

土地に根ざしたお供え、日本各地でいろいろありますね
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陶芸家の岡村悠紀(@0kam)さんがお祖父様の葬儀に出席したときに見た「お供え」についてのツイートが注目されている。

金魚が2匹、お皿の中で泳ぐ
ご飯の上に色とりどりの帯がついた旗が立てられている

お茶碗に盛られたご飯、ミックスベジタブルのような料理のほか、ひときわ目を引くのが透明な器に入った金魚。これらが祭壇にお供え物として用意されていた。

このように生きた魚を供える行為は「放生会」という宗教儀式がもとで、捕獲した生き物を放すことで殺生を戒めるという意味があり、家族で放流することで供養としていたようだ。また、以前はドジョウが使われていたとも。

葬儀のあと金魚は放流されたのか、岡村さんから伺った。

葬儀が終わると放流されるそうですが、実際にはどうなったのでしょうか。

金魚について、特に儀式はなく、気付くと片付けられておりました。昨今、外来種問題等もあるので放流はしていないと推測します。

金魚は地元の皆さんにとって身近な生き物なのでしょうか。

私が子供の頃(90年代)は旧・余目町(あまるめまち、現・庄内町)のお祭りでよく庄内金魚が売られていたと記憶しております。今は見られなくなりましたが、以前は雨の後など養魚場から逃げ出したものが用水路を泳ぐシーンが見られました。

「庄内金魚」は山形県東田川郡庄内町の特産で、毎年「あまるめ植木・きんぎょまつり」も開催されている(2021年は「きんぎょまつり」として規模を変えて開催)。そうしたことも金魚が葬儀で用いられた理由かもしれない。

その土地や人とゆかりがない限り、葬儀にまつわる風習を知る機会は少ない。みなさんが育ったり暮らしたりしている地域の葬儀も、他の地域から見れば珍しく映るものがあるだろう。

岡村さんは陶が素材となっているモクズガニなど、自在置物と呼ばれる陶芸作品を発表している。
手足が動かせるうえ、近づいてようやく陶器と気付けるであろう精密さに驚かされる。

岡村さんの個展が2021年10月15日から24日まで、東京都文京区の「ギャラリー・マルヒ」にて開催される。実物が見られる機会に訪れてみては。
※訪問前に公式ホームページをご確認ください。

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