体験した怖い話を100円で買い取る店で注目 怪談師・宇津呂鹿太郎さんインタビュー

プロ怪談師の数奇な人生を根掘り葉掘り聞いてみました
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怪談を心から愛する宇津呂さん。「怪異を語れば怪異が寄ってくる」とはよく言うが、ご自身が不思議な経験に見舞われたことはあるのだろうか。

ご自身が怪談の当事者になったことはありますか?

昔から変なものを見たり、声を聴いたりといった細かい怪奇現象にはあってきました。

仕事で怪談に携わるようになってからも、たくさんありますね。怪談ライブをやっていると、終わった後のアンケートで複数のお客さんから「ステージの下から手が出てましたが、どうやってたんですか?」と聞かれたり。

売買所の夜はいっそう不気味

怪談売買所は暗くなると蝋燭1本立ててやっているのですが、お客さんが帰る時に、「話してる間に後ろから誰か人が入ってきましたよね?」とか「カウンターの向こうから何度か女性がのぞいたんですけど、後ろ誰もいませんよね!?」と言われたり。

私自身は気づかないことが多いのですが、怪異はたくさん起きているみたいですね。幸い、いままで直接の”障り(さわり)”があったことはありません。

同業者の方との横のつながりや、情報交換をしたりすることはあるのでしょうか

同業者のつてで、怪談ライブのゲストとして来ていただくパターンもあります。ただ、怪談師にとって怪談は商売道具なので、安易に情報を交換したりということはないですね。

話していただいた怪談は、当事者から直接聞いて、その方の許可を得て発信させていただいています。いわば、その方の人生の大切な時間の一部を預からせてもらっているという認識です。良識のある怪談師の方は、同じような気持ちでやられていると思います。

宇津呂さんにとって怪談とはどんな存在ですか

怪談の中には、話してくれる人の育った環境や文化、人間関係などが全部内包されています。例えば、「亡くなったおばあさんが出てきてメッセージを伝えた」という体験談は数多く聞きますが、同じような体験をしてきても、体験する人によって捉え方も十人十色です。

私は、この世に一つとして同じ怪談はないと考えています。

人から怪談を聞くとき、その人が感じたことを根掘り葉掘り聞いていると、体験自体はほんの短い時間であったとしても、本人が気づいていないところでその後の人生に大きな影響を与えているケースが多々あります。話をする者、聞く者、どちらもお互いに気付きがある。そんな瞬間に出会えることがうれしいですね。

怪談はもちろん「怖さ」が大前提ですが、ただ怖い!だけで終わるのではなく、語り合うことで気づきが生まれる社会的に有意義なものであるということを伝えていきたいです。

宇津呂さんの話を聞いて、「怪談=人を怖がらせるもの」というシンプルなイメージが大きく変わった。

宇津呂さんは怪談売買所のほかに、怪談ライブやテレビ出演など多方面で活躍している。オンラインでの怪談募集も受け付けているので、宇津呂さんの怪談ワールドをもっと知りたい!と思った方はNPO法人宇津呂怪談事務所のHPをのぞいてみては。

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