妊活中の夫婦あるあるエピソードに共感!漫画『男性不妊戯画』作者の医師が語る「男性に寄り添って啓蒙したい」

悩める人たちに届いて欲しい、カエルとウサギの話です
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Twitterに投稿された「男性不妊」をテーマにした鳥獣戯画タッチのストーリー漫画が注目されている。

漫画の作成者は、実際に男性不妊外来で診療にあたっている医師のサラリ医マン(@saraly_man)さん。デザイナーのダーヤマ(@TopeconHeroes)さんによる素材集「ダ鳥獣ギ画」から素材を使って作られている。

17ページに渡るストーリーの登場人物は、結婚して2年になるカエル(夫)とウサギ(妻)のカップル。カエル夫がウサギ妻に促されて泌尿器科を受診したところ、不妊の原因が自分にある可能性を知るというもの。根拠はないのに「自分は大丈夫」と思っていたカエル夫は、検査を通して現実を知ったのだ。

『男性不妊戯画』より「自分は大丈夫」と思っていたカエル夫。でも根拠はなかった…

漫画を読んだTwitterユーザーからは「こういう淡々としたテイストいいね」「お説教くさくないし夫婦で気楽に読めそう」「漫画としても面白かった」と、好意的な声が集まっている。また、男性の不妊治療には婦人科でなく泌尿器科で診てもらえることなどを初めて知ったという声も。

不妊治療の現状と問題点は、サラリ医マンさんによると次の通りだ。

WHO(世界保健機関)による不妊症の7273カップルの調査によると、原因調査では, 男性のみ:24%女性のみ:41%男女とも:24%原因不明:11%と報告されているという

わが国では10組に1組のカップルが不妊に悩んでいると言われており、50万近くのカップルが何らかの不妊治療を受けていると推測されています。

不妊の原因は男女それぞれ半々ずつであることが統計的に示唆されていますが、不妊治療のほとんどが婦人科で行われています。また, その精査・加療も女性に対してのみ行われることが多く, 男性に対してはあまり行われていません。

不妊の問題は男女ともに、親兄弟やどんなに親しい友人であってもオープンにしづらい話題なだけに悩みも深まり、現実を認めたくない気持ちにもなる。この時の男性の心情を、カエル夫がコミカルに表現していることが好感と反響を呼んだのだろう。

サラリ医マンさんはご自身も治療を経てお子さんを授かっており、現場では不妊治療に臨む多くの人たちの葛藤を目の当たりにしてきたという。多くの経験を重ねてきたサラリ医マンさんに、この漫画を作ったねらいなどをうかがった。

多くの男性不妊患者は一人で悩んでいる

日頃、どのような診療をされているか教えてください。

男性不妊外来と、男性不妊に関わる手術(顕微鏡下精索静脈瘤手術や、精巣内精子回収術:MicroTESE、精管吻合)等を週1回行っています。それ以外の平日は、一般泌尿器科の診療を行っています。

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