ボドゲ大好きライターが「ゲームマーケット2021 秋」で見つけた最高のゲームを紹介する

個性豊かなボードゲームの海に溺れよう
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ボードゲーム(以下、ボドゲ)大好きライターのりばすとです。

これまでいくつかの記事で「一人用ボドゲ」を紹介してきた私だが、今回は出張編だ。

11月20日・21日に東京ビッグサイトにて開催されたアナログゲームの祭典『ゲームマーケット2021 秋』に喜び勇んで参戦・取材してきたのだが、それはもう面白そうなボドゲだらけだったのでいくつかピックアップして紹介させてほしい。

【一人用ボドゲを布教する連載】

作成者から直接ゲームを買える貴重な機会

世の中は2種類の人間に分けられる。ゲームマーケットに行く人間と行かない人間だ。

この言説が世に流れて久しいが、かくいう私はボドゲ大好きにもかかわらず今まで行ったことのない方の人間であった。要するに今回が初参戦であり、どきどきしたし、わくわくしていたということだ。

ビッグサイトにもめったに行かないので、来るたびにキャッキャと写真を撮ってしまう

参加したのは2日目だったのだが、後に参加者の方から「2日目はTRPG※のブースが多く、ボードゲーム狙いならば1日目の方が良いかもしれない」という情報をいただいた。早くも1ミスである。次回からそうします。

※テーブルトークRPG。プレイヤーどうしの会話を元に楽しむロールプレイングゲーム

こういう入り口の看板は無条件にテンションがあがるから大好き

入ってみるとそこらじゅうで見知らぬボードゲームが売られていた。しかもゲームの作成者やその知り合いの方々が、これは面白いぞ、これを買っていけ、と思い思いにアピールをしているのだ。こいつは楽しい空間だな。

会場内は大きく企業ブースと同人ブースに分かれており、今回は同人ブースを中心にまわることにした。同人ブースは一般のお店では売られていないオリジナルのボドゲを、作成者が直接販売している。

作成者直々にルールを説明してもらったり、少しだけゲームを体験させてもらったりすることもでき、パッケージだけでは分かりづらい細かな部分も知りながらボドゲを買うことができるのが大きな特徴だ。

どのブースも情熱と熱気に溢れていたので、特に気になったものをいくつか写真を交えつつご紹介したい。

製作者の個性があふれるボードゲーム達

チャンピオンと挑戦者の猫が順番に殴り合う「ボクシングキャット」

まず目についたのはINTELLIGENT MONKEYの「ボクシングキャット」だ。猫がボクシングを......?と思わずにはいられないが、多様性の時代である。猫がボクシングすることだってあるのだろう。

ボクシングのタイトル戦を模しており、チャンピオン側と挑戦者側に分かれ、点数の高いカードを手に入れることで相手を打ち負かすゲームである。ルールの説明を受けつつ少しだけプレイさせてもらったところ、ルール自体は難しくないものの、勝つためには相手の心理を読みきらねばならず、かなり奥の深そうなゲームだと分かった。

ボードゲームの楽しさはやってみないと分からない部分が多分にあるため、試遊できるのは大変ありがたい

続いて、フォントかるた制作チームが手掛ける「フォントかるた」。一般的に、かるたは読み手が読み上げた言葉と同じものが書かれている札を取るゲームだが、フォントかるたは一味違う趣向をこらしてある。

フォントかるたは、なんと全ての札に同じ言葉が書かれている。違うのは、文字のフォント(書体)だ。読み手はフォントの名前が書かれた札を読み上げ、プレイヤーは該当するフォントで書かれた札を取るのだ。

パッケージの「フォントかるた」のフォントがかわいい。流石のこだわりである

「創英角ポップ体」や「明朝体」といった比較的有名なフォントだけでなく、「マティスEB」や「勘亭流」といったマニアックなものもある。

一見、フォントに詳しくないと遊ぶことすらままならなさそうに見えるが、読み札にはフォント名だけでなくそのフォントの特徴も記されているため、フォントに明るくない人も楽しめるようになっている。

誰でも楽しめるが、やっぱりフォントに詳しい人たちが集まると恐ろしく盛り上がるらしい。すごく楽しいんだろうな。そういうのいいな。

有機化学の合成反応にあわせてカードを出していく「有機大富豪」

他にも特定の層に刺さりそうなゲームとして、「有機大富豪」(サークル名も同じ)があった。トランプの「大富豪」は数字の大きいカードを出し合うゲームであるが、この「有機大富豪」は「ベンゼン」という化合物に反応する物質を出し合うゲームなのだ。THE・理系向けのゲーム感がある。理系出身の私は、まんまと引き寄せられてしまった。

少し時間が経ってから再訪したところみごとに完売していた。すごい
東京なかよしデザインがお届けする走馬灯ロンダリングゲーム「ポートレートオブポッポ」

鳩の走馬灯をロンダリングする…?

走馬灯ロンダリングゲーム「ポートレートオブポッポ」もあった。走馬灯ロンダリングゲームって何ですか?

ルールを伺うと鳩の思い出を売り買いするゲームであった。鳩の思い出を売り買いするゲーム......?

プレイヤーは力尽きかけの鳩となり、上手に思い出を売り買いしながら誰よりも良い生涯を振り返れた鳩が勝つというルール。設定が独特すぎるぞ......。

このサークルでは他にも、出された古墳のデータを予想しあう「コフンクラベ」、たくさんの賃貸を貸しさばいていく「東京アルティメット賃貸」などが販売されていた。どれも目の付け所が鋭すぎる。好きです。

ひとやすみがてら企業ブースを覗いてみると、ボドゲカフェ予約アプリ『BoDoGeGo』のすたぴくんがいた。かわいい。
あの日の夏祭りを懐かしむ「懐祭(なつまつり)」

エレメントクリエイターズの「懐祭(なつまつり)」は限られたお金や時間を使って夏祭りの思い出を集めるゲームだ。あまり遊びすぎてしまうと花火大会の時間に間に合わないなどの要素もあり、妙にリアルな味わいがあった。

出店や花火がカードで細かく表現されており、夏祭りのにぎやかな雰囲気を彷彿とさせる
他人と異なる香水を嗅いでいる人を探す「香水人狼(WOLFUME)」

今回特にこれは!と興味を引かれたのが、アーアーアーゲームズの「香水人狼(WOLFUME)」だ。他の人と異なるお題を渡された人を探す「ワードウルフ」というゲームがあるが、いわばその香水版である。

プレイヤーはそれぞれ香水のついた綿棒が配られ、お互いの香りについて感想を述べたのちに、一人だけ異なる香りを嗅いでいる人を探すことになる。

試しに同行していたトゥギャッチ編集部の方と「同じ香りを嗅いでいるか否か」という特別ルールで遊んでみた。「さわやかだ」「柑橘系かも」など意見がそれなりに一致したので同じ匂いではないかという結論となったが、嗅ぎくらべてみると全く違う香りで笑ってしまった。

2人でやってもここまで感覚の違いが出るとは。大人数でやったらさらに面白くなりそうだ。ボードゲームの新しい切り口だ。

あまりに新鮮だったので、後で個人的に買いました

他にもさまざまな形式・見た目のボードゲームがあり、気づけば2時間、3時間と夢中になって過ごしてしまった。どのブースも本当に工夫があってまったく飽きないのだ。

牛乳瓶に詰め込まれたボードゲームや
おしゃれなデザインの謎解き
シンプルかつ奥深そうなデザインの三目並べをベースとしたゲームもあった

1日目に10,000人、2日目に8,000人の来場者数を記録し、大盛況のまま幕を閉じたゲームマーケット2021 秋。そりゃたくさん人も来るわと納得できる楽しさだった。

この記事を読んで少しでも興味を持った方がいれば、ぜひ次回の参加をおすすめしたい。きっとお気に入りのボドゲを見つけることができるだろう。私は見つけすぎて財布の中身がほとんどなくなりました。

また来ます。

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