西は山口県、東は千葉県から通える!?「立命館大学の1限に間に合うマップ」の作者に詳細を聞いた

あなたもエクストリーム通学を試しちゃう?
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Ⓡ立命館大学地理学研究会Ⓡ(@Rits_Chiriken)が作成した「立命館大学衣笠キャンパスの1限マップ」が話題になっている。

「1限マップ」とは、「1限(9:00)の時間帯に間に合う範囲を示した」マップのこと。各大学や路線の出発点など、出発時間を色分けながら地図に書き込んでいる。このマップの範囲は、関西地方だけでなくなんと中部地方、関東地方、中国地方、四国地方にまで及んでいるのだ。つまり理論上だと、これらの地域からも通学は可能である。

ちなみに立命館大学衣笠キャンパスは、JR・近鉄の京都駅、阪急電鉄の大宮駅、JR・京都市営地下鉄の二条駅、京阪電鉄の三条駅などからバスが出ているため、駅からはバスを使う計算をした。

この投稿を読んだTwitterユーザーからは、「ここだけの話、東京からOIC(※)まで毎週飛行機で通ってました笑」「このマップをみて、大学時代に実家のある伊予西条から4:49発の列車に乗って福岡県内の大学の1限にエクストリーム通学したのを思い出した」と長距離通学エピソードが集まっている。

(※OIC=立命館大学の茨木キャンパスのこと)

トゥギャッチ編集部では、立命館大学地理学研究会に作ったきっかけを聞いてみた。

コロナ禍で活動できない中での「学園祭企画」

地理学研究会の具体的な活動内容について教えてください。

立命館大学地理学研究会では、本来日本の各地へ赴き、フィールドワークを行い、地理学の観点から調査することが主な活動です。地理学の観点には、「ブラタモリ」でタモリさんがよく語っているような地層や地形についての自然地理学的な観点と、地域の文化や歴史を掘り下げる人文地理学的な観点があります。当会はその両面から毎年日本の1ヶ所を掘り下げ、地誌(会報誌)を発刊していました。

しかし今年度当サークルはずっとコロナ禍による活動制限下にあり、団体でのフィールドワーク遠征も行えていません。そこで今年は地元京都や、立命館大学に関する研究をいくつか進め、京都大学地理研と同志社大学地理研との合同発表会や、学園祭企画をメインに行ってきました。

今回、1限マップを作ることになった経緯教えてください。

1限マップは、学園祭(11月開催)企画の展示物として作成しました。 コロナ禍で外出しづらくなり、地理学に触れる機会が減っている人も多いと思います。そこで、今年の展示では「多くの人に地図や地理学に触れてもらい、楽しんでもらう」ということを目標として「1限マップ」を制作しました。

1限マップは、実際にどうやって作ったのですか?また、作った際に大変だった点があれば教えてください。

時刻表や乗り換え案内で1つ1つの駅の出発時刻を調べ、地図上に載せていきました。また今回の地図では、始発の駅だけではなくすべての駅に点を表示して30分ごとに色分けしたり、主要な駅や各地の大学からの出発時刻を表示したりと、さまざまな工夫を加えました。

地図の作成には、ArcMapというGISソフトを用いています。GISとは、「地理情報システム(Geographic Information System)」のことで、位置情報を持つさまざまなデータを読み込み、地図上に書き出して可視化したり、分析したりすることができるものです。

ちなみに1限マップの作成には、合わせて2週間ほどかかりました。東京や大阪は駅の数がとても多いため、出発時刻を調べるのが大変だったり、一見すると間に合わないように見える駅でも工夫をすれば間に合う場合や、乗り換えにかかる時間で結果が大きく変わってしまう場合もあったり、判断が難しいところもありました。

今後は「立命館別キャンパスの1限マップ」「4限/5限を受けても間に合うマップ」を作りたい

1限マップを作ってみての感想はありますか?

京都の街の端のほうにある立命館大学ですが、新幹線を使うと、関東から中国・四国まで、想像以上に広いエリアから1限に間に合うことがわかりました。その一方で、実は京都府内でも1限に間に合わない駅がいくつかあり、新幹線がいかに速いかがわかります。また、コロナ禍による減便で、昨年までは間に合っていた駅でも現在では間に合わなくなってしまった事例がいくつかみられました。

現在、立命館大学文学部の地域研究学域では、GISソフトを使う授業が多数開講されています。また、来年度から高等学校で必修化される「地理総合」では、地理情報システムが扱われることになっています。 今回の1限マップをきっかけに、地図やGISに興味を持つ人が少しでも増えれば嬉しい限りです。

地理学研究会で、今後研究したいものはありますか?

今後もこのような形で、地元京都という注目度の高い地域について深堀りした研究や、滋賀、大阪にも主要キャンパスを構える立命館大学の立地に関する研究を進めることも検討しています。 また1限マップに派生して、「立命館大学びわこ・くさつキャンパス/大阪茨木キャンパスの1限ではどうか」「立命館大学の4限/5限/地理研の例会(木曜18:00~)を受けてから帰れるのはどこまでか」というマップの要望も受けており、制作を考えている段階です。

このマップをきっかけに、地理学に興味を持ってみても良いかもしれない。

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