山形県山辺町の議会で町長が着ていた「町長フェイスのニット」に目がくぎづけ!ニット製作者にいきさつを聞いた

マスクでわかりにくい顔がニットでわかる!!
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2021年12月、NHKニュースで山形県山辺町の議会の様子が報道された。サマーニット発祥の地である山辺町では毎年12月10日を「いつでもニットの日」とし、議会では議員全員が地元のニット製品を着て出席している……というほのぼのニュースなのだが、一人だけ強いインパクトのニットを着ている人がいる。こちらのニュース動画に注目して欲しい。

NHK NEWSWEB 「地元のニット製品を着てPR ”ニット議会” 始まる 山形 山辺町

自分の顔が編み込まれたニットを着ているのは山辺町の遠藤直幸町長。ニュースを見たTwitterユーザーからは「町長のニットすげえ!!」「町長のニットにすべて持っていかれるwww」「ニットでドット絵…すごい」など、フェイスニットへのインパクトと、編み技術に対する大興奮のコメントが集まっている。

それにしてもこの「町長フェイスのニット」、遠藤町長の表情から顔の形まで非常に緻密に表現されている。ニット製品への既成概念がすっかり覆された人もいるのではないだろうか。

ニュースを知って「バズれ〜〜」とつぶやいていた人は「町長フェイスのニット」のデータを製作した浦豊さん(@knit_chen)。

浦さんは「株式会社 糸」を設立し「ニットコンサルタント」としてセーターの仕様書や設計図を作っている。トゥギャッチ編集部では浦さんに「町長フェイスニット」を作った経緯を聞いてみた。

「町長フェイスのニット」は2016年に作られた

「町長フェイスのニット」を作ったのはどのようなご縁からだったのでしょうか。

ニットコンサルタントとして独立した際、ニットでアート作品を作るため、協力工場さんに制作をお願いしていました。その協力工場の方と山辺町長が親しく、「ニット議会」に着る服を作る話が出て「町長の顔をニットアートで作ろう」という話がまとまりました。

作成したのは2016年になります。今まで全然バズってこなかったのですが、コロナによりマスク着用となり、去年は「マスクで顔がわからない→ニットに顔が編まれているから顔がわかる!」といったノリで山形のローカル放送で取り上げられました。全国区で放送されたのは今年が初めてです。

「町長フェイスのニット」はどうやって作られているのですか。また、製作にかかった時間は。

6色の糸を使って「ジャガード編み」(※)という方法で作成しています。プリントではなく「編み」で表現しています。

編めるデータの制作時間は1〜2時間で仕上げています。実際に編んでセーターの形にするのは、最短で3〜4日ぐらいでできます。

※ジャガード編み…複数の糸を使い、編んでいく段階でオリジナルの柄を編み出す方法。

「町長フェイスニット」が話題になったことから浦さんの手掛けるセーターにも注目が集まっている。

浦さんがニットに携わるようになったきっかけは何ですか。

文化服装学院のニットデザイン科に入学したことがニット業界に入ったきっかけです。その後、全自動横編機を製造販売している(株)島精機製作所に入社し7年所属しました。「ニットの可能性を広げたい」という思いから島精機公認で独立させてもらって「ニットコンサルタント」として活動しています。

浦さんの手掛けたニットはどこで購入できますか。

現状はアパレルブランドで私が手がけたニットを購入してもらう形になります。ハイクオリティージャガードニットとしてphotricot®︎(フォトリコ)という商標をとっており、弊社経由で作成したジャガードニットには製品の洗濯ネーム部分にクレジットが付いています。

オーダーメイドしたいという声もありました。

オーダーメイドもかなり前から考えているのですが、1点だけの発注になると工場さんの負担になるため、現状できていない状況です。1点ものですと価格も高めになってしまうので、もう少しオーダーしやすい価格で受けられるシステムを考えていこうと思っています。

ニットの町の町議会から、意外なニット製品の可能性を知ることができた。「町長フェイスニット」によるPRは大成功したと言えるだろう。

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